14 / 158
魔王、降臨
しおりを挟む
「それで、アデル。さっきのセリフ、なんなの?」
「えっと、さっきの? とは、…なんだっけ?」
ちょっと、とぼけてみる。
「盛大に愛の告白をしてたよね。友情かと思ってたら、真実の愛なんだって? それと」
と、言って、マルクのほうを、ゴミでも見るかのような目で見た。
マルク、目を閉じていて良かったね。
開けてたら、トラウマになる怖さだったよ。
意識をとばし続けているマルクが、なんだかうらやましい。
この目の前にいる、魔王から逃げられてるんだもんね。
まあ、今だけだけど…。
私は、頭をフル回転させた。
どう答えれば、助かるのか。
そして、ひらめきました!
なんだ、簡単じゃない。真実の愛作戦のままでいいんじゃない?
だって、ユーリにとってもいいことだし、ユーリさえ賛同すれば、すぐさま結婚はやまるだろう。
ということで、演技続行!
「そう、その通りよ! マルクとの真実の愛に気づいたの。なので、ユーリとは、婚約を取り消したいと思って。ユーリもそのほうが、いいよね。ユーリだったら、選び放題。ものすごい美女とだって、結婚できるよ。だから、私たちみたいに、お互い好きでもない政略結婚はやめにしよう!」
どうだ! 一気に言いきった!
ユーリのほうは、怖くて見れないけど。
「へええ、驚いたよ、アデル。俺のことまで気遣ってくれてたんだね」
口調は穏やかなのに、冷え冷えとした声に凍えてしまいそう。
なんか、ここ、寒いよ…。
それに、俺って言った?
まずい…。
ユーリが、自分のことを俺って言ったのは、一度しか聞いたことがない。
なぜだか、猛烈に怒っている時だった。
その後、制御できなくなった魔力が暴走したっけね…。
私、生きて帰れますか?
「俺が、嫌なのに、王命だから政略結婚するように見えるんだ、アデルには。なめられたもんだね」
とんでもない! 断じて、なめてません!
「じゃあ、とりあえず、マルクとは、いつから真実の愛をはぐくんでるの?」
そんなこと聞かれるとは思ってなかった。
頭がフリーズしたものの、なんとか答える。
「いつから…、うーん。いつの間にか、かな?」
うん、あいまいで、いい答えがでた。思わず、ほっとする。
「で、マルクのどこが好きなの?」
これまた、難問だ。
「えっと…、寡黙なところ?」
「寡黙?」
いかんいかん、さっきの芝居にひっぱられてた。
「ちがった。えっと、…えっと、優しいところ!」
うん、これが無難だ。
「じゃあ、真実の愛って、なに?」
あ、これなら、マルクに説明したみたいに、言えばいいわね。
「えっと、天国みたいな状態?」
「ってことは、マルクといると、天国みたいな状態ってこと?」
「いや、それはない。…じゃない。そうかも?」
「じゃあ、天国みたいな状態って、どんな状態?」
すごい勢いで質問がとんでくる。
もう、答えるのにせいいっぱいなんだけど…。
「うーん、好きな本が読み放題の状態かな?」
「なるほどね」
あれ、なんか、私、失敗した?!
「えっと、さっきの? とは、…なんだっけ?」
ちょっと、とぼけてみる。
「盛大に愛の告白をしてたよね。友情かと思ってたら、真実の愛なんだって? それと」
と、言って、マルクのほうを、ゴミでも見るかのような目で見た。
マルク、目を閉じていて良かったね。
開けてたら、トラウマになる怖さだったよ。
意識をとばし続けているマルクが、なんだかうらやましい。
この目の前にいる、魔王から逃げられてるんだもんね。
まあ、今だけだけど…。
私は、頭をフル回転させた。
どう答えれば、助かるのか。
そして、ひらめきました!
なんだ、簡単じゃない。真実の愛作戦のままでいいんじゃない?
だって、ユーリにとってもいいことだし、ユーリさえ賛同すれば、すぐさま結婚はやまるだろう。
ということで、演技続行!
「そう、その通りよ! マルクとの真実の愛に気づいたの。なので、ユーリとは、婚約を取り消したいと思って。ユーリもそのほうが、いいよね。ユーリだったら、選び放題。ものすごい美女とだって、結婚できるよ。だから、私たちみたいに、お互い好きでもない政略結婚はやめにしよう!」
どうだ! 一気に言いきった!
ユーリのほうは、怖くて見れないけど。
「へええ、驚いたよ、アデル。俺のことまで気遣ってくれてたんだね」
口調は穏やかなのに、冷え冷えとした声に凍えてしまいそう。
なんか、ここ、寒いよ…。
それに、俺って言った?
まずい…。
ユーリが、自分のことを俺って言ったのは、一度しか聞いたことがない。
なぜだか、猛烈に怒っている時だった。
その後、制御できなくなった魔力が暴走したっけね…。
私、生きて帰れますか?
「俺が、嫌なのに、王命だから政略結婚するように見えるんだ、アデルには。なめられたもんだね」
とんでもない! 断じて、なめてません!
「じゃあ、とりあえず、マルクとは、いつから真実の愛をはぐくんでるの?」
そんなこと聞かれるとは思ってなかった。
頭がフリーズしたものの、なんとか答える。
「いつから…、うーん。いつの間にか、かな?」
うん、あいまいで、いい答えがでた。思わず、ほっとする。
「で、マルクのどこが好きなの?」
これまた、難問だ。
「えっと…、寡黙なところ?」
「寡黙?」
いかんいかん、さっきの芝居にひっぱられてた。
「ちがった。えっと、…えっと、優しいところ!」
うん、これが無難だ。
「じゃあ、真実の愛って、なに?」
あ、これなら、マルクに説明したみたいに、言えばいいわね。
「えっと、天国みたいな状態?」
「ってことは、マルクといると、天国みたいな状態ってこと?」
「いや、それはない。…じゃない。そうかも?」
「じゃあ、天国みたいな状態って、どんな状態?」
すごい勢いで質問がとんでくる。
もう、答えるのにせいいっぱいなんだけど…。
「うーん、好きな本が読み放題の状態かな?」
「なるほどね」
あれ、なんか、私、失敗した?!
41
お気に入りに追加
368
あなたにおすすめの小説
気付いたら最悪の方向に転がり落ちていた。
下菊みこと
恋愛
失敗したお話。ヤンデレ。
私の好きな人には好きな人がいる。それでもよかったけれど、結婚すると聞いてこれで全部終わりだと思っていた。けれど相変わらず彼は私を呼び出す。そして、結婚式について相談してくる。一体どうして?
小説家になろう様でも投稿しています。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました
冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。
家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。
過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。
関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。
記憶と共に隠された真実とは———
※小説家になろうでも投稿しています。
転生したので猫被ってたら気がつけば逆ハーレムを築いてました
市森 唯
恋愛
前世では極々平凡ながらも良くも悪くもそれなりな人生を送っていた私。
……しかしある日突然キラキラとしたファンタジー要素満載の異世界へ転生してしまう。
それも平凡とは程遠い美少女に!!しかも貴族?!私中身は超絶平凡な一般人ですけど?!
上手くやっていけるわけ……あれ?意外と上手く猫被れてる?
このままやっていけるんじゃ……へ?婚約者?社交界?いや、やっぱり無理です!!
※小説家になろう様でも投稿しています
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる