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魔力シャワー
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興奮してしまった私に、ブリジットさんは、優しく微笑んで、
「ドラゴンは、まさに、物語の中の生きもののように、不思議な存在です。
私は、もう、ドラゴンに関わってから何十年もたちますが、いまだに、生きているドラゴンを目の前にしたら、夢を見ているような気持ちになるんです。
アデル王女様のように、憧れる気持ちをもってくださっている方に会えると、ドラゴンも喜ぶと思います。
こちらの思いは、恐ろしいほどに伝わりますから」
と、穏やかに話してくれた。
ブリジットさん、なんて、素敵な人なの!
やはり、ドラゴンは、身近に置く人を選ぶのね!
「では、皆様。こちらにどうぞ」
そう言って、アンドレさんが、私たちを建物の中に、招き入れてくれた。
扉をくぐったとたん、上から、大量の光がふりそそいだ。
「え? 今の光、なにっ?!」
びっくりした私が、大きな声をあげると、
アンドレさんが、
「今のは、ドラゴンに悪影響を与える雑菌を消毒する、光の魔力シャワーです。ドラゴンは大変、貴重な存在のため、国から、特別に貸し出ししていただいてる魔道具の一つです。
この魔力シャワーのおかげで、一般の方に、保護しているドラゴンを見ていただくこともできるようになりました。まあ、公開できるかどうかは、その日のドラゴンの状態にもよりますが」
と、説明してくれた。
「ブルージュ国って、そんなすごい物があるの?!」
思わず、デュラン王子のほうをむいて、たずねた。
「まあ、光の魔力は貴重だからね。魔力シャワーは国にも数台しかないんだ。
でも、ドラゴンは、今や、この大陸でも、ブルージュ国にしかいないだろう?
絶滅に瀕してるから、出来るだけのことをするために、この保護センターに一台貸し出してるんだよ」
と、デュラン王子が説明してくれた。
「うわ、すごい!!」
私は、興味津々で、通りすぎた、魔力シャワーの装置を振り返って見ていると、隣にユーリがきて、言った。
「ねえ、アデル。あれ、欲しい?」
「いや、欲しいっていうか、すごいよね?! 魔力で菌が流してもらえるんだよ?」
と、私が答えると、
「アデルが褒めてくれるんなら、ぼくの魔力で作ってみようかな? どうせ、ありあまってるし」
「え、できるの、ユーリ?」
私が驚いて聞くと、
「そうだね。氷のシャワーみたいなのなら、簡単にできそう。アデル、いる?」
と、ユーリが、妖し気に微笑んだ。
冷たそう…。
「いりません。遠慮します」
私が言うやいなや、
「いります。ください!」
と、ランディ王子が会話にわりこんできた。
しかも、目をきらきらさせて、ユーリに訴えている。
「ねえ、ランディ王子、氷のシャワーをもらって、どうするの?」
私が聞くと、
「そんなの、部屋で、毎日浴びるにきまってるだろ」
と、ランディ王子。
「…え? 氷だよ?! 冷たいよ? 凍るよ?!」
私が、驚いて確認すると、
「氷が冷たいのは、あたりまえだろ。なに、言ってんだ」
そう言って、ランディ王子が、あきれた目で私を見た。
「いやいや、おかしいよね?! だったら、なおさら、なんでいるの?」
「そりゃあ、ユーリさんの魔力シャワーなら、浴びたいからに決まってるだろ」
と、ランディ王子は、胸をはって答えた。
毎日、氷のシャワーを部屋で浴びるって、どんな修行?!
が、そんなランディ王子の心意気をものともせず、ユーリは、
「アデルがいらないなら、作らない」
と、あっさり答えた。
ランディ王子が、じっとりとした、恨みがましい目で、私を見る。
が、私のせいじゃないよね?!
「ドラゴンは、まさに、物語の中の生きもののように、不思議な存在です。
私は、もう、ドラゴンに関わってから何十年もたちますが、いまだに、生きているドラゴンを目の前にしたら、夢を見ているような気持ちになるんです。
アデル王女様のように、憧れる気持ちをもってくださっている方に会えると、ドラゴンも喜ぶと思います。
こちらの思いは、恐ろしいほどに伝わりますから」
と、穏やかに話してくれた。
ブリジットさん、なんて、素敵な人なの!
やはり、ドラゴンは、身近に置く人を選ぶのね!
「では、皆様。こちらにどうぞ」
そう言って、アンドレさんが、私たちを建物の中に、招き入れてくれた。
扉をくぐったとたん、上から、大量の光がふりそそいだ。
「え? 今の光、なにっ?!」
びっくりした私が、大きな声をあげると、
アンドレさんが、
「今のは、ドラゴンに悪影響を与える雑菌を消毒する、光の魔力シャワーです。ドラゴンは大変、貴重な存在のため、国から、特別に貸し出ししていただいてる魔道具の一つです。
この魔力シャワーのおかげで、一般の方に、保護しているドラゴンを見ていただくこともできるようになりました。まあ、公開できるかどうかは、その日のドラゴンの状態にもよりますが」
と、説明してくれた。
「ブルージュ国って、そんなすごい物があるの?!」
思わず、デュラン王子のほうをむいて、たずねた。
「まあ、光の魔力は貴重だからね。魔力シャワーは国にも数台しかないんだ。
でも、ドラゴンは、今や、この大陸でも、ブルージュ国にしかいないだろう?
絶滅に瀕してるから、出来るだけのことをするために、この保護センターに一台貸し出してるんだよ」
と、デュラン王子が説明してくれた。
「うわ、すごい!!」
私は、興味津々で、通りすぎた、魔力シャワーの装置を振り返って見ていると、隣にユーリがきて、言った。
「ねえ、アデル。あれ、欲しい?」
「いや、欲しいっていうか、すごいよね?! 魔力で菌が流してもらえるんだよ?」
と、私が答えると、
「アデルが褒めてくれるんなら、ぼくの魔力で作ってみようかな? どうせ、ありあまってるし」
「え、できるの、ユーリ?」
私が驚いて聞くと、
「そうだね。氷のシャワーみたいなのなら、簡単にできそう。アデル、いる?」
と、ユーリが、妖し気に微笑んだ。
冷たそう…。
「いりません。遠慮します」
私が言うやいなや、
「いります。ください!」
と、ランディ王子が会話にわりこんできた。
しかも、目をきらきらさせて、ユーリに訴えている。
「ねえ、ランディ王子、氷のシャワーをもらって、どうするの?」
私が聞くと、
「そんなの、部屋で、毎日浴びるにきまってるだろ」
と、ランディ王子。
「…え? 氷だよ?! 冷たいよ? 凍るよ?!」
私が、驚いて確認すると、
「氷が冷たいのは、あたりまえだろ。なに、言ってんだ」
そう言って、ランディ王子が、あきれた目で私を見た。
「いやいや、おかしいよね?! だったら、なおさら、なんでいるの?」
「そりゃあ、ユーリさんの魔力シャワーなら、浴びたいからに決まってるだろ」
と、ランディ王子は、胸をはって答えた。
毎日、氷のシャワーを部屋で浴びるって、どんな修行?!
が、そんなランディ王子の心意気をものともせず、ユーリは、
「アデルがいらないなら、作らない」
と、あっさり答えた。
ランディ王子が、じっとりとした、恨みがましい目で、私を見る。
が、私のせいじゃないよね?!
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