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王宮で探る 7
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渡り廊下を進んだ先に、厳重に護衛騎士さんが立つ場所に来た。
ここから先が、コリーヌ様の住まわれている場所になる。
以前、アルと婚約の挨拶に王宮へ来た時に、コリーヌ様のお部屋にも寄らせていただいた。だから、今日で2度目。
と、そこに、年配の女性が立っていた。私たちを見て、頭をさげた。
あ、メリルさん! 以前来た時に、紹介していただいた、コリーヌ様の侍女頭の方だ。
今回、私がコリーヌ様のところへ行く本来の目的を知っている。
コリーヌ様の一番身近にいて、コリーヌ様が信頼しているメリルさんには、事情を話して、私が調べやすいように協力してもらうと、アルから事前に言われた。
アルとコリーヌ様の判断で、私の変な能力のことも話していいよ、と言ったけれど、そこは、今のところ、ぼやかしているそう。まあ、実際、その場面を見なかったら、信じられないようなことだしね…。
「メリルさんには機会をみて、わかりやすいように、ガーンと派手にお見せしよう!」
と、私がアルにいったら、アルは苦々しい顔で言った。
「ライラ、見世物じゃないから…。必要なければ、わざわざ見せなくていい。というか、むやみに人に見せようとするな。隠せ。もっと用心してくれ。見知らぬ人を助けるのもやめてほしいくらいだ。ライラを利用しようとする輩がでてくるからな。まあ、でてきても、俺が近づけないが…。が、用心することにこしたことはない…」
と、過保護のアルが発動してしまい、小言がとまらなくなったっけ…。
私たちを待っていてくれたようで、メリルさんは、にっこりと微笑んだ。
「お久しぶりでございます。ライラ様」
「こちらこそ、お久しぶりです、メリルさん。お世話になります!」
私の言葉に、メリルさんは、真剣な表情になった。
「とんでもございません! こちらのほうこそ、コリーヌ様のために、本当にありがとうございます。全力でお手伝いいたしますので、なんなりとお申し付けください」
「メリルは、母上が側妃になった時から、ずっと、仕えてくれているから、たいていのことは知っている。気になることがあれば聞けばいい」
と、アルが言った。
「良かった…! 確認したいこともあるから、心強いです!」
私の言葉に、メリルさんが優しい笑みを浮かべた。
「ライラ様が来られることを、コリーヌ様が首を長くしてお待ちです。こちらへ、どうぞ」
私たちは、メリルさんに案内されて、コリーヌ様のお部屋に通された。
うん、さすが、王宮!
天井が高く、広々としたお部屋には、重厚感のある家具が配置されている。
とはいえ、緊張はしない。あたたかみのあるクリーム色を基調としているので、コリーヌ様らしくて、安心するようなお部屋だから。
更に、奥のお部屋と続く扉をメリルさんが開いた。
その瞬間、ふわっといい香りがして、「うわああ!」と、声をだしてしまった。
だって、驚くほど、沢山のお花、お花、お花!!
「きれい…!」
思わず、感嘆の声をあげたまま、私は、たちつくした。
いろんな種類のお花が飾られているのに、全体的に統一感もあり、幻想的な感じで素敵すぎる!
「ライラちゃん、久しぶり」
と、コリーヌ様がお花の後ろから顔をだされた。
「あ、コリーヌ様! お久しぶりです!」
あわてて、ゆるんだ顔を整えて、カーテシーをする。
「かしこまらないで。ライラちゃんは、私にとったら、大切なお友達でもあり、娘でもあるのよ」
と、優しく声をかけられた。
「ありがとうございます!!」
嬉しすぎて、ものすごく大きな声がでた。
とたんに、後ろから、ジュリアンさんの笑う声が聞こえてくる。が、気にしない。
それより、この素晴らしいお花たちよ!
私は、興奮した状態で言った。
「コリーヌ様! この沢山のお花、すごいですね! 生きたまま天国に来たみたいです!」
私の言葉に、コリーヌ様が嬉しそうに微笑んだ。
いつの間にか、隣に立っていたアルが、「かわいいな…」と、つぶやき、ジュリアンさんの笑う声が大きくなった。
「喜んでもらえて良かったわ。ライラちゃんと言えば、お花だものね。私がいつもお願いしている、お花屋さんがいてね。ライラちゃんをイメージして、私がリクエストした感じで飾ってもらったのよ」
「私をイメージして…? こんな、素敵に…?」
「ええ、そうよ。ライラちゃんって、前にも言ったけど、妖精みたいなのよね。だから、妖精のいる花園をイメージしたの」
私が妖精…? 思わず、とまどっていると、隣のアルが、大きくうなずいた。
「確かに、ライラは妖精みたいに可憐だ」
と、真顔で言うアル。ジュリアンさんがふきだした。
ちょっと、アル…。恥ずかしすぎて死ぬから。
ほんと、やめて…。
※ 更新が遅くなってすみません! もう少し、早めに更新できるようにしたいと思っています。
不定期な更新のなか、読んでくださっている方、本当にありがとうございます!
お気に入り登録、エールもありがとうございます! 大変、励みになります!
ここから先が、コリーヌ様の住まわれている場所になる。
以前、アルと婚約の挨拶に王宮へ来た時に、コリーヌ様のお部屋にも寄らせていただいた。だから、今日で2度目。
と、そこに、年配の女性が立っていた。私たちを見て、頭をさげた。
あ、メリルさん! 以前来た時に、紹介していただいた、コリーヌ様の侍女頭の方だ。
今回、私がコリーヌ様のところへ行く本来の目的を知っている。
コリーヌ様の一番身近にいて、コリーヌ様が信頼しているメリルさんには、事情を話して、私が調べやすいように協力してもらうと、アルから事前に言われた。
アルとコリーヌ様の判断で、私の変な能力のことも話していいよ、と言ったけれど、そこは、今のところ、ぼやかしているそう。まあ、実際、その場面を見なかったら、信じられないようなことだしね…。
「メリルさんには機会をみて、わかりやすいように、ガーンと派手にお見せしよう!」
と、私がアルにいったら、アルは苦々しい顔で言った。
「ライラ、見世物じゃないから…。必要なければ、わざわざ見せなくていい。というか、むやみに人に見せようとするな。隠せ。もっと用心してくれ。見知らぬ人を助けるのもやめてほしいくらいだ。ライラを利用しようとする輩がでてくるからな。まあ、でてきても、俺が近づけないが…。が、用心することにこしたことはない…」
と、過保護のアルが発動してしまい、小言がとまらなくなったっけ…。
私たちを待っていてくれたようで、メリルさんは、にっこりと微笑んだ。
「お久しぶりでございます。ライラ様」
「こちらこそ、お久しぶりです、メリルさん。お世話になります!」
私の言葉に、メリルさんは、真剣な表情になった。
「とんでもございません! こちらのほうこそ、コリーヌ様のために、本当にありがとうございます。全力でお手伝いいたしますので、なんなりとお申し付けください」
「メリルは、母上が側妃になった時から、ずっと、仕えてくれているから、たいていのことは知っている。気になることがあれば聞けばいい」
と、アルが言った。
「良かった…! 確認したいこともあるから、心強いです!」
私の言葉に、メリルさんが優しい笑みを浮かべた。
「ライラ様が来られることを、コリーヌ様が首を長くしてお待ちです。こちらへ、どうぞ」
私たちは、メリルさんに案内されて、コリーヌ様のお部屋に通された。
うん、さすが、王宮!
天井が高く、広々としたお部屋には、重厚感のある家具が配置されている。
とはいえ、緊張はしない。あたたかみのあるクリーム色を基調としているので、コリーヌ様らしくて、安心するようなお部屋だから。
更に、奥のお部屋と続く扉をメリルさんが開いた。
その瞬間、ふわっといい香りがして、「うわああ!」と、声をだしてしまった。
だって、驚くほど、沢山のお花、お花、お花!!
「きれい…!」
思わず、感嘆の声をあげたまま、私は、たちつくした。
いろんな種類のお花が飾られているのに、全体的に統一感もあり、幻想的な感じで素敵すぎる!
「ライラちゃん、久しぶり」
と、コリーヌ様がお花の後ろから顔をだされた。
「あ、コリーヌ様! お久しぶりです!」
あわてて、ゆるんだ顔を整えて、カーテシーをする。
「かしこまらないで。ライラちゃんは、私にとったら、大切なお友達でもあり、娘でもあるのよ」
と、優しく声をかけられた。
「ありがとうございます!!」
嬉しすぎて、ものすごく大きな声がでた。
とたんに、後ろから、ジュリアンさんの笑う声が聞こえてくる。が、気にしない。
それより、この素晴らしいお花たちよ!
私は、興奮した状態で言った。
「コリーヌ様! この沢山のお花、すごいですね! 生きたまま天国に来たみたいです!」
私の言葉に、コリーヌ様が嬉しそうに微笑んだ。
いつの間にか、隣に立っていたアルが、「かわいいな…」と、つぶやき、ジュリアンさんの笑う声が大きくなった。
「喜んでもらえて良かったわ。ライラちゃんと言えば、お花だものね。私がいつもお願いしている、お花屋さんがいてね。ライラちゃんをイメージして、私がリクエストした感じで飾ってもらったのよ」
「私をイメージして…? こんな、素敵に…?」
「ええ、そうよ。ライラちゃんって、前にも言ったけど、妖精みたいなのよね。だから、妖精のいる花園をイメージしたの」
私が妖精…? 思わず、とまどっていると、隣のアルが、大きくうなずいた。
「確かに、ライラは妖精みたいに可憐だ」
と、真顔で言うアル。ジュリアンさんがふきだした。
ちょっと、アル…。恥ずかしすぎて死ぬから。
ほんと、やめて…。
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