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プロローグ

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 いい加減真面目に生きるのも飽きた。就活するのもレポート書くのも正直しんどい。人に合わせて笑ったりとか、なんか心が乾いてく気がする。
 大学3回生の秋のこと私は、一人で哀愁を漂わせながら公園のブランコを漕いで、一人の時間を満喫していた。

「なんかもっと不真面目な人生歩めば、私の人生もっと楽しかったかもなー」

 木枯らしの冷たさに体を小さくしながら自分の人生を省みる。
 なぜ私が自分の人生を見直しているかというと、一週間前に興味本位で訪れた占いの館のせいだ。

「あんたの寿命はあと1週間……。何をやっても上手く行かないだろうね。せめて美味しいものでも食べて過ごしなさいな」

「それって、どうにか回避できませんか?占い師って未来が分かるんですよね?」

「いいや、私にはどうにも出来ないね。あんたはどうあがいても1週間後に死ぬ」

「いや、でも私、元気ですし」

「人には、死に時というものがあるのよ。それは私たちが決められる物じゃないし、それに曲げられない運命で、ただの人間の私たちには、どうしようもないもの」

「どうしようもない……」

「そう、神様があなたの死に時はここと決めたのよ」

「もうお帰りなさい。お金はいらないわ」

 そう占い師のおばさんに言われて、お客さんの私が逆に1000円持たされた。

「寿命あと一日って何事?私なんかしたかな」

 私はなぜか知らないがその占い師に死相が出ていると言われてしまったのだ。さらに追い撃ちをかけるように一週間後にどうあがいても必ず死ぬと。

「この一週間でしたことといえば」

 この某家電量販店の袋の中に入っている、乙女ゲームをクリアしたことだけである。

「はぁー、クソゲーだった」

 大きなため息をついた。ひど過ぎないか、人生を最後のゲームがクソゲーって。
 それから一番気になったのは、このゲーム悪役令嬢ポジのこの女は物語序盤、特にヒロインのライバルとなることもなく、国家反逆罪で即断頭台入り、そして退場。悪役令嬢処刑RTA走者ですか?

「ああ、そっかこの悪役令嬢私に似てるのか特に何も果たせないまま無様に死んで行く。まんま今の私じゃんか」

 私はふらっとブランコから立ち上がる。

 そして、あたりの景色がまるでパズルが崩れるように徐々に変わっていく。
 銀行の中で縛られた従業員を含めた複数人の男女。そして一人だけ縄をほどかれる私。こんな危機的状況から逃れるためにほんの一瞬、私は空想の中に閉じこもり、現実逃避していたようだ。

 私は今この立て籠もり事件の人質の一人として、立て籠もり犯の前に立たされた。警察の行動が思っていたよりも行動が遅いことに痺れを切らした立て籠もり犯に見せしめとして殺されるのだ。他の人質達が悲鳴を押し殺しながら私を見ている。

 私は抵抗も出来ないまま、あれよあれよと銀行の玄関ポーチまで連れ出される。
 首筋に押し当てられた冷たい刃物が段々と皮膚に食い込んで行く。固く目を閉じてどうにかなる事を祈るがもう終わりだ。

「さようなら、クソみたいな私の人生」

 そこで私の意識は途切れた。
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