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怖いです!
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「本当にエリカさんは困ったものですね。ルシェルの腕に無理をさせて」
王太子様はそう言いながら、エリカ様にひっぱられている私の腕を両手で持った。
「ぼくが支えますから、力をぬいてください。ね、ルシェル」
と、優美に微笑む王太子様。瞳がなにやら妖しくゆらめいている。
全力でご遠慮したいわ!
「あの…、そこまでしていただかなくても大丈夫ですよ? というか、やめていただいたほうが、心が平穏でいられますが…?」
動揺しまくる私。
だって、王太子様、支えるというよりも、私の腕を両手でだきかかえているんだもの!
確かに、腕だけで言うと楽にはなった。
でも、その分、心がどんどん削られていくわ!
その時、エリカ様が、
「レオ、これ、借りるわね!」
そう言って、王太子様の上着に手をのばし、ものすごい速さで、王家の紋章が入ったピンを勝手に外した。
え? 何を…?
と思った瞬間、そのピンの先で、自分の指を刺そうとしている。
ロジャー様が叫んだ。
「うわああー、エリカー! 何をしてる?!」
ロジャー様が、すごい勢いでエリカ様の手首をつかんだ。
「エリカ!! 危ないだろっ?!」
ロジャー様が手首をつかんだまま、エリカ様に珍しく大きな声をだす。
すると、エリカ様は悔しそうな顔をして、言った。
「このエメラルド、どうも、エメラルドじゃない気がするのよね…。つまり、エメラルドでなければ、この石があやしい。だって、婚約した当時は、聖女の力を増す癒しの石、エメラルドが指輪に入っているって言ってたもの。エメラルドに似た石に途中ですりかえられたってことでしょ? だから、まず、この石がエメラルドかどうか確認しようと思ったの。でも、私、異世界では宝石と無縁の生活だったし、今も宝石には興味がない。全然、見極められないのよね。ということで、聖女の血をちょっとたらしてみたら、手っ取り早いかなあって。エメラルドなら聖女の血に反応して発光するっていうじゃない? だから、やってみようと思って」
「エリカ。やめてくれ! 血が必要なら、俺がいくらでも出す!」
ロジャー様が、エリカ様の手首をおさえたまま、悲壮な様子で叫んでいる。
王太子様があきれたように、ため息をついた。
「色々つっこみどころの多い二人ですね…。まず、叔父上。叔父上は聖女ではないでしょう? 血をどれだけ大量にかけようが、エメラルドは発光しません」
確かにね。ロジャー様、落ち着いて…。
「次に、エリカさん。大聖女とあろう方が、なんという場当たり的で、乱暴な方法をとろうとするのですか? それと、勝手に人のジャケットからピンを盗まないでもらいたい」
「盗んだじゃなくて、ちょっと借りただけでしょ? 尖ってるから、指が刺しやすそうだし?」
と、反論するエリカ様。
いや、刺しやすそうって、怖いですよ。エリカ様…。
しかも、血がついたピンを王太子様に返すつもりだったんでしょうか? エリカ様…。
そもそも、王家の紋章入りピンをそんな使い方をしようとするなんて、恐ろしすぎます。エリカ様…。
王太子様はそう言いながら、エリカ様にひっぱられている私の腕を両手で持った。
「ぼくが支えますから、力をぬいてください。ね、ルシェル」
と、優美に微笑む王太子様。瞳がなにやら妖しくゆらめいている。
全力でご遠慮したいわ!
「あの…、そこまでしていただかなくても大丈夫ですよ? というか、やめていただいたほうが、心が平穏でいられますが…?」
動揺しまくる私。
だって、王太子様、支えるというよりも、私の腕を両手でだきかかえているんだもの!
確かに、腕だけで言うと楽にはなった。
でも、その分、心がどんどん削られていくわ!
その時、エリカ様が、
「レオ、これ、借りるわね!」
そう言って、王太子様の上着に手をのばし、ものすごい速さで、王家の紋章が入ったピンを勝手に外した。
え? 何を…?
と思った瞬間、そのピンの先で、自分の指を刺そうとしている。
ロジャー様が叫んだ。
「うわああー、エリカー! 何をしてる?!」
ロジャー様が、すごい勢いでエリカ様の手首をつかんだ。
「エリカ!! 危ないだろっ?!」
ロジャー様が手首をつかんだまま、エリカ様に珍しく大きな声をだす。
すると、エリカ様は悔しそうな顔をして、言った。
「このエメラルド、どうも、エメラルドじゃない気がするのよね…。つまり、エメラルドでなければ、この石があやしい。だって、婚約した当時は、聖女の力を増す癒しの石、エメラルドが指輪に入っているって言ってたもの。エメラルドに似た石に途中ですりかえられたってことでしょ? だから、まず、この石がエメラルドかどうか確認しようと思ったの。でも、私、異世界では宝石と無縁の生活だったし、今も宝石には興味がない。全然、見極められないのよね。ということで、聖女の血をちょっとたらしてみたら、手っ取り早いかなあって。エメラルドなら聖女の血に反応して発光するっていうじゃない? だから、やってみようと思って」
「エリカ。やめてくれ! 血が必要なら、俺がいくらでも出す!」
ロジャー様が、エリカ様の手首をおさえたまま、悲壮な様子で叫んでいる。
王太子様があきれたように、ため息をついた。
「色々つっこみどころの多い二人ですね…。まず、叔父上。叔父上は聖女ではないでしょう? 血をどれだけ大量にかけようが、エメラルドは発光しません」
確かにね。ロジャー様、落ち着いて…。
「次に、エリカさん。大聖女とあろう方が、なんという場当たり的で、乱暴な方法をとろうとするのですか? それと、勝手に人のジャケットからピンを盗まないでもらいたい」
「盗んだじゃなくて、ちょっと借りただけでしょ? 尖ってるから、指が刺しやすそうだし?」
と、反論するエリカ様。
いや、刺しやすそうって、怖いですよ。エリカ様…。
しかも、血がついたピンを王太子様に返すつもりだったんでしょうか? エリカ様…。
そもそも、王家の紋章入りピンをそんな使い方をしようとするなんて、恐ろしすぎます。エリカ様…。
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