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寒気がするわ

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「やってみる。ありがとう、アディー」
私のアイデアを聞いて、ダニエルが大きな目を輝かせた。

いいえ、天使のお役にたてたなら、うれしいわ。

ダニエルは、手早く、小鍋に、ちぎったパンと牛乳、砂糖を入れ、火にかける。
そして、「卵は最後にいれたらいいよね」と、つぶやいた。

あ、卵は私がわります! と言う間もなく、すでに卵はわられ、混ぜられた。

早いね、ダニエル。

あっという間に、フレンチトーストっぽい、パンのおかゆができました。

「すごいわ! ダニエル。将来はお料理をする人になるの?」

「うん、甘いものを作る人になりたいんだ」

「えっ、うれしい! 私、甘いものが大好きなの! ダニエルがお店をだしたら、絶対買いにいくわね! 楽しみね!」

ダニエルは、「いくらなんでも、気が早いよ」と、はずかしそうに笑った。

いえいえ、甘いものを作る人が身近にできるなんて、うれしくって、想像がふくらむわ!
甘いもの大好き同盟のマルクも師匠も、大喜びよ!

「さあ、できた。みんな、ごはんだよ。手を洗ってきて!」
ダニエルが呼びかけると、子どもたちは、わらわらと、手を洗いに部屋をでていった。

「じゃあ、ドーラさんのおかゆ、私が持っていこうか…」
と、言いかけたところで、ばっちり師匠と目があった。

目の圧が何かを訴えかけてきている…。

「師匠、ドーラさんのおかゆだけど、持っていってくれる?」

圧に負けました…。

横でダニエルが笑っている。あ、いろいろ、ばれてるのね。

しっぽをぶんぶんふっているのが見えるほど、うれしそうな師匠。
ドーラさんの食事をもって、すばやく部屋からでていった。

がんばれ、師匠!

「二人ともお疲れ様。かわいいアディーも堪能できたけど、二人がどんどん仲良くなるから、やけちゃったよ」
デュラン王子が、いつものごとく、甘く微笑む。

すると、ダニエルが、
「デュー先生って、アディーのことが好きなの?」
と、たずねた。

あ、デュラン王子は甘い言葉がお得意だから、真剣にとらないでね、と言おうとしたら、
「まっすぐな質問だね、少年。アディーのことは、とても好きだよ」
と、先に答えた。

「へえ、そうなんだ。先生が助手をね…」

あれ、ダニエル。のどの調子がおかしいの? 大丈夫かしら?
さっきまで、天使みたいなかわいい声だったのにね。

ダニエルはお皿を並べながら、
「でも、先生とアディーって、年がかなりはなれてるんじゃない?」
と、質問を続ける。

確か、デュラン王子は、ユーリと同じよね。

「8歳違いかな。でも、愛に年齢は関係ないよ、少年」

私たちには、愛も関係ないけれどね。
それに、少年じゃなく、ダニエルよ。
デュラン王子は、ダニエルの名前を覚えてないのかしら?

「そうかな? ぼくは、アディーには年が近い人のほうがあってると思うけど」

なにかしら? さっきから、妙に寒気がするわね。

ダニエルののどの調子が悪くなって、天使から遠ざかったからかしら。
魔王改め癒しの王子デュー先生の、癒しの時の神々しさが消えたからかしら。
それとも、ドーラさんの風邪がうつったのかしら?

きっと、そうね。今日は沢山食べて、眠る前の本も一冊だけにして、早く寝ようっと。
早めが肝心だものね。
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