稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています

水谷繭

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3.魔法大会

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 子供にしては威力の強い魔法だったけれど、防ぐのは簡単だった。金髪が魔法を放つたびに、防御して打ち消していく。

 金髪の放つ水魔法が弱まったところで、今度はこちらから彼めがけて風魔法を放つと、二つ目のバリアもあっさり壊れた。

「あと一回ね!」

「くそ……っ」

 私が杖を構えると、金髪は悔しそうな顔をする。すっかり息が上がって、立っているのもきつそうだった。

 かわいそうだから早めに終わらせてあげましょう。私は彼に杖を向ける。

 すると、金髪は突然こちらめがけて駆けてきて、私につかみかかった。

「ちょっと何するのよ! 直接攻撃を加えるのはルール違反よ!」

「うるさい!! お前なんかに負けてたまるか!!」

 金髪はそう言うと、至近距離で私に杖を向ける。杖からは勢いよく炎が吹き出した。

 ああ、危ない。こんな至近距離でこんな強い魔法を放つつもりなのか。私は三つバリアが残っているからいいけれど、そんなことをしたら……。

 金髪は私を燃やし尽くすように炎を向ける。

 私の一つ目のバリアが壊れた。

 しかしバリアに跳ね返された炎は、すぐ近くにいた金髪のほうに跳ね返っていった。あと一つしか残っていなかった金髪のバリアは、彼自身の魔法によってあっけなく壊れる。

 しかし、興奮した様子の金髪は、自分のバリアが壊れたことさえ気にかけない。

 再び勢いよく炎を放ち、私のバリアにはじき返される。

 先ほどと同じように炎が跳ね返るが、金髪にはもう守ってくれるバリアは残っていなかった。


「うっ、うわ!! 熱い!!!」

 見事に自分の炎をはじき返された金髪の服には、炎が燃え移ってしまっていた。金髪は顔を歪めて暴れている。

 慌てて修道士が近づいてくるが、子供にしては強い魔法だったのが災いしてなかなか消せない様子だ。

 必死で腕を振って炎から逃れようとする金髪が、だんだん哀れになってくる。

「仕方ないわね」

 私は杖を構えて水魔法を放った。先ほど攻撃に使ったのとは違う、柔らかい水の玉を出す魔法だ。水の玉はふわふわと金髪の元に飛んでいき、炎を消していく。

 大量の水の玉に打ち消され、炎はあっさり姿を消した。

 金髪は焦げた袖を見つめながらぽかんとしている。


「やけになったからってルール違反をしてあんな強い魔法を使うなんて危ない子ね。下手したら大けがよ。まぁ、煽った私も悪かったけど」

「……お、お前が消してくれたのか?」

「そうよ。ちょっとその腕を見せてみなさい」

「え? う、うん……」

 金髪は素直に腕を出す。服は焦げ付いて、隙間から見える腕はひどい火傷を負っていた。
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