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3.魔法大会
③
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子供たちは舞台の上に連れて行かれ、一列に並ばされた。人数は二十人くらいだろうか。
私がぼんやり会場を眺めていると、少し離れたところに人数分の木製の人形が置かれる。
「第一のテストはコントロール力です。皆さん、目の前にある人形を、どのような魔法を使ってもいいので壊してください。ただし、ほかの参加者や観客に被害がいくような魔法はだめですよ」
進行役の、いかにも人のよさそうな年配の修道士がそう指示をする。
子供たちからは「簡単じゃん」という声が上がった。
第一のテストだからか、実際随分難易度の低いお題だった。
参加者の子供たちは水魔法や火魔法、風魔法を使って、次々に自分の前に置かれた人形を壊していく。
さっき私に難癖をつけてきた金色の髪の子供は、杖から炎を出して人形を跡形もなく消していた。子供にしてはなかなか強い魔力だ。
子供たちの前に置かれた人形はあっという間に壊されていく。
ただ一つ、私の前に置かれた人形を除いて。
「消えろっ! えいっ!」
私は人形に向かって必死に杖を振る。
しかし、杖から出てくるのは白い煙ばかりで、人形は壊れるどころか焦げ目一つつかない。
会場の空気がひんやり冷えていく。
ヴィンセントのほうをちらりと見遣ると、はらはらした顔でこちらを見ていた。
「消えろ! 消えてってば!」
「……だっさ」
鼻で笑う声が聞こえ、視線を向けるとさっきの金髪の子供がいた。
結局私は人形に傷一つつけられないまま、時間切れとなってしまった。
参加者たちからは気の毒そうな視線や蔑みの視線を送られる。
その後もシャーリーのテスト結果は散々だった。
物を浮かせる魔法も、花を咲かせる魔法も、連れて来られた動物と会話する魔法も、何一つうまくできない。
途中であの人のよさそうな進行係の修道士に、「調子が悪いなら棄権してもいいんだよ」なんて気遣われてしまった。
私は失敗する度に、あの金髪の子供からは悪態をつかれ、ヴィンセントにははらはらした視線を向けられ、マイラには満足げな顔で見つめられた。
***
「ああ、シャーリー! 大変だったね! まさかこんなに難易度の高い大会だったなんて!」
午前中のテストが全て終わって休憩事件になると、ヴィンセントがすぐさまこちらに駆けよってきた。
ヴィンセントはかがんで私の頭を撫でながら、気の毒そうな顔をする。
私がぼんやり会場を眺めていると、少し離れたところに人数分の木製の人形が置かれる。
「第一のテストはコントロール力です。皆さん、目の前にある人形を、どのような魔法を使ってもいいので壊してください。ただし、ほかの参加者や観客に被害がいくような魔法はだめですよ」
進行役の、いかにも人のよさそうな年配の修道士がそう指示をする。
子供たちからは「簡単じゃん」という声が上がった。
第一のテストだからか、実際随分難易度の低いお題だった。
参加者の子供たちは水魔法や火魔法、風魔法を使って、次々に自分の前に置かれた人形を壊していく。
さっき私に難癖をつけてきた金色の髪の子供は、杖から炎を出して人形を跡形もなく消していた。子供にしてはなかなか強い魔力だ。
子供たちの前に置かれた人形はあっという間に壊されていく。
ただ一つ、私の前に置かれた人形を除いて。
「消えろっ! えいっ!」
私は人形に向かって必死に杖を振る。
しかし、杖から出てくるのは白い煙ばかりで、人形は壊れるどころか焦げ目一つつかない。
会場の空気がひんやり冷えていく。
ヴィンセントのほうをちらりと見遣ると、はらはらした顔でこちらを見ていた。
「消えろ! 消えてってば!」
「……だっさ」
鼻で笑う声が聞こえ、視線を向けるとさっきの金髪の子供がいた。
結局私は人形に傷一つつけられないまま、時間切れとなってしまった。
参加者たちからは気の毒そうな視線や蔑みの視線を送られる。
その後もシャーリーのテスト結果は散々だった。
物を浮かせる魔法も、花を咲かせる魔法も、連れて来られた動物と会話する魔法も、何一つうまくできない。
途中であの人のよさそうな進行係の修道士に、「調子が悪いなら棄権してもいいんだよ」なんて気遣われてしまった。
私は失敗する度に、あの金髪の子供からは悪態をつかれ、ヴィンセントにははらはらした視線を向けられ、マイラには満足げな顔で見つめられた。
***
「ああ、シャーリー! 大変だったね! まさかこんなに難易度の高い大会だったなんて!」
午前中のテストが全て終わって休憩事件になると、ヴィンセントがすぐさまこちらに駆けよってきた。
ヴィンセントはかがんで私の頭を撫でながら、気の毒そうな顔をする。
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