8 / 158
第一王女カレナ
しおりを挟む
残念ながら、私とユーリは、去年、正式に婚約した。
その時の状況を少し説明したいと思う。
もちろん、嫌だ嫌だと、散々言ったが、だれもが本気にしなかった。
「アデルは恥ずかしがってるんです。わかるよ。そういう年頃だからね」
ユーリがそう言うと、みんな納得し、私に生暖かい笑顔をむけてきた。
いやいや、本当に嫌なんだから!
が、姉で、第一王女のカレナ姉様だけは、なにか、ユーリの裏を感じ取ったよう。
完璧すぎて、うさんくさい。
アデルを見る目が気に入らない。
と、言い始めた。
カレナ姉様は、見た目は、はかなげな美人で、完璧な王女を演じているが、中身は、野性味あふれ、直感で生きている。
うん、ギャップがすごい。
私は婚約を解消するために、カレナ姉様に協力を求めた。
「大丈夫よ、アデル。すべて、このお姉さまにまかせておきなさい!」
そう言って、まず、兄である王太子、ルイ兄様にかけあってくれた。
「アデルが嫌なら、きっとすぐに動いてくれるわよ」
が、結果は…。
「アデルがお嫁にいくのは、ぼくも嫌だよ。でもね、悔しいけれど、ユーリほど優秀な男は、なかなかいないんだ。かわいいアデルを託すなら、やはり、ユーリぐらいじゃないと、ぼくも安心できなくてね」
そう、ルイ兄様は、すでに、ユーリにとりこまれていた。
語学にたけたユーリは、外交問題など、王太子に的確なアドバイスをし、今や、ゆるぎない参謀の座を得ていた。
あの男にぬかりなし。
もちろん、王も王妃もユーリを絶賛している。
「大丈夫よ、アデル。ユーリの化けの皮をはいで、アデルを守ってあげるからね」
そう言って、カレナ姉様は、自分の胸をポーンと力強くたたいてみせた。
なんて、頼もしい! 持つべきものは、野性味あふれる姉だわ。
…が、そのわずか一週間後。
カレナ姉様は、シンガロ国への輿入れが決まった。
そのニュースを聞くやいなや、部屋に突撃した私に、カレナ姉様はこう言った。
「あのね、アデル。よく考えたんだけど、ユーリもそう悪くはないと思うのよね」
はい? 何を言ってるんですか?
「だって、今回のことでは、すごく動いてくれたみたい。おかげで、ようやく、ミカル様と結婚できるようになったもの」
そう言って、甘ったるい笑みをうかべた。
そう、カレナ姉様は、シンガロ国の王太子である婚約者のミカル様にベタボレなのだ。
だが、シンガロ国のごたごたで、婚姻がのびにのびて、暗礁にのりあげていた。
が、ユーリの働きで、急遽、決まったらしい。
におう。やっぱり、におうよね。
「だから、ユーリとちゃんとむきあってみなさい。私はいいと思うわよ」
カレナ姉様、敗れたり。
こうして、カレナ姉様は、早々に、シンガロ国へと旅立っていった。
まあ、この前みたいに、シンガロ国の人気の本を、沢山おくってきてくれるから、いいんだけどね…。
ということで、婚約を解消するためには、自分でどうにかするしかない。
魔王に支配されないため、のびのび、だらだら、本を読む生活をおくるため、がんばろう、私!
その時の状況を少し説明したいと思う。
もちろん、嫌だ嫌だと、散々言ったが、だれもが本気にしなかった。
「アデルは恥ずかしがってるんです。わかるよ。そういう年頃だからね」
ユーリがそう言うと、みんな納得し、私に生暖かい笑顔をむけてきた。
いやいや、本当に嫌なんだから!
が、姉で、第一王女のカレナ姉様だけは、なにか、ユーリの裏を感じ取ったよう。
完璧すぎて、うさんくさい。
アデルを見る目が気に入らない。
と、言い始めた。
カレナ姉様は、見た目は、はかなげな美人で、完璧な王女を演じているが、中身は、野性味あふれ、直感で生きている。
うん、ギャップがすごい。
私は婚約を解消するために、カレナ姉様に協力を求めた。
「大丈夫よ、アデル。すべて、このお姉さまにまかせておきなさい!」
そう言って、まず、兄である王太子、ルイ兄様にかけあってくれた。
「アデルが嫌なら、きっとすぐに動いてくれるわよ」
が、結果は…。
「アデルがお嫁にいくのは、ぼくも嫌だよ。でもね、悔しいけれど、ユーリほど優秀な男は、なかなかいないんだ。かわいいアデルを託すなら、やはり、ユーリぐらいじゃないと、ぼくも安心できなくてね」
そう、ルイ兄様は、すでに、ユーリにとりこまれていた。
語学にたけたユーリは、外交問題など、王太子に的確なアドバイスをし、今や、ゆるぎない参謀の座を得ていた。
あの男にぬかりなし。
もちろん、王も王妃もユーリを絶賛している。
「大丈夫よ、アデル。ユーリの化けの皮をはいで、アデルを守ってあげるからね」
そう言って、カレナ姉様は、自分の胸をポーンと力強くたたいてみせた。
なんて、頼もしい! 持つべきものは、野性味あふれる姉だわ。
…が、そのわずか一週間後。
カレナ姉様は、シンガロ国への輿入れが決まった。
そのニュースを聞くやいなや、部屋に突撃した私に、カレナ姉様はこう言った。
「あのね、アデル。よく考えたんだけど、ユーリもそう悪くはないと思うのよね」
はい? 何を言ってるんですか?
「だって、今回のことでは、すごく動いてくれたみたい。おかげで、ようやく、ミカル様と結婚できるようになったもの」
そう言って、甘ったるい笑みをうかべた。
そう、カレナ姉様は、シンガロ国の王太子である婚約者のミカル様にベタボレなのだ。
だが、シンガロ国のごたごたで、婚姻がのびにのびて、暗礁にのりあげていた。
が、ユーリの働きで、急遽、決まったらしい。
におう。やっぱり、におうよね。
「だから、ユーリとちゃんとむきあってみなさい。私はいいと思うわよ」
カレナ姉様、敗れたり。
こうして、カレナ姉様は、早々に、シンガロ国へと旅立っていった。
まあ、この前みたいに、シンガロ国の人気の本を、沢山おくってきてくれるから、いいんだけどね…。
ということで、婚約を解消するためには、自分でどうにかするしかない。
魔王に支配されないため、のびのび、だらだら、本を読む生活をおくるため、がんばろう、私!
20
お気に入りに追加
373
あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

職業『お飾りの妻』は自由に過ごしたい
LinK.
恋愛
勝手に決められた婚約者との初めての顔合わせ。
相手に契約だと言われ、もう後がないサマンサは愛のない形だけの契約結婚に同意した。
何事にも従順に従って生きてきたサマンサ。
相手の求める通りに動く彼女は、都合のいいお飾りの妻だった。
契約中は立派な妻を演じましょう。必要ない時は自由に過ごしても良いですよね?

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜
言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。
しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。
それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。
「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」
破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。
気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。
「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。
「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」
学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス!
"悪役令嬢"、ここに爆誕!

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜
早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる