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私、初めて戦う事になりました

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あらすじ

駄女神のせいで勇者の力を手に入れた私は

なんやかんやで本物の勇者に会うことになりました


以上!


━━━━━━


ヒカリ「って意気揚々と町を出ましたけど何処に向かえばいいんですか?」


確か会いたくもない本物の勇者様に会わないといけないんだっけ


ルチア「あ、そういえば言ってませんでしたね」


ルチア「勇者はここらか20km先のラダム城の城下町に居ますよ」


ヒカリ「20km先!?」


20kmも歩けというのか!

自分の町から1歩も出た事がない私には拷問に感じる


ヒカリ「あの、ルチア様の力でバビューンっとそこまで飛ばす事とか出来ないんですか?」


ルチア「バビューンって...出来ないことは無いですけどそれをすると神様にバレちゃうかもしれないので....やりたくないんですよね」


ヒカリ「な!?全力でバックアップするって約束したじゃないですか!」


ルチア「私ができる範囲のです!神様にお前はこれ以上何もするなって言われてるんですよ!仕方がないんですよ....」


ルチア「もしヒカリさんを飛ばした事がバレたら、後々私のミスがバレるかもしれないし....」


ルチア「だからここは頑張って歩いて行きましょう!バレずに無事魔王討伐出来た暁にはヒカリさんとの約束は守りますから!ね!」


保身しか考えてないヤツめ!!


ヒカリ「はぁ...わかりましたよ」


ルチア「あ、それとヒカリさん。私と会話する時一々声を出さなくて良いですよ」


ルチア「私がヒカリさんの思考を読み取ってるので大丈夫です」


ヒカリ「はぁ!??」


ヒカリ「何勝手な事してるんですか!?読み取らないでください!会話でお願いします!」


誰かに思考を読まれるなんていい気持ちじゃない

しかもこの駄女神に


ルチア「そう言われましても...このテレパシーって自動的に相手の思考を読み取る用になるというか」


ルチア「それに街中で私と会話する時、周りからヒカリさんが大声で独り言を話してる様に見えますよ」


うっ...それは確かに嫌だ....


ルチア「だったら我慢してくださいね」


はぁ....このアホ女神のせいで私滅茶苦茶だよ....


ルチア「ヒカリさん~!女神の事をアホって言ったらダメですよ!もう少し敬いましょうよ!!」


できるかそんなの!


ルチア「というかヒカリさんって無口だと思ってたんですけど、心の中ではお喋りですね~」ニヤニヤ


ルチア「もう少し心の声を口に出したら友達出来ると思いますよ~」ニヤニヤ


ッッ!!余計なお世話です!!


なんでそんな事言われなければならない!


第一私にも友人が.....居た....


私は別に友達なんて欲しくない

友達がいたところでどうせ...


ルチア「ヒカリさん前!」


そうルチア様が叫び

私はハッとして考え事をやめて意識を今に戻した


前方に突然小さい黒い渦が現れ

その渦の中から黒い毛並みの犬のような生き物が出てきた


ヒカリ「これは...!?」


ルチア「魔物です!ヒカリさん武器を構えてください」


武器を構えろって...

私魔物と戦った事なんてないんですけど!


ルチア「何言ってるんですか!?魔物と戦わないで魔王討伐なんて出来るわけないでしょ!」


...分かってる...そんな事頭では分かってるけど

やっぱり怖い..!


ルチア「大丈夫です。ヒカリさんは勇者の力があります」


ルチア「それにあの魔物はテオウルフと言われてとても弱い魔物ですよ!」


弱いって言われても...!


私はひとまず剣を構えた


.....構えたあとは!?どうすればいい

どうすればいい!!??


そうまごついてる間に

テオウルフは距離を詰め鋭い爪で襲いかかってきた!


やばいやられる!!


私は咄嗟に左腕でガードをして目をつぶった


うあぁっーーー!!!!


左腕は爪によってえぐられた痛みが...


...あれ?

痛くない??


なんで?


左腕を見てみると服は破れていたが

怪我はしておらず、傷1つ何も無かった


テオウルフも私が傷を負って無いことに困惑しているようで様子を伺っていた


ルチア「それが勇者の力です。そんじゃそこらの雑魚魔物じゃヒカリさんに傷を負わせる事なんて不可能ですよ」



す、凄い...!


ルチア「ヒカリさん。怪我をする事は無いですから安心して少しずつ、少しずつ戦闘の基本を身につけていきましょう」


ルチア「本来なら訓練してからですが、今のヒカリさんなら実践で学んでいった方が早いと思います」


ルチア「ひとまず肩の力を抜いてください」


私は言われた通りにしてみた


ルチア「呼吸を整え焦らず相手との距離をゆっくりつめていきましょう」


ルチア「そうして相手が動くのを待つ」


私とテオウルフは膠着状態になっていた


じっとお互い見つめ合い

様子を伺う


しかし、その状態は長く続かず先にテオウルフが動いた!


ルチア「攻撃を剣で捌き、相手が体勢を崩したところですかさず攻撃を!!」


私は不思議な感覚に包まれていた


さっきまでテオウルフの動きが目にも止まらぬ速さに見えた


だが今はとても遅く...まるで時間がゆっくり流れているようだった....


テオウルフは私の首めがけ鋭い爪を振り下ろそうとした


しかし、私はそれを剣で振り払い

テオウルフが体勢を崩しところにすかさず思いっきり胴体めがけて剣を振り下ろした


バキャッ!


今まで聞いたことが無い音が私の鼓膜に届いた


私が振り下ろした剣は見事骨を砕き肉を裂き

テオウルフの胴体を真っ二つにしていた


私は肉を裂いた感触が気持ち悪く感じたと同時に

何処かで味わったような....どこか懐かしい気持ちにもなった


ルチア「やりましたね!ヒカリさん!」


ヒカリ「.....」


ルチア「ヒカリさん?」


ヒカリ「....すみません何だか不思議な気分になって」


ルチア「と言うと?」


ヒカリ「....初めて魔物と戦ったはずなのに何故か懐かしく感じて」


ルチア「勇者の力の影響...かもしれませんね」


ルチア「300年前の勇者の戦闘経験がヒカリさんに宿ったとか」


ヒカリ「!?そんな事あるんですか!??」


ルチア「分かりませんけど!」


何その適当な感じ!?

ルチア「まぁとにかく!初陣お疲れ様でした!」


ルチア「初めてなのに凄いですよ~!ヒカリさん戦闘の才能ありますね!」


ヒカリ「そんな才能欲しくないです!」


そんな事を言っていたら

テオウルフの体が黒い霧のようなものに包まれ消えていった


ヒカリ「消えた..!?」


ルチア「魔物は魔力で形成されていますからね。身体を維持出来なくなると黒い霧となって消えていきます」


消えていくテオウルフの体から

何か赤い石みたいなものが出てきた


ルチア「それは魔石ですね。魔力が宿っている石です」


ルチア「と言ってもその魔石は不純物だらけであまり価値はなさそうですね」


価値!?


ルチア「はい。魔石は装飾品や魔道具に使われていますね」


ルチア「純度が高ければ高値で売買されたり、魔力を底上げしてくれる装備品にもなりますね」


ヒカリ「この石持ってても安全なの?」


ルチア「大丈夫ですよ~!その純度だと魔力がほぼ宿ってない綺麗な石ですからね。」


ルチア「商店とかで売れば買い取って貰えますよ」


ルチア「ヒカリさん何も知らないんですね~」


...魔物とか自分には関係ないと思ってたから


ルチア「強い魔物ほど魔石の純度が上がっていきますからバンバン強い魔物を倒してお金稼いじゃいましょう!」


なんでそんなノリノリなの!?


魔物について私は知らない事だらけだった

いや私は自分の町の事しか知らなくて

この世界の事を何一つわかってはいない


ヒカリ「1つ聞きたかったんですけど」


ルチア「はい?」


ヒカリ「なぜ魔王は蘇ったんですか?」


そう

3年前魔王は突然蘇った

そして蘇った同時に魔物も出現しだした


ルチア「...ヒカリさんって怒ったり、人を恨んだことありますか?」


ヒカリ「へ?」


なんか質問を質問で返されたんだけど!?


ヒカリ「それはまぁ....ありますけど」


ルチア「怒ったり、恨んだり、気持ちがネガティブになると負の魔力が産まれます」


ヒカリ「負の魔力...?」


ルチア「はい、この世界は生き物、植物、物、空気、水全てに魔力が宿っています」


ルチア「そして魔力にも種類があり正の魔力と負の魔力というのがあります」


ルチア「正の魔力は生命のエネルギーや喜びといった物から産まれやすいです」


ルチア「逆に負の魔力は怒り、憎しみ、悲しみそういったものから産まれます」


ルチア「そして負の魔力が溜まって溢れた時魔王が産まれました」


ヒカリ「え!?ってことは魔王は負の魔力で出来ているの!?」


ルチア「そうでも無いし、そうとも言えますね」


ルチア「元々正と負の魔力は均衡してバランスを保っていました」


ルチア「しかし、300年前魔王を倒した後何が起こりましたか?」


ヒカリ「世界は一時的に平和にはなったけど....今度は人間同士の戦争が....」


そう魔王を倒した後

150年近くは平和だったらしい

だがその後今度は人間同士の争いが起き

結局また魔王に支配されていたような暗黒の時代を迎えた


ルチア「そうです...その戦争のせいで悲しみ、怒り憎しみが積もっていき負の魔力が溢れてしまったのです」


ルチア「そして溢れ返った負の魔力が1人の女性に取り付き魔王へと変貌させてしまいました」


ヒカリ「魔王って...女性なの!?」


ルチア「はい。元は普通の女性でしたが魔力に侵食され心が壊れ今の状態に」


ルチア「つまり、魔王も被害者なのです。この世界の悲しみを止めない限りはまたいつか誰かが魔王になるでしょう」


ヒカリ「....それって魔王討伐しても意味が無いんじゃ!?」


ルチア「...そうですね。人々の心を変え世代が変わっても平和を願う気持ちが続かなければ意味が無いですね」


ルチア「何時かはまた争いが起きるかもしれません。ですがこのままでは魔王に完全に支配されてしまいます」


ルチア「そうなると負の魔力で溢れ世界は闇に包まれてしまい滅んでしまいます。」


ルチア「そうはならないよう、バランスを保つのが私達女神の仕事です」


あんた何も出来てないよ!!


ヒカリ「....魔王の事思うと可哀想で...」


ルチア「....戦争の被害者...ですからね。彼女もきっと本心は苦しんでるはずなので楽にしてあげないと....」


ヒカリ「.....」


ルチア「あ、それと魔物も魔王の魔力と石から作られているんです。だから魔力の霧となって消え魔石が残るんですよ」


そうなんだ...!?


....私は魔王の事を思うと少し心が痛んだ


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