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ダンジョン後編

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質問4

「自分の身体で自信のある部位は?」


簡単な質問にほっと胸を撫で下ろす。
この質問が終わればダンジョンの中間地点を越える。そろそろ体力回復のために眠るとするかと考えていた一行だった。

キースもゼンも早く終わらせるぞとばかりにそれぞれ足、顔と言った。
睡蓮は考えているようだった。二人が黙って見つめるとようやく口を開いた。

「強いて言えば…胸かしら?」

その言葉の破壊力たるや…。男二人は無言になった。

「もう寝ましょう?」


睡蓮の声で我に返った二人は急いで寝床を整える。見張りの順番を決め、簡単に身体を拭き汚れをとる。

どうしても気になったのか、ゼンが聞く。

「スイレンちゃん、着替えないんすか?別に覗きやしませんよ。」

─嘘である。この男、見たくてしようがなく思っている。隙あらば覗く気満々である。

「着替えてもいいけれど…。
…もう目が怖いわ。あなたが寝ている時にね。」

がっくりと肩を落とし、キースに馬鹿にされるゼンであった。


深夜、キースが見張りの時間。
ゆっくりと起き上がった睡蓮はゆっくりと着替えだした。

衣擦れの音が響く。

「…っ…」

「見張りお疲れ様。すぐ終わらせるからちょっと待っててね。」

キースは動揺しながらも睡蓮の方は決して見ない。
相変わらずねと苦笑しながら、今度はゼンを見ると気持ち良さそうに爆睡していた。


翌朝、また出現した質問板にうんざりしながらも一行は答える。

そしてダンジョンもいよいよ踏破というところで最後の質問が待ち構えていた。

質問7


「人生で一番の後悔は?」

睡蓮が言った。

「それは…」

「………」

その答えに男二人は沈黙した。

それぞれ答えるも彼女の言葉が耳に残って離れない。八つ当たり気味に襲ってくるモンスターを討伐し先を目指した。

***
ダンジョンを出て見上げた空は赤かった。
もうこんな時間かと帰路を急ぐ。

─明日は何をしよう?

前の世界では考えもしなかった期待に胸を踊らせながら睡蓮は薄く微笑んだ。

パーティーメンバーとの間に生まれた微妙な隔たりを今だけは忘れて…。
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