61 / 158
反省会
しおりを挟む
騎士団長のラルフさんが退席した後、打ち合わせは打ち切られました…。
結局、ブルージュ国での予定は、ジリムさんにまるなげになりました…。
本当にすみません…。
5日後に出発で、時間もないため、しなければならないことが満載のジリムさん。
素早く書類をまとめて、でていこうとすると、
「ジリム、あとはまかせたよ~」
と、のんきに手をふるデュラン王子。
が、すぐさま、
「は?! あなたも来るんですよ!!」
と、ジリムさんに引きずられていった。
そして、ルイ兄様は、ユーリに、
「それじゃあ、こっちで準備することは、ユーリがしきってね」
と、それだけ言うと、あっという間に部屋から退出していった。
逃げ足が速いわ、ルイ兄様!
では、私も、続いて退席しましょうかね…?
そろっと席から立ちあがると、
「どこ行くの? アデル」
魔王様が、やっと言葉を発せられました。
ぎぎっと、お隣を向くと、きれいなお顔が冷え冷えとしているわ。
「えっと、打ち合わせも終わったみたいだし、私も部屋に帰ろうかなあって…」
「座って」
真顔のユーリ様が、怖い…。とりあえず、言われたとおりにしておこう。
私が座ると、椅子ごとユーリの方向にぐいっとまわされ、お互いが向かいあう形になった。
「…なに?」
おそるおそる聞いてみる。
「反省会でもしようと思って」
と、ユーリ。
「反省会? なんの?」
「アデルの」
ん? 私の反省会? …って、なに?!
「えっと、私、反省するようなことしてないよね?」
だって、場を荒らしていたのは、主に、ルイ兄様と、あなたがた魔王二人でしょ?
「へえ、自覚がないんだ。どうやって、わからせようかな?」
ひんやりとした口調で、体が冷える。
外は暑いけど、ここに暖房をつけてください!
「ねえ、俺が盛大に愛の告白をしたのに、なんで無視して、ブルージュ国に行きたがるの?」
え? 愛の告白? そんなことあったっけ?
…あ、もしや、国をつぶす発言のこと?
「いやいや、あれは、愛の告白じゃなくて、ルイ兄様を滅ぼす話でしょ。それに、ブルージュ国に行きたいというよりは、リッカ先生に会いたいの! すごいファンなの、ユーリは知ってるよね?」
と、ここは、絶対、引けないとこなので、負けないように、胸をはって主張する。
「ふーん。じゃあさ、俺とリッカ先生とどっちが大事なの? アデルは」
なんだ、その質問は?
決まってるじゃない。それは、リッカ先生の作品です!
…なーんて言えないから、
「比べられないわよね」
と、無難な感じで答えてみる。
が、ユーリの宝石みたいな目で見据えられると、私の目が泳ぎまくってしまうわ…。
「なるほどね…。わかった、俺が間違ってた。本に負けるなんて、今後はもっと攻めてくね」
ご遠慮いたします。そして、その狂暴なまなざし、怖いんだけど…。
そして、ユーリは、すっと私の方に体をよせてきて、私がしているチョーカーの宝石にぴたりと指をあてた。
「…な、なに? なんですか、ユーリさん?!」
えっと、まさか、そこを押すの?
首の真ん中だよ。押されたら、死んじゃう感じ?!
実は、この宝石は推すと、命のカウントダウンがはじまるスタートボタンみたいな感じなの?!
「これ、全然、効かなかったね。どうしようかな…」
ユーリはそう言いながら、指を、チョーカーにそって、なぞらせはじめた。
「ひゃ! ちょっと、やめてよ!!」
くすぐったくて、ぞわぞわするから、やめてー!
真っ赤になって、嫌がる私を見て、やっと、ユーリが笑った。
楽しそうに。ほんと、いい性格してるよね…。
そして、言った。
「でも、二人で旅行だなんて、初めてだね。ねえ、アデル」
いやいや、二人では全然ないですが?
「アデルは、すぐに虫を引き寄せるから油断できないけど、新婚旅行だと思って、楽しもうね?」
そう言って、妖艶な笑みを浮かべた。
ユーリさん、色々間違ってますよ?
旅行に行く前から、面倒なことが起こりそうな予感がびしびしするわね…。
でも、リッカ先生に会えるんだから、がんばるのよ、私!
結局、ブルージュ国での予定は、ジリムさんにまるなげになりました…。
本当にすみません…。
5日後に出発で、時間もないため、しなければならないことが満載のジリムさん。
素早く書類をまとめて、でていこうとすると、
「ジリム、あとはまかせたよ~」
と、のんきに手をふるデュラン王子。
が、すぐさま、
「は?! あなたも来るんですよ!!」
と、ジリムさんに引きずられていった。
そして、ルイ兄様は、ユーリに、
「それじゃあ、こっちで準備することは、ユーリがしきってね」
と、それだけ言うと、あっという間に部屋から退出していった。
逃げ足が速いわ、ルイ兄様!
では、私も、続いて退席しましょうかね…?
そろっと席から立ちあがると、
「どこ行くの? アデル」
魔王様が、やっと言葉を発せられました。
ぎぎっと、お隣を向くと、きれいなお顔が冷え冷えとしているわ。
「えっと、打ち合わせも終わったみたいだし、私も部屋に帰ろうかなあって…」
「座って」
真顔のユーリ様が、怖い…。とりあえず、言われたとおりにしておこう。
私が座ると、椅子ごとユーリの方向にぐいっとまわされ、お互いが向かいあう形になった。
「…なに?」
おそるおそる聞いてみる。
「反省会でもしようと思って」
と、ユーリ。
「反省会? なんの?」
「アデルの」
ん? 私の反省会? …って、なに?!
「えっと、私、反省するようなことしてないよね?」
だって、場を荒らしていたのは、主に、ルイ兄様と、あなたがた魔王二人でしょ?
「へえ、自覚がないんだ。どうやって、わからせようかな?」
ひんやりとした口調で、体が冷える。
外は暑いけど、ここに暖房をつけてください!
「ねえ、俺が盛大に愛の告白をしたのに、なんで無視して、ブルージュ国に行きたがるの?」
え? 愛の告白? そんなことあったっけ?
…あ、もしや、国をつぶす発言のこと?
「いやいや、あれは、愛の告白じゃなくて、ルイ兄様を滅ぼす話でしょ。それに、ブルージュ国に行きたいというよりは、リッカ先生に会いたいの! すごいファンなの、ユーリは知ってるよね?」
と、ここは、絶対、引けないとこなので、負けないように、胸をはって主張する。
「ふーん。じゃあさ、俺とリッカ先生とどっちが大事なの? アデルは」
なんだ、その質問は?
決まってるじゃない。それは、リッカ先生の作品です!
…なーんて言えないから、
「比べられないわよね」
と、無難な感じで答えてみる。
が、ユーリの宝石みたいな目で見据えられると、私の目が泳ぎまくってしまうわ…。
「なるほどね…。わかった、俺が間違ってた。本に負けるなんて、今後はもっと攻めてくね」
ご遠慮いたします。そして、その狂暴なまなざし、怖いんだけど…。
そして、ユーリは、すっと私の方に体をよせてきて、私がしているチョーカーの宝石にぴたりと指をあてた。
「…な、なに? なんですか、ユーリさん?!」
えっと、まさか、そこを押すの?
首の真ん中だよ。押されたら、死んじゃう感じ?!
実は、この宝石は推すと、命のカウントダウンがはじまるスタートボタンみたいな感じなの?!
「これ、全然、効かなかったね。どうしようかな…」
ユーリはそう言いながら、指を、チョーカーにそって、なぞらせはじめた。
「ひゃ! ちょっと、やめてよ!!」
くすぐったくて、ぞわぞわするから、やめてー!
真っ赤になって、嫌がる私を見て、やっと、ユーリが笑った。
楽しそうに。ほんと、いい性格してるよね…。
そして、言った。
「でも、二人で旅行だなんて、初めてだね。ねえ、アデル」
いやいや、二人では全然ないですが?
「アデルは、すぐに虫を引き寄せるから油断できないけど、新婚旅行だと思って、楽しもうね?」
そう言って、妖艶な笑みを浮かべた。
ユーリさん、色々間違ってますよ?
旅行に行く前から、面倒なことが起こりそうな予感がびしびしするわね…。
でも、リッカ先生に会えるんだから、がんばるのよ、私!
26
お気に入りに追加
368
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました
冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。
家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。
過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。
関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。
記憶と共に隠された真実とは———
※小説家になろうでも投稿しています。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる