天使かと思ったら魔王でした。怖すぎるので、婚約解消がんばります!

水無月あん

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魔除け

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「それより、ユーリ。どうしてここがわかったの?」

質問には、質問でお返しよ!

「ああ、そんなこと。それは、魔除けをつけてたからだよ。ほら、アデルの頭に。忘れた?」

魔除けをつけた? 頭、頭、頭?

…あああああ!! 思い出したっ!!

市場で、ユーリが私と離れる時、頭のてっぺんに、キキキキ…、したわね!
思い出したら、顔が一気にほてってきた。

思わず、頭を手で隠して、ユーリから後ずさる。

「でも、その魔除けで、なんでわかるの? まさか、私の居場所をユーリに知らせる機能があるの?」

「そうだね。なんでもわかるよ。アデルに起きたこと」

なんですって! 
なんて、おそろしいの! 魔王の魔除け!

「たとえば、何を知ってるの?!」
おそるおそる、聞いてみる。

「卵がわれるようになったこと」

えええ! すごい、あたってる!

「ほ、他には…?」

「そうだね。助手だなんていって、浮かれてたこと? 他の男のそばでね。ほんと、ひどいよね。これって、浮気じゃない? ねえ、アデル」

なんだか、語尾にいくほど、こわいんですが…。

ええと、私、浮かれてたかしら?
いや、でも…、確かに、楽しかったかも。

ってことは、あたってるじゃない!
こんな、おそろしい魔除け、さっさととってもらわなきゃ!

「ちょっと、ユーリ! こんなおそろしい魔除け、早くとってよ!」

「んー、どうしようかな? アデル次第かな?」

「どうでもいいから、とって!」

「じゃあ、ひとつお願い聞いてくれる?」
ユーリの目が、やけに光ってる。魔王感がすごいよ。

「…お願いってなに?」

「簡単なことだよ。ほら、ぼく、アデルに追い返されて、傷ついたんだよね」
と、かけらも傷ついてない顔で言った。

「そうかしら?」

「だから、この後、二人でお茶してよ」

お茶…。まあ、それくらいなら、大丈夫。命はとられないだろうし。

「わかったわ! じゃあ、早くとって」

ユーリは微笑むと、近寄ってきて、両手で頭を押さえた。
魔除けをつけた時と同じね。
でも、両手でおさえて、どうやってとるの?

と、思ったら、ユーリの顔が私の顔に近づいてくる。

「ちょっと待って! えっと、頭のてっぺんにつけたよね? なんで、顔に近づいてくるの?」

ユーリは、怪しげな顔で微笑んだ。
「つける時は、頭のてっぺんだけど、とる時は、違う場所に同じことをするんだよ」

はあ?! そんな魔除けってある?!

「はい、そこまで」
声とともに、私の顔とユーリの顔の間に手がおりてきた。
デュラン王子の手だ。

「次期公爵。いたいけな少女をだまして、なにやってるの?」
デュラン王子が、ユーリを冷たい目で見る。

私、やっぱりだまされてたのね?

「部外者は邪魔しないでくれる? 婚約者同志のたわむれだから」
ユーリが嫌そうに言った。

急にあたりが寒くなってきた。ほら、マルクがふるえてる。

と、そこへ、ロイドと師匠が入ってきた。

「ドーラさん、だいぶん良くなってきました。…次期公爵は、なぜここに?」
ロイドの冷たい声が響く。

うん、ややこしくなってきた。同じ質問のループだわ。

「そろそろ、アデルを返してもらおうと思って」

「アデル様を、あなたに返す理由がありません。王宮には私が送りますから。どうぞ、お帰りください」

お願いだから、あおらないで、ロイド!
ユーリ、そんな凶悪な目でにらまない!

そして、デュラン王子と師匠、観察してないで、とめて!

なんだか、ゴーゴーと北風が舞う音が聞こえるわ。
どんどん温度がさがっていくみたい。まるで、極寒の地ね。

マルクは、もう凍りついている。

あ、ダニエルまで、かたまりはじめた。
魔王二人に免疫がないから大変。早く助けなきゃ!

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