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真実の愛とは、いったい…

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レイラおばさまの話がひととおり終わったので、ついに作戦にでることにした。

「あの…、実は、レイラおばさまに相談があるんです」

「なあに? アデルちゃん」

ここで、ちらりと隣を見る。
マルク、すごい汗だね。大丈夫?

仕方ない。私、一人ですすめるか…。

「今のお話を聞いて、たえられなくなって…。実は、私も真実の愛に気づいたんです!」

レイラおばさまは、もともと大きな目を、さらにぱっちりと見開いた。
そして、パンッと手をうって、たちあがった。

「まあ! アデルちゃん、ほんと?! 真実の愛だなんて、素敵!!」

レイラおばさまは、すでに夢見る表情だ。

「ユーリという立派な婚約者がいるのに申し訳ないんですが、気持ちがとめられなくて…」

「ええ、ええ。真実の愛とは、そういうものよ! こんな身近で真実の愛を見られるなんて、わくわくするわ!」

ええっと、楽しまれているようですが、ちゃんと伝わってますか?
私の婚約者は、あなたの息子ですよ。

どうも、伝わってないような…。
不安になって、再度、ダメ押しをする。

「ユーリという婚約者がいても、自分の気持ちがごまかせないんです。さっきのお芝居のように…」

レイラおばさまは、両手をあわせ、目をきらきらさせている。

「ユーリのことなんて、この際どうでもいいのよ、アデルちゃん」

えっ?!

「真実の愛だもの。自分の気持ちに正直にならなきゃ。で、その相手はだれなの?!」

隣を見る。もはや、完全に銅像のように固まっているマルク。

こんなのが、真実の愛の相手だなんて、…言いづらい。
が、言わないと!

「マルク…、マルク、そこのマルクです!」

レイラおばさまの動きが、しばし、とまった。
そして、マルクを見る。
マルク、銅像のまま。

すると、今度は、レイラおばさまが、残念そうな顔をして、私を見た。

「わかる、わかるわ。アデルちゃん」

えっと、なにがでしょうか?

「真実の愛にあこがれて、見つけようとあせっているのね」

いえ、まったく。

「それで、勘違いしてしまったのね。だって、…これは真実の愛ではないと思うわ」

そう言うと、かわいそうなものを見る目で、銅像のままのマルクを見た。

確かに、これはないかも。
…いやいや、なくても、ありにしないと!

「いえ、本当にそうなんです。私たち、近くにいすぎて、気づかなかったんです。友情だと思ってたら、ちがったんです! 愛です! 愛なんです! そう、真実の愛なんです!」

よくわからないので、途中から、愛を連呼だ。



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