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王宮で探る 3
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アルの背中の後ろから、のぞくようにして、イザベル様を観察している私。
「どうだ、何か見えたか?」
アルが前を向いたまま、聞いてきた。
「うん。大きな翼みたいな真っ黒い煙が背後に見えるよ。しかも、羽ばたくような感じで動いてる。多分、相当強い邪気だと思う」
「翼…、ということは鳥? あ、そう言えば、グリシア侯爵の…」
と、つぶやいたアル。
「うん、私も気になってる。ジュリアンさんが、グリシア侯爵家で見た呪術者、鳥を肩にのせていたって言ってたもんね。やっぱり、その鳥、関係がありそうだよね…。そうだ、イザベル様の邪気、ちょっと、すいとってみようか? そうしたら、何かわかるかも。…あ、でも、ここからじゃ遠すぎる。もっと近づかないと」
「ダメだ! 今の話を聞いたら、ますます、あの女にライラを近づけられない!」
「えー! 大丈夫だよ! ほら、すごいチャンスだし」
と言いながら、アルの背中から大きく顔を出した時、イザベル様とばっちり目があった。
「あ、見られた」
思わず、そうつぶやいたら、アルが、「面倒だ。逃げるぞ」と、私のほうへ、体ごと向きなおった。
そして、「抱きかかえるが、気にするな」と、真顔でひとこと。
「はあ? いやいや、なんで?! 恥ずかしいから、やめて?」
あわてて、私を捕まえようとするアルの両手を避ける。
「こら、避けるな」
「いや、避けるよ! それに、私は大丈夫だから、逃げなくていいって。それに、みんな、見てるんだけど?!」
そう言って、王宮で働く人たちのほうをちらっと見る。
「だから、気にするな。ささいなことだ。俺がライラを抱きかかえて逃げることが、何より重要だからな」
アルに、よくわからない過保護モードが発動している!
こうなったら、強硬手段にでなきゃ。
せっかくのチャンスを逃せないし。
ということで、ターゲットを、こっちにおびき寄せる!
私は、アルの隙をつくように、さっと横に飛び、イザベル様の方向に向かって、「ジュリアンさん!」と、大きな声で呼びかけてみた。
令嬢として、王子の婚約者として、無作法でアウトの行動だけれど、今はそれどころじゃない!
私には、コリーヌ様につけられた邪気を調べるという使命があるんだから!
「おい、ライラ!」
アルの焦った声。
「ジュリアンさんが好きなイザベル様なら、絶対いい気はしないはず! 敵情視察に、こっちへやってくるわ! フフ。いいアイデアでしょう?!」
と、自慢げにアルにささやいた。
「ほんと、やめてくれ…」
アルがあきれたように言う。
ジュリアンさんがこっちを振り返ったので、ダメ押しに、手をふってみた。
ぎょっとした顔をしているジュリアンさん。口をパクパク動かして、何か言っている。
そして、イザベル様…、そのお顔、怖すぎる…。
が、私の思ったとおり、つかつかとこっちへ向かって、ものすごい形相で歩いてきた。
背中の黒い翼がゆれている。
「いいか、ライラ。俺に任せろ」
と、アルが言った。
「いえ、私に任せて、アル!」
と、言い返す私。
「こら、大人しくしてろ、ライラ!」
「アルこそ、黙って見ててよ! あたって砕けろよ!」
「いや、砕けるな! 砕けたら、ダメだ!」
と言い争っている間に、猛スピードでやってきたイザベル様。
ジュリアンさんも追いかけてきた。
「アルフォンス殿下、お久しぶりでございます」
と、怒った顔のまま、とりあえず、アルに挨拶をしたイザベル様。
「ああ、久しぶりだな。じゃあ、俺たちは先を急ぐからこれで」
そう言って、私の手をがしっとにぎり、ひっぱっていこうとした。
「あら? アルフォンス殿下、そんなに急がなくても、そちらの方、紹介してくださいませ。それとも、ジュリアン様のほうが、お詳しいのかしら?」
※ 不定期な更新のなか、読んでくださっている方、本当にありがとうございます!
そして、お気に入り登録、エールもありがとうございます!
大変、嬉しく、励みになります!
「どうだ、何か見えたか?」
アルが前を向いたまま、聞いてきた。
「うん。大きな翼みたいな真っ黒い煙が背後に見えるよ。しかも、羽ばたくような感じで動いてる。多分、相当強い邪気だと思う」
「翼…、ということは鳥? あ、そう言えば、グリシア侯爵の…」
と、つぶやいたアル。
「うん、私も気になってる。ジュリアンさんが、グリシア侯爵家で見た呪術者、鳥を肩にのせていたって言ってたもんね。やっぱり、その鳥、関係がありそうだよね…。そうだ、イザベル様の邪気、ちょっと、すいとってみようか? そうしたら、何かわかるかも。…あ、でも、ここからじゃ遠すぎる。もっと近づかないと」
「ダメだ! 今の話を聞いたら、ますます、あの女にライラを近づけられない!」
「えー! 大丈夫だよ! ほら、すごいチャンスだし」
と言いながら、アルの背中から大きく顔を出した時、イザベル様とばっちり目があった。
「あ、見られた」
思わず、そうつぶやいたら、アルが、「面倒だ。逃げるぞ」と、私のほうへ、体ごと向きなおった。
そして、「抱きかかえるが、気にするな」と、真顔でひとこと。
「はあ? いやいや、なんで?! 恥ずかしいから、やめて?」
あわてて、私を捕まえようとするアルの両手を避ける。
「こら、避けるな」
「いや、避けるよ! それに、私は大丈夫だから、逃げなくていいって。それに、みんな、見てるんだけど?!」
そう言って、王宮で働く人たちのほうをちらっと見る。
「だから、気にするな。ささいなことだ。俺がライラを抱きかかえて逃げることが、何より重要だからな」
アルに、よくわからない過保護モードが発動している!
こうなったら、強硬手段にでなきゃ。
せっかくのチャンスを逃せないし。
ということで、ターゲットを、こっちにおびき寄せる!
私は、アルの隙をつくように、さっと横に飛び、イザベル様の方向に向かって、「ジュリアンさん!」と、大きな声で呼びかけてみた。
令嬢として、王子の婚約者として、無作法でアウトの行動だけれど、今はそれどころじゃない!
私には、コリーヌ様につけられた邪気を調べるという使命があるんだから!
「おい、ライラ!」
アルの焦った声。
「ジュリアンさんが好きなイザベル様なら、絶対いい気はしないはず! 敵情視察に、こっちへやってくるわ! フフ。いいアイデアでしょう?!」
と、自慢げにアルにささやいた。
「ほんと、やめてくれ…」
アルがあきれたように言う。
ジュリアンさんがこっちを振り返ったので、ダメ押しに、手をふってみた。
ぎょっとした顔をしているジュリアンさん。口をパクパク動かして、何か言っている。
そして、イザベル様…、そのお顔、怖すぎる…。
が、私の思ったとおり、つかつかとこっちへ向かって、ものすごい形相で歩いてきた。
背中の黒い翼がゆれている。
「いいか、ライラ。俺に任せろ」
と、アルが言った。
「いえ、私に任せて、アル!」
と、言い返す私。
「こら、大人しくしてろ、ライラ!」
「アルこそ、黙って見ててよ! あたって砕けろよ!」
「いや、砕けるな! 砕けたら、ダメだ!」
と言い争っている間に、猛スピードでやってきたイザベル様。
ジュリアンさんも追いかけてきた。
「アルフォンス殿下、お久しぶりでございます」
と、怒った顔のまま、とりあえず、アルに挨拶をしたイザベル様。
「ああ、久しぶりだな。じゃあ、俺たちは先を急ぐからこれで」
そう言って、私の手をがしっとにぎり、ひっぱっていこうとした。
「あら? アルフォンス殿下、そんなに急がなくても、そちらの方、紹介してくださいませ。それとも、ジュリアン様のほうが、お詳しいのかしら?」
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