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わきあがる怒り
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「その王宮への来客って、もしかして、ジャナ国の王女様?」
アイリスがルーファスに聞いた。
「そう。公にしていないのに、さすがはアイリス。情報がはやいね」
「あたりまえよ。うちは商売で成り立っているリンド子爵家だからね。情報は命よ。まあ、そのリンド子爵家に婿入りするグレンは情報から一番遠いところにいるけどね」
「ほんとだね。僕、全然知らなかったよ」
と、のんびり答えるグレン。
そんなグレンを見て、力がぬけたような表情をするアイリス。
「ふたりがほほえましくて、見てるだけで幸せな気分になる。グレンって、まさに、アイリスの癒し担当よね」
「やめてよ、ララ!」
恥ずかしがるアイリスがまたまたかわいくて、にんまりしてしまう。
「僕の癒し担当はララだけどね」
ルーファスが微笑みながら言った。
「もう、ルーファスは癒しなんていらないでしょ? 私が第二王子を思い出して怒り狂ってても、ちゃんと話きいてくれるから、私のほうが癒されてるし。ほんと、ルーファスって私みたいに短気じゃないし、おだやかだし、優しいよね」
「ララ限定でね……」
と、アイリス。
「そんなことないよ。ほら、ルーファスって、すごい人気あるでしょ? 失礼な態度で寄ってくる人もいるのに、怒らないから、ほんと優しすぎて心配になるんだよね。嫌なら嫌って怒っていいんだからね、ルーファス!」
私の言葉に、困ったように微笑するルーファス。
あ、この顔……、私が第二王子をののしっている時に、ルーファスがよくする顔だ。
そう思うと、胸がズキズキと痛くなった。
ちょっと前までは、ルーファスがこんな顔をすると、あんな第二王子でも、ルーファスにとったら従兄。
情もあるから、私との板挟みで悲しませてるんだろうな。でも、私にとったら許せない存在だから、悪く言うのはやめられないけれどごめんね、と思う気持ちになっていた。
でも、今は違う。
この顔をみて、今、私の心が猛烈に痛んだのは、ルーファスを思って悔しいのと、第二王子へのさらなる憎しみ!
すぐさま、ルーファスが「どうしたの、ララ?」と、私の変化に気づいて、顔をのぞきこんできた。
いけない、いけない。ルーファスに知られないようにしないと。
私は、すぐさま、「なんでもないよ、ルーファス」と笑ってみせた。
とはいえ、心の中では、ふつふつとマグマのようなものがわいている。
というのも、3日前、週末をうちで過ごすため、5歳年上のジョナスお兄様が久々に帰ってきた。
ジョナスお兄様は、お父様のあとをつぐため、修行中の身。
今は領地をまわったりと、何かといそがしくしている。
家族そろって食事をしたんだけど、仕事に燃えたぎっているジョナスお兄様は、自然と、お仕事の話ばかりをしていた。
そのなかで、お父様の代理で王宮での会議に参加したときのことをお父様に報告していたんだけど、ふと、怒ったような口調になった。
なんでも、会議中、王様が第二王子に質問する場面があったんだって。でも、第二王子は答えられなかった。
それで、王様は、公爵様についてきていたルーファスにも同じ質問をした。
すると、即座に答えたルーファス。しかもいい意見だったので、王様がお褒めになった。
「ガイガー王子はそれが気に入らなかったんだろうな。会議が終わって解散したあと、公爵様と別れて帰りだしたルーファスを追いかけていって、『いい気になるなよ、ルーファス。おまえは公爵の息子だ。王子じゃない。立場をわきまえろ』って、言ったんだ。ルーファスは顔色ひとつ変えず、『気に障ったのならすみません』って、淡々と答えて、立ち去ってたけどな。ほんと、ガイガー王子って子どもっていうか……」
「ジョナス、やめろ」
と、お父様。
ジョナスお兄様がはっとしたように私を見て、(しまった。言うんじゃなかった)って顔をしたけど、もう遅い。
私は食事中だけど席をたち、ジョナスお兄様につめよった。
「ジョナスお兄様……。まさか、その様子を見ていたのに、第二バカ王子に何もしなかったわけじゃないよね? 『自分が能力がなかっただけなのに、ルーファスの優秀さに嫉妬してあたるなんてみっともない』くらいは、言ってくれたよね?」
「ララ、口がまた悪くなってるわ。でも、まあ、あんな優しいルーファスにそんなことを言うなんて、怒るララの気持ちもわかるわね」
と、お母様が顔をしかめた。
「ルーファスが優しい? ララにだけだろ……。まあ、ともかく、ルーファスはガイガー王子の言うことなんか気にもしてないと思うから、ララも落ち着け」
「大丈夫。度を越えた怒りのあまり、今、とっても冷静なの、私……。それより、ジョナスお兄様。さっきの質問に答えて。まさか、家族同然のルーファスが目の前で理不尽なことを言われたのに、黙ってみてたわけないよね? 『自分ができなかったからって、ルーファスにあたるなんて小さい男だな。番にまどわされて、ミナリアねえさまを傷つけたことといい、やっぱりバカなんだね』くらいは言ってやったよね?」
「おい、ララ……。いくらなんでも、王子に向かって、小さい男とか、バカなんだねとか、そんな暴言、言えるわけないだろ! しかも、ミナリアさんのことは、ここでは関係ないし。ララは、ほかのことはすぐ忘れるのに、ミナリアさんのことだけは執念深いよな」
「あたりまえでしょ! あの時、ジョナスお兄様が私の腕をおさえなかったら、あの靴は絶対にあ……」
「わかった、わかったよ、ララ! 俺がとめなかったら、あのピンク色の靴はガイガー王子に間違いなくあたってた! そう、俺が悪かった! だから、もうやめてくれ、その靴をなげそこなった話は! 俺が今までどれくらい聞かされてきたか……」
「ルーファスは薄情なジョナスお兄様と違って、私が夢を見て悔しがるたび、今でも、ちゃーんと聞いてくれるよ!」
「ルーファスはララが話すことなら何でも聞くからな……。とにかく、常識的に考えてみろ。俺より高位なあのふたりに割って入って、しかも、第二王子を注意するなんてできない。そりゃ、第二王子が暴力ふるったとかなら、止めるが」
「優秀で優しいルーファスへの一方的な言葉の暴力じゃない!」
「ああいえば、こういうな……。 あ、そうだ。それに、俺は少し離れてたんだ。ふたりからは。割って入ろうにも、あっという間のことだったから、間に合わないだろ」
「なに、その言い訳。少し離れてたなら、それこそ、靴を投げつければよかったのに!」
と、私はジョナスお兄様に文句をいいまくった。
結局、この週末は、ずっと、もんもんとしていた。
第二王子へのわきあがってくる怒りに。
そして、今、自分の持っている靴の中で、どの靴が一番飛びそうかまで考えてたのよね……。
「……ララ。……ねえ、ララ……。やっぱり、なんかあった?」
心配そうに私の顔を見つめているルーファス。
あ、いけない。また、思考がとんでた!
あわてて、力のはいっていた顔をゆるませて、ルーファスに答えた。
「いつものように、ちょっと妄想の世界に入りこんでただけ。なにもないよ、ルーファス」
でも、いつか、あの第二バカ王子には、ルーファスの分も仕返しするからね、と、心の中だけで付け加える。
「それより、ルーファス。ジャナ国の王女様って、どんな方なの?」
と、話題を変えてみた。
「あ、それ、私も聞きたい。ジャナ国と言えば、獣人だけが住む国で、王族は純血の竜の獣人ってことぐらいしか知らないのよね。私の家もジャナ国とは取引がないから情報がつかめてなくて」
そう語ったアイリスの瞳は、鋭く光りはじめている。
この顔、仕事モードにきりかわってる顔だ。
私の自慢の親友は、本当にかっこいいよね!
アイリスがルーファスに聞いた。
「そう。公にしていないのに、さすがはアイリス。情報がはやいね」
「あたりまえよ。うちは商売で成り立っているリンド子爵家だからね。情報は命よ。まあ、そのリンド子爵家に婿入りするグレンは情報から一番遠いところにいるけどね」
「ほんとだね。僕、全然知らなかったよ」
と、のんびり答えるグレン。
そんなグレンを見て、力がぬけたような表情をするアイリス。
「ふたりがほほえましくて、見てるだけで幸せな気分になる。グレンって、まさに、アイリスの癒し担当よね」
「やめてよ、ララ!」
恥ずかしがるアイリスがまたまたかわいくて、にんまりしてしまう。
「僕の癒し担当はララだけどね」
ルーファスが微笑みながら言った。
「もう、ルーファスは癒しなんていらないでしょ? 私が第二王子を思い出して怒り狂ってても、ちゃんと話きいてくれるから、私のほうが癒されてるし。ほんと、ルーファスって私みたいに短気じゃないし、おだやかだし、優しいよね」
「ララ限定でね……」
と、アイリス。
「そんなことないよ。ほら、ルーファスって、すごい人気あるでしょ? 失礼な態度で寄ってくる人もいるのに、怒らないから、ほんと優しすぎて心配になるんだよね。嫌なら嫌って怒っていいんだからね、ルーファス!」
私の言葉に、困ったように微笑するルーファス。
あ、この顔……、私が第二王子をののしっている時に、ルーファスがよくする顔だ。
そう思うと、胸がズキズキと痛くなった。
ちょっと前までは、ルーファスがこんな顔をすると、あんな第二王子でも、ルーファスにとったら従兄。
情もあるから、私との板挟みで悲しませてるんだろうな。でも、私にとったら許せない存在だから、悪く言うのはやめられないけれどごめんね、と思う気持ちになっていた。
でも、今は違う。
この顔をみて、今、私の心が猛烈に痛んだのは、ルーファスを思って悔しいのと、第二王子へのさらなる憎しみ!
すぐさま、ルーファスが「どうしたの、ララ?」と、私の変化に気づいて、顔をのぞきこんできた。
いけない、いけない。ルーファスに知られないようにしないと。
私は、すぐさま、「なんでもないよ、ルーファス」と笑ってみせた。
とはいえ、心の中では、ふつふつとマグマのようなものがわいている。
というのも、3日前、週末をうちで過ごすため、5歳年上のジョナスお兄様が久々に帰ってきた。
ジョナスお兄様は、お父様のあとをつぐため、修行中の身。
今は領地をまわったりと、何かといそがしくしている。
家族そろって食事をしたんだけど、仕事に燃えたぎっているジョナスお兄様は、自然と、お仕事の話ばかりをしていた。
そのなかで、お父様の代理で王宮での会議に参加したときのことをお父様に報告していたんだけど、ふと、怒ったような口調になった。
なんでも、会議中、王様が第二王子に質問する場面があったんだって。でも、第二王子は答えられなかった。
それで、王様は、公爵様についてきていたルーファスにも同じ質問をした。
すると、即座に答えたルーファス。しかもいい意見だったので、王様がお褒めになった。
「ガイガー王子はそれが気に入らなかったんだろうな。会議が終わって解散したあと、公爵様と別れて帰りだしたルーファスを追いかけていって、『いい気になるなよ、ルーファス。おまえは公爵の息子だ。王子じゃない。立場をわきまえろ』って、言ったんだ。ルーファスは顔色ひとつ変えず、『気に障ったのならすみません』って、淡々と答えて、立ち去ってたけどな。ほんと、ガイガー王子って子どもっていうか……」
「ジョナス、やめろ」
と、お父様。
ジョナスお兄様がはっとしたように私を見て、(しまった。言うんじゃなかった)って顔をしたけど、もう遅い。
私は食事中だけど席をたち、ジョナスお兄様につめよった。
「ジョナスお兄様……。まさか、その様子を見ていたのに、第二バカ王子に何もしなかったわけじゃないよね? 『自分が能力がなかっただけなのに、ルーファスの優秀さに嫉妬してあたるなんてみっともない』くらいは、言ってくれたよね?」
「ララ、口がまた悪くなってるわ。でも、まあ、あんな優しいルーファスにそんなことを言うなんて、怒るララの気持ちもわかるわね」
と、お母様が顔をしかめた。
「ルーファスが優しい? ララにだけだろ……。まあ、ともかく、ルーファスはガイガー王子の言うことなんか気にもしてないと思うから、ララも落ち着け」
「大丈夫。度を越えた怒りのあまり、今、とっても冷静なの、私……。それより、ジョナスお兄様。さっきの質問に答えて。まさか、家族同然のルーファスが目の前で理不尽なことを言われたのに、黙ってみてたわけないよね? 『自分ができなかったからって、ルーファスにあたるなんて小さい男だな。番にまどわされて、ミナリアねえさまを傷つけたことといい、やっぱりバカなんだね』くらいは言ってやったよね?」
「おい、ララ……。いくらなんでも、王子に向かって、小さい男とか、バカなんだねとか、そんな暴言、言えるわけないだろ! しかも、ミナリアさんのことは、ここでは関係ないし。ララは、ほかのことはすぐ忘れるのに、ミナリアさんのことだけは執念深いよな」
「あたりまえでしょ! あの時、ジョナスお兄様が私の腕をおさえなかったら、あの靴は絶対にあ……」
「わかった、わかったよ、ララ! 俺がとめなかったら、あのピンク色の靴はガイガー王子に間違いなくあたってた! そう、俺が悪かった! だから、もうやめてくれ、その靴をなげそこなった話は! 俺が今までどれくらい聞かされてきたか……」
「ルーファスは薄情なジョナスお兄様と違って、私が夢を見て悔しがるたび、今でも、ちゃーんと聞いてくれるよ!」
「ルーファスはララが話すことなら何でも聞くからな……。とにかく、常識的に考えてみろ。俺より高位なあのふたりに割って入って、しかも、第二王子を注意するなんてできない。そりゃ、第二王子が暴力ふるったとかなら、止めるが」
「優秀で優しいルーファスへの一方的な言葉の暴力じゃない!」
「ああいえば、こういうな……。 あ、そうだ。それに、俺は少し離れてたんだ。ふたりからは。割って入ろうにも、あっという間のことだったから、間に合わないだろ」
「なに、その言い訳。少し離れてたなら、それこそ、靴を投げつければよかったのに!」
と、私はジョナスお兄様に文句をいいまくった。
結局、この週末は、ずっと、もんもんとしていた。
第二王子へのわきあがってくる怒りに。
そして、今、自分の持っている靴の中で、どの靴が一番飛びそうかまで考えてたのよね……。
「……ララ。……ねえ、ララ……。やっぱり、なんかあった?」
心配そうに私の顔を見つめているルーファス。
あ、いけない。また、思考がとんでた!
あわてて、力のはいっていた顔をゆるませて、ルーファスに答えた。
「いつものように、ちょっと妄想の世界に入りこんでただけ。なにもないよ、ルーファス」
でも、いつか、あの第二バカ王子には、ルーファスの分も仕返しするからね、と、心の中だけで付け加える。
「それより、ルーファス。ジャナ国の王女様って、どんな方なの?」
と、話題を変えてみた。
「あ、それ、私も聞きたい。ジャナ国と言えば、獣人だけが住む国で、王族は純血の竜の獣人ってことぐらいしか知らないのよね。私の家もジャナ国とは取引がないから情報がつかめてなくて」
そう語ったアイリスの瞳は、鋭く光りはじめている。
この顔、仕事モードにきりかわってる顔だ。
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