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交換
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いつもは休み時間になったと思ったら、ルーファスが来る。
だから、休み時間になっても、ルーファスがいないのは不思議な感じ。
でも、もっと不思議な感じなのは、なぜか、グレンがいること。
「えーっと、グレン。いつもは私たちの教室に来ないよね。なのに、なんで、ここに……?」
「あー、気にしないで、ララ。ルーファスにララのことを頼まれただけだから」
と、答えたのはアイリス。
「私のこと……?」
「僕もアイリスと一緒にララのそばにいて、様子を見ててほしいってルーファスに頼まれたんだ」
「え……? 様子を見るもなにも、ここ教室だよ? ほんと、ルーファスは心配性だよね……。そういえば、グレンって、いつも休み時間は次の授業の準備をしてるんでしょ」
「うん」
にっこり答えるグレン。
そう、グレンはおっとりしているけれど、いざ勉強になると、とっても真面目。
地道にがんばるタイプだから、将来、しっかりアイリスを支えるんだろうと思うと頼もしい。
「グレン。ルーファスに頼まれたからって、わざわざここに来なくていいよ。いつもどおり、自分の教室で過ごしてて」
「そうはいかないのよ、ララ」
と、答えたのは、これまたアイリス。
「なんで?」
「ララの日記を書くことになってるんだ」
今度はグレンが楽しそうに答えた。
「は? 私の日記……を、グレンが書く? ごめん、言っている意味が全然わからないんだけど」
「ルーファスが一週間もララと離れていることってないから、すごく心配みたいなんだ」
のんびりした口調で話すグレン。
「だから、私は小さい子どもじゃないんだって……。でも、それで、なんで日記? 意味がわからないんだけど」
首をかしげる私に、アイリスが説明を始めた。
「ルーファスが留守の間、学園で、ララがどう過ごしたか知りたいから、簡単に記録してほしいんだって。怖いわよねー。……でも、ごめん、ララ。それ断れなかった」
「どういうこと?」
「アイリスはね、ルーファスの報酬に目がくらんだんだよ」
いたずらっこみたいに、くすくす笑うグレン。
「ちょっと、グレン! その言い方。人をお金の亡者みたいに言わないでよ! 違うの、ララ。というか違わないか……。まあ、確かにルーファスから得るものと交換だから。ほら、今日からジャナ国の王女様がきてるでしょ? 毎日、ララの学校での様子を書いた日記を公爵家に届けると、かわりに、ルーファスが得たジャナ国の情報を可能な範囲で教えてくれるという……」
「ええと、アイリス? 色々おかしなことがいっぱいで、よくわかんないんだけど……」
「ジャナ国って、この国と交流がないから、いろいろ、未知でしょ? ということは、商売のチャンスが無限にありそうで、正直、ものすごく興味があるの。ということで、ごめん、ララ。欲に目がくらみました。ララが嫌なら、もちろん、ルーファスとの交換を断るから」
と、しょぼんとするアイリス。
一瞬、垂れたネコ耳が見えたような気がして、いとおしくなる。
「私は全然嫌じゃないよ。ただ、ジャナ国の情報という手に入りにくい貴重なものとの交換が、どうでもいい私の日常というのが納得できないだけ。もー、ほんと、ルーファスって心配性で過保護だよね……。年々、酷くなる気がするけど。まあ、でも、そういうことなら、学園で何があったのか自分で簡単に書いて、ルーファスんところに届けてもらうからいいよ。アイリスもグレンも面倒でしょ?」
「あ、ダメダメ。報告書を書くのはグレンがご指名なの。ほら、几帳面だから。私は要点しか書かないからダメなんだって。多分、おおざっぱなララはもっとダメだと思う」
「そうかな……? あ、でも、そういえば、ルーファスって、私にしょっちゅう『何してたの?』って、聞くんだけど、説明すると、『ララは興味のあることしか覚えてないから、僕の知りたいことが全然足りない。僕がそばにいない時は録画しときたいな。いい魔道具ないかなあ』とか、へんな冗談言ってたっけ」
「あー多分、それ冗談じゃないし、怖すぎるって。今度、釘さしとくわ。勝手に録画したら犯罪だからって……。ま、とにかく、そういうことなので、ララさえよかったら、グレンが休み時間にきて、ララを客観的に観察して、日記にして、ルーファスに渡すということになるんだけどいい?」
と、アイリス。
おかしさの上に、おかしさが重なって、ますますわけがわからなくなってきた。
「僕、アイリスの情報収集のために、がんばってララの日記を書くから。任せといて!」
と、はりきった様子のグレン。
いつものんびり、おだやかなグレンなのに、珍しく、今日は勢いがあるというか、やる気がみなぎってる感じ。
アイリスの役に立てるのが嬉しいんだろうね。
結局、そのうれしそうなグレンを見ると、「うん、いいよ」としか言えなかった。
それより、書くほどの内容ってあるのかな?
せっかくやる気をだしているグレンが書きがいがなくて、がっかりしないか、そっちのほうが心配だわ。
だから、休み時間になっても、ルーファスがいないのは不思議な感じ。
でも、もっと不思議な感じなのは、なぜか、グレンがいること。
「えーっと、グレン。いつもは私たちの教室に来ないよね。なのに、なんで、ここに……?」
「あー、気にしないで、ララ。ルーファスにララのことを頼まれただけだから」
と、答えたのはアイリス。
「私のこと……?」
「僕もアイリスと一緒にララのそばにいて、様子を見ててほしいってルーファスに頼まれたんだ」
「え……? 様子を見るもなにも、ここ教室だよ? ほんと、ルーファスは心配性だよね……。そういえば、グレンって、いつも休み時間は次の授業の準備をしてるんでしょ」
「うん」
にっこり答えるグレン。
そう、グレンはおっとりしているけれど、いざ勉強になると、とっても真面目。
地道にがんばるタイプだから、将来、しっかりアイリスを支えるんだろうと思うと頼もしい。
「グレン。ルーファスに頼まれたからって、わざわざここに来なくていいよ。いつもどおり、自分の教室で過ごしてて」
「そうはいかないのよ、ララ」
と、答えたのは、これまたアイリス。
「なんで?」
「ララの日記を書くことになってるんだ」
今度はグレンが楽しそうに答えた。
「は? 私の日記……を、グレンが書く? ごめん、言っている意味が全然わからないんだけど」
「ルーファスが一週間もララと離れていることってないから、すごく心配みたいなんだ」
のんびりした口調で話すグレン。
「だから、私は小さい子どもじゃないんだって……。でも、それで、なんで日記? 意味がわからないんだけど」
首をかしげる私に、アイリスが説明を始めた。
「ルーファスが留守の間、学園で、ララがどう過ごしたか知りたいから、簡単に記録してほしいんだって。怖いわよねー。……でも、ごめん、ララ。それ断れなかった」
「どういうこと?」
「アイリスはね、ルーファスの報酬に目がくらんだんだよ」
いたずらっこみたいに、くすくす笑うグレン。
「ちょっと、グレン! その言い方。人をお金の亡者みたいに言わないでよ! 違うの、ララ。というか違わないか……。まあ、確かにルーファスから得るものと交換だから。ほら、今日からジャナ国の王女様がきてるでしょ? 毎日、ララの学校での様子を書いた日記を公爵家に届けると、かわりに、ルーファスが得たジャナ国の情報を可能な範囲で教えてくれるという……」
「ええと、アイリス? 色々おかしなことがいっぱいで、よくわかんないんだけど……」
「ジャナ国って、この国と交流がないから、いろいろ、未知でしょ? ということは、商売のチャンスが無限にありそうで、正直、ものすごく興味があるの。ということで、ごめん、ララ。欲に目がくらみました。ララが嫌なら、もちろん、ルーファスとの交換を断るから」
と、しょぼんとするアイリス。
一瞬、垂れたネコ耳が見えたような気がして、いとおしくなる。
「私は全然嫌じゃないよ。ただ、ジャナ国の情報という手に入りにくい貴重なものとの交換が、どうでもいい私の日常というのが納得できないだけ。もー、ほんと、ルーファスって心配性で過保護だよね……。年々、酷くなる気がするけど。まあ、でも、そういうことなら、学園で何があったのか自分で簡単に書いて、ルーファスんところに届けてもらうからいいよ。アイリスもグレンも面倒でしょ?」
「あ、ダメダメ。報告書を書くのはグレンがご指名なの。ほら、几帳面だから。私は要点しか書かないからダメなんだって。多分、おおざっぱなララはもっとダメだと思う」
「そうかな……? あ、でも、そういえば、ルーファスって、私にしょっちゅう『何してたの?』って、聞くんだけど、説明すると、『ララは興味のあることしか覚えてないから、僕の知りたいことが全然足りない。僕がそばにいない時は録画しときたいな。いい魔道具ないかなあ』とか、へんな冗談言ってたっけ」
「あー多分、それ冗談じゃないし、怖すぎるって。今度、釘さしとくわ。勝手に録画したら犯罪だからって……。ま、とにかく、そういうことなので、ララさえよかったら、グレンが休み時間にきて、ララを客観的に観察して、日記にして、ルーファスに渡すということになるんだけどいい?」
と、アイリス。
おかしさの上に、おかしさが重なって、ますますわけがわからなくなってきた。
「僕、アイリスの情報収集のために、がんばってララの日記を書くから。任せといて!」
と、はりきった様子のグレン。
いつものんびり、おだやかなグレンなのに、珍しく、今日は勢いがあるというか、やる気がみなぎってる感じ。
アイリスの役に立てるのが嬉しいんだろうね。
結局、そのうれしそうなグレンを見ると、「うん、いいよ」としか言えなかった。
それより、書くほどの内容ってあるのかな?
せっかくやる気をだしているグレンが書きがいがなくて、がっかりしないか、そっちのほうが心配だわ。
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