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王様!
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晩餐会は、王様のご挨拶から始まった。
そこで紹介されたため、いっせいに、みなさんの視線が私に集中する。
オパール国の王女として、ブルージュ国のみなさまに、少しでも好印象を持っていただかないとね!
そう思って、精一杯、王女らしさをしぼりだして、優雅に微笑んでみる。
ふと、ユーリと目があった。
すると、ユーリが、それはそれは、優雅に微笑んだ。
あ、それそれ。そんな笑顔をしようとしてるんだけどね。
悲しいことに、真似できないわね…。
表情筋が疲れてきたところで、着席。
つかれた顔を、ふにゃふにゃっとゆるめて、くつろがしていると、デュラン王子がプハッと笑った。
はっとして、まわりを見ると、王妃様も王太子様も王様までもが微笑んでいる。
あ、見られてた…!
一気に顔が熱くなった。恥ずかしい!
「アデル王女は、本当に、かわいらしい方ね」
と、王妃様が優しくフォローをいれてくださる。
「そうでしょ。ほんと、かわいいんだよ」
と言いながら、私に甘く微笑みかけてくるデュラン王子。
そこで、王太子様が、
「デュラン。アデル王女には婚約者がいるんだからね。忘れないで」
と、からかうように言った。
「そうかな。べつに、忘れてもいいんじゃない?」
と、真顔で答えるデュラン王子。
はいっ?! なんか、おかしな返答だよね?
王太子様もそう思ったのか、笑うのをやめて、
「何言ってるんだ、デュラン? 忘れたらダメに決まってるだろ」
と、釘をさすように言った。
「いやいや、ダメじゃない! デュランも若いんだから、燃えるような恋をしたらいい。本気で好きなら、婚約者から奪ってしまえ! わたしも、王妃を当時の婚約者から奪ったからな。ハッハッハ!」
と、王様がグラスを手に、豪快に笑った。
もしや、もう酔っぱらってますか?
最初の印象とかなり違ってますが…。
しかも、物語のようなそのお話、本当なのかしら?!
思わず、王妃様を見ると、困ったように微笑んだ。
「アデル王女の前で、話を捏造しないでください」
えっ、捏造?!
驚いている私にむかって、王妃様が、
「私の最初の婚約者は、他国の王子で政略だったんだけど、クーデターがあって、政略の意味がなくなったの。だから、とりやめになっただけなのよ。
それで、次の政略結婚に決まったのが、この国の王だったの。奪ったとかじゃ、全くないのよ?」
そう言って、美しい笑みを浮かべた。
すると、王様は、
「何を言う。政略の意味もあるにはあったが、どれほど、私が王妃に恋焦がれたか! その私の強い念が、王妃の前の婚約をとりやめにしたようなもんだ。つまり、奪ったってことだな! ハッハッハ!」
と、楽しそうに笑った。
やっぱり、酔っぱらってるのかしら?
王様が、すっかり、おもしろいおじさんと化してしまってるわ…。
それにしても、飲み始めたのって今さっきよね。
それで、こんなにご機嫌に酔えるものなのかしら?
などと、考えていると、
「酔っぱらってないよ。父上は、これが素なんだ」
と、デュラン王子が、笑いながら言った。
「えっ、また、心の声がでてた?」
思わず口をおさえながら、デュラン王子に聞く。
他国訪問で、この癖はまずいわ!
「大丈夫。今は、何も言ってなかったよ。でも、アディーの顔を見てたら、言いたいことがわかるんだよね。もう、すっかり心がつながってるんだね、アディーと」
と、デュラン王子が、甘ったるい雰囲気を爆発させた。
ご家族の前でも、変わらないその態度。なんだか、すごいわ…。
その様子を見ていた王様が、
「ハーッ、こりゃいい! アデル王女とデュランが結婚したら、隣の国とも親戚になる。助け合って、両国とも、ますます繁栄できるな!
デュラン、がんばれ! ハッハッハ!」
と、大笑いしている。
ご機嫌のところ、すみませんが、…なんてことを言うの?!
しかも声が大きすぎるわ!
聞こえたかしら…?
聞こえたわよね。すごい声量だもの…。
でも、もしかしたら、誰かとしゃべってて、魔王も聞き逃したってこともあるかもしれないしね。
…って、無理だった!
とてつもない冷気が、どっと押し寄せてきた。
「寒いわ! また、空調をだれか強くしたのね。いくらなんでも強すぎるわ」
あわてて、王妃様が人を呼んでいる。
まずいわ! 早く止めないと、ここらへんが凍りついてしまうじゃない!
私は、魔王ユーリを見る。
が、ユーリの冷たい目は、完全に王様をロックオンしていた。
王様! 両国が繁栄するどころか、両国とも消えてしまいます!
だから、言葉には気をつけて!! もう遅いかもしれないけど…。
そこで紹介されたため、いっせいに、みなさんの視線が私に集中する。
オパール国の王女として、ブルージュ国のみなさまに、少しでも好印象を持っていただかないとね!
そう思って、精一杯、王女らしさをしぼりだして、優雅に微笑んでみる。
ふと、ユーリと目があった。
すると、ユーリが、それはそれは、優雅に微笑んだ。
あ、それそれ。そんな笑顔をしようとしてるんだけどね。
悲しいことに、真似できないわね…。
表情筋が疲れてきたところで、着席。
つかれた顔を、ふにゃふにゃっとゆるめて、くつろがしていると、デュラン王子がプハッと笑った。
はっとして、まわりを見ると、王妃様も王太子様も王様までもが微笑んでいる。
あ、見られてた…!
一気に顔が熱くなった。恥ずかしい!
「アデル王女は、本当に、かわいらしい方ね」
と、王妃様が優しくフォローをいれてくださる。
「そうでしょ。ほんと、かわいいんだよ」
と言いながら、私に甘く微笑みかけてくるデュラン王子。
そこで、王太子様が、
「デュラン。アデル王女には婚約者がいるんだからね。忘れないで」
と、からかうように言った。
「そうかな。べつに、忘れてもいいんじゃない?」
と、真顔で答えるデュラン王子。
はいっ?! なんか、おかしな返答だよね?
王太子様もそう思ったのか、笑うのをやめて、
「何言ってるんだ、デュラン? 忘れたらダメに決まってるだろ」
と、釘をさすように言った。
「いやいや、ダメじゃない! デュランも若いんだから、燃えるような恋をしたらいい。本気で好きなら、婚約者から奪ってしまえ! わたしも、王妃を当時の婚約者から奪ったからな。ハッハッハ!」
と、王様がグラスを手に、豪快に笑った。
もしや、もう酔っぱらってますか?
最初の印象とかなり違ってますが…。
しかも、物語のようなそのお話、本当なのかしら?!
思わず、王妃様を見ると、困ったように微笑んだ。
「アデル王女の前で、話を捏造しないでください」
えっ、捏造?!
驚いている私にむかって、王妃様が、
「私の最初の婚約者は、他国の王子で政略だったんだけど、クーデターがあって、政略の意味がなくなったの。だから、とりやめになっただけなのよ。
それで、次の政略結婚に決まったのが、この国の王だったの。奪ったとかじゃ、全くないのよ?」
そう言って、美しい笑みを浮かべた。
すると、王様は、
「何を言う。政略の意味もあるにはあったが、どれほど、私が王妃に恋焦がれたか! その私の強い念が、王妃の前の婚約をとりやめにしたようなもんだ。つまり、奪ったってことだな! ハッハッハ!」
と、楽しそうに笑った。
やっぱり、酔っぱらってるのかしら?
王様が、すっかり、おもしろいおじさんと化してしまってるわ…。
それにしても、飲み始めたのって今さっきよね。
それで、こんなにご機嫌に酔えるものなのかしら?
などと、考えていると、
「酔っぱらってないよ。父上は、これが素なんだ」
と、デュラン王子が、笑いながら言った。
「えっ、また、心の声がでてた?」
思わず口をおさえながら、デュラン王子に聞く。
他国訪問で、この癖はまずいわ!
「大丈夫。今は、何も言ってなかったよ。でも、アディーの顔を見てたら、言いたいことがわかるんだよね。もう、すっかり心がつながってるんだね、アディーと」
と、デュラン王子が、甘ったるい雰囲気を爆発させた。
ご家族の前でも、変わらないその態度。なんだか、すごいわ…。
その様子を見ていた王様が、
「ハーッ、こりゃいい! アデル王女とデュランが結婚したら、隣の国とも親戚になる。助け合って、両国とも、ますます繁栄できるな!
デュラン、がんばれ! ハッハッハ!」
と、大笑いしている。
ご機嫌のところ、すみませんが、…なんてことを言うの?!
しかも声が大きすぎるわ!
聞こえたかしら…?
聞こえたわよね。すごい声量だもの…。
でも、もしかしたら、誰かとしゃべってて、魔王も聞き逃したってこともあるかもしれないしね。
…って、無理だった!
とてつもない冷気が、どっと押し寄せてきた。
「寒いわ! また、空調をだれか強くしたのね。いくらなんでも強すぎるわ」
あわてて、王妃様が人を呼んでいる。
まずいわ! 早く止めないと、ここらへんが凍りついてしまうじゃない!
私は、魔王ユーリを見る。
が、ユーリの冷たい目は、完全に王様をロックオンしていた。
王様! 両国が繁栄するどころか、両国とも消えてしまいます!
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