稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています

水谷繭

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7.神官の罪

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「おい、シャーロット。エヴァンズ公爵に余計なことは話していないだろうな?」

 応接室を出てヴィンセントに声を聞かれる心配がなくなると、テレンスは途端に声を低めて尋ねてきた。

「言ってないですよ。神官様の言う通り、よくしてもらっていると話しました」

「本当だろうな。余計なことを言えばただじゃおかないぞ」

 テレンスは怖い顔で私を見て言う。全く、裏表の激しい男だ。

「言わないので安心してください」

「それでいい。屋敷に戻ってからも同じようにしろ」

 テレンスは威圧的な声でそう念を押した。私が「はーい」と答えてあげたら、なぜか睨まれた。


 テレンスと別れヘレンたちのいる見習い部屋に向かうと、扉を開けた瞬間三人が一斉に駆け寄ってきた。

「シャーロット! 大丈夫だった!?」

「神官様に連れて行かれたって!」

「何があったの!? 何かひどいことをされてない!?」

 三人は私を取り囲んで口々に言う。


「大丈夫。保護者が会いに来たから呼ばれただけよ」

「本当に? それならいいけど……」

「私たち、朝起きたらシャーロットがいなくて気が気じゃなかったのよ。シスター様に聞いたら神官様に連れて行かれたと言うし」

「神官様がまた気まぐれに罰を与えてるんじゃないかと思ったわ。何もなくてよかった」

 三人はほっとした顔になって言う。

「私は大丈夫よ。それより、三人に頼みがあるんだけど、いいかしら?」

「頼み? なに?」

「シャーロットの頼みなら何でも聞くわよ!」

「ええ、いつもたくさん私たちを助けてくれるもの!」

 三人は張り切った顔で身を乗り出す。


「私、神官様の部屋で探したいものがあるの。それに協力して欲しいのよ」

「えっ、神官様の部屋……!?」

 張り切った様子だった三人の顔が、途端に戸惑い顔になる。三人は顔を見合わせて、お互い何か囁きあっていた。

 ヘレンが戸惑い顔のままこちらを見る。

「シャーロットの頼みは聞いてあげたいけど、それはちょっと難しいわ。神官様の部屋に忍びこんだのがばれたら、一体どんな罰を受けるかわからないもの」

「三人のことは巻き込まないようにするわ」

「シャーロットだって危険よ。やめたほうがいい」

「私は大丈夫。見つからないようにするし、もし見つかっても、魔法でちゃっと片付けちゃうから」

 私が笑顔で言ったら、三人は真剣な顔で顔を見合わせた。

 ヘレンが私を見て尋ねる。
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