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びっくりですが
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食事兼お茶の時間も終わり、さあ帰ろうと思ったら、ユーリがリボンがかかった箱を二つさしだしてきた。
「さっき、子どもたちにお土産を渡したけど、アデルにもあるんだよ。どうぞ」
「え、ありがとう」
ふと、さっきの動物たちのお菓子がうかぶ。かわいいけれど、かわいそうな感じの…。
「ほら、開けてみて」
ユーリが微笑んだ。
なんだろう。長年の習性で、つい警戒してしまうんだけれど。危険物ではないよね?
まず、少し大きめの箱の方から、リボンをほどいて、ふたを開ける。
「えっ! きれい! ネックレスだ!」
びっくりした!
ユーリからもらうのは、いつも、美味しいお菓子だから、アクセサリーなんて初めて。
「つけてみて?」
ユーリにうながされ、ネックレスを手にとった。
ハート型の一粒の宝石が青く輝いていて、本当にきれい!
こうみえて、きれいなものも好きなんです。ドキドキ。
では、早速、つけてみようっと!
「あれ? これ、すごく短くない?」
つけてみたら、ぴったりと、首にはまってしまった。
「チョーカーだからね」
なるほど。短すぎて、自分では見えない。あとで、鏡で見てみようっと!
「でも、すごい! 私の首に、ぴったりのサイズだね」
すると、ユーリは、
「オーダーだから。だって、ゆるんでたら、首輪にならないでしょ」
と、しれっと答えた。
「え、首輪?! ちょっと、なにそれ?」
「もちろん、飼い主から逃げないようにだよ」
と、ユーリが甘い微笑みをなげかけてくる。
いやいや、それダメだから!
私はユーリの犬じゃないから!
「ほら、もうひとつのほうも開けてみて」
もう、嫌な予感しかない。が、小さい箱のほうも言われるがまま開けてみた。
うっ…! なんてこと!
悔しいけれど、不覚にも、一目ぼれしてしまったわ。
だって、だって、だって、
「これって、本のしおりでしょ?!」
私は手にとって、その美しい品物を、食い入るように見つめながら言った。
ユーリは、そんな私を見て、楽しそうにうなずいた。
純金の流れるようなフォルム。その先に垂れ下がる、雫型の輝く青い宝石。
チョーカーとおそろいの宝石よね。
なんて、贅沢なしおりなの!! 素敵すぎる!! 本好きの私、胸をうちぬかれました!!
「うれしい! うれしい! うれしーい! ありがとう、ありがとう、ありがとう、ユーリ!!」
うれしすぎて、思わず、連呼してしまった。
「どういたしまして。そんなに喜んでもらえて、ぼくも嬉しいよ。ちなみに、その青い宝石を探すのに、すごく時間がかかったんだ」
「どちらも同じ宝石よね。まったく同じ色だもの。すごい、きれいよねー! この色、好き!」
私がそう言うと、ユーリはとろけるように笑った。
「良かった。それ、ぼくの瞳の色だから。アデルが好きだなんて嬉しいよ」
え、気づかなかった…。
手に持っている本のしおりの宝石と、ユーリの瞳を見比べてみる。
あ! ほんと! 微妙な色あいまでそっくりの青色だわ!
改めてみると、本当にユーリの瞳ってきれいな色よね。
思わず、すいこまれそうになったわ。あぶない、あぶない…。
「チョーカーの宝石は、アデルを見る人に、僕の目が監視していることをわからせられるし、本のしおりの宝石は、アデル自身が、僕が見ていることを思い出す。いいアイデアでしょ」
と、ユーリがにっこり微笑む。
いやいや、かわいく微笑まれてもね…。
なんだか、理由が怖いんですが…。
さっきまでの喜びが一気に半減してしまう…。
私は、このプレゼントを使っても大丈夫なのかしら?
「さっき、子どもたちにお土産を渡したけど、アデルにもあるんだよ。どうぞ」
「え、ありがとう」
ふと、さっきの動物たちのお菓子がうかぶ。かわいいけれど、かわいそうな感じの…。
「ほら、開けてみて」
ユーリが微笑んだ。
なんだろう。長年の習性で、つい警戒してしまうんだけれど。危険物ではないよね?
まず、少し大きめの箱の方から、リボンをほどいて、ふたを開ける。
「えっ! きれい! ネックレスだ!」
びっくりした!
ユーリからもらうのは、いつも、美味しいお菓子だから、アクセサリーなんて初めて。
「つけてみて?」
ユーリにうながされ、ネックレスを手にとった。
ハート型の一粒の宝石が青く輝いていて、本当にきれい!
こうみえて、きれいなものも好きなんです。ドキドキ。
では、早速、つけてみようっと!
「あれ? これ、すごく短くない?」
つけてみたら、ぴったりと、首にはまってしまった。
「チョーカーだからね」
なるほど。短すぎて、自分では見えない。あとで、鏡で見てみようっと!
「でも、すごい! 私の首に、ぴったりのサイズだね」
すると、ユーリは、
「オーダーだから。だって、ゆるんでたら、首輪にならないでしょ」
と、しれっと答えた。
「え、首輪?! ちょっと、なにそれ?」
「もちろん、飼い主から逃げないようにだよ」
と、ユーリが甘い微笑みをなげかけてくる。
いやいや、それダメだから!
私はユーリの犬じゃないから!
「ほら、もうひとつのほうも開けてみて」
もう、嫌な予感しかない。が、小さい箱のほうも言われるがまま開けてみた。
うっ…! なんてこと!
悔しいけれど、不覚にも、一目ぼれしてしまったわ。
だって、だって、だって、
「これって、本のしおりでしょ?!」
私は手にとって、その美しい品物を、食い入るように見つめながら言った。
ユーリは、そんな私を見て、楽しそうにうなずいた。
純金の流れるようなフォルム。その先に垂れ下がる、雫型の輝く青い宝石。
チョーカーとおそろいの宝石よね。
なんて、贅沢なしおりなの!! 素敵すぎる!! 本好きの私、胸をうちぬかれました!!
「うれしい! うれしい! うれしーい! ありがとう、ありがとう、ありがとう、ユーリ!!」
うれしすぎて、思わず、連呼してしまった。
「どういたしまして。そんなに喜んでもらえて、ぼくも嬉しいよ。ちなみに、その青い宝石を探すのに、すごく時間がかかったんだ」
「どちらも同じ宝石よね。まったく同じ色だもの。すごい、きれいよねー! この色、好き!」
私がそう言うと、ユーリはとろけるように笑った。
「良かった。それ、ぼくの瞳の色だから。アデルが好きだなんて嬉しいよ」
え、気づかなかった…。
手に持っている本のしおりの宝石と、ユーリの瞳を見比べてみる。
あ! ほんと! 微妙な色あいまでそっくりの青色だわ!
改めてみると、本当にユーリの瞳ってきれいな色よね。
思わず、すいこまれそうになったわ。あぶない、あぶない…。
「チョーカーの宝石は、アデルを見る人に、僕の目が監視していることをわからせられるし、本のしおりの宝石は、アデル自身が、僕が見ていることを思い出す。いいアイデアでしょ」
と、ユーリがにっこり微笑む。
いやいや、かわいく微笑まれてもね…。
なんだか、理由が怖いんですが…。
さっきまでの喜びが一気に半減してしまう…。
私は、このプレゼントを使っても大丈夫なのかしら?
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追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
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