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13.二回目のパーティー

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「ルドヴィク殿、フェリーチェ嬢、あまり勝手なことを言ってジュスティーナ嬢を煩わせないでくれるか」

「なんだ、俺はジュスティーナに話して……」

 怪訝な顔をしてラウロ様を見上げたルドヴィク様が、途端に目を見開く。

 隣にいたフェリーチェも口をあんぐり開けて固まってしまった。


「お前……ラウロ・ヴァレーリか……?」

「ああ、そうだが」

「痣はどうしたんだ。あの黒い不気味な文様はどこに……」

「ジュスティーナ嬢が治してくれたんだ」

 ラウロ様はどこか得意げな顔になって言う。

 ルドヴィク様は驚愕に表情を歪めながら、何か言おうとしては口を閉じるのを繰り返している。

 やがて、ようやく気を取り直したのか、叫ぶように言った。


「……す、少し痣がなくなって美形になったくらいで調子に乗るなよ! ジュスティーナは俺の婚約者だ!! 早くこちらへ返すんだ!!」

「婚約者? もう婚約は破棄されたと聞いているぞ」

「うるさい! ジュスティーナ、いいかげん言うことを聞け!!」

 ルドヴィク様が苛立たしげにそう言って、再び私の手を掴もうとする。

 しかし、ラウロ様が彼の手を掴んで止めてくれた。


「ルドヴィク殿、これまでの君のジュスティーナ嬢への扱いは聞いている。彼女を君の元へ返すわけにはいかない」

「何を……っ」

「今さらになって彼女の魅力に気づいたのか? しかしジュスティーナ嬢はもう君には興味ないようだぞ。残念だったな」

 ラウロ様は珍しく意地悪な顔をして笑う。

 ルドヴィク様は顔を赤くして、苛立たしげに彼を睨んでいた。

 すると、口をあんぐり開けたまま固まっていたフェリーチェが、ようやく我に返ったように口を開く。


「……意味がわかりませんわ」

「え?」

「こんなの意味がわかりませんわ! お姉様の相手がこんな方なんて信じられない! どう考えても釣り合いませんわ!!」

 フェリーチェは悲鳴を上げるようにそう言った。

 ルドヴィク様を見て勝ち誇ったように笑っていたラウロ様は、フェリーチェの言葉を聞いた途端、痛みをこらえるように顔をしかめる。


「……た、確かに俺では女神のように美しいジュスティーナ嬢に釣り合わないかもしれないが……。どうしてもジュスティーナ嬢にパートナーになって欲しかったんだ! ジュスティーナ嬢自身がいいと言ってくれたんだから、別に構わないだろう!」

「そっちじゃありませんわ!! ああもう、なんでですの!! ようやくお姉様に勝ったと思ったのにぃ……!!」

 フェリーチェは髪を振り乱して呻いている。
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