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日常編
油断
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「──どこに行くわけ?」
話は済んだとばかりに、部屋を去ろうとしたレイに声がかかる。
「護衛として側にいるのを許すのと、これまでの行いについて反省してもらうこと、話が全く別だよね」
「─ぇ?」
喉から変な声が漏れる。
「今から僕が責任を持って教育してあげるから、感謝しなよ?」
逃げられないことを悟り、レイは爽やかに笑ってみせた。
(まじ、めんどくせーー)
***
私は、珍しく変な時間に目覚めてしまっていた。服も着替えずベッドにダイブしたせいかもしれない。
あのまま寝てもよかったが、侍女のフォーナが翌朝うるさいだろう。笑顔のままネチネチと嫌味を言われるのは精神的にクるものがあるしゴメンだった。
(起きられてよかった…)
安堵の溜め息をつく。
すると、タイミングよくドア越しに声を掛けられドキリとした。
「─ローズ様、今よろしいでしょうか?」
「…ええ」
キビキビとした動きで入室したフォーナは、相変わらず、まだ若いというのに隙のない出で立ちだ。そしていついかなるときも、笑顔を絶やさない。
そんなところを子爵にも気に入られているのかもしれない。が、私にとっては、素顔が見えづらく、あまり本音を話せるような相手ではない。
「どうかしたの?」
「申し訳ございません。いくつかお嬢様に─」
学園に持っていく持ち物について問われ、
この家を出ることがいよいよ現実味を帯びてきたように感じられる。
推しの成長を側で見ることができなくなる…。考えるだけで辛い。
(私もスクリーンでフィルの姿見られるのよね?)
プライバシーゼロ契約を結んでしまったと後悔しかけたが、これはこれで良かったのかもしれない…。
レイのことは既に頭に無い。何かあれば瞬間移動で逃げられるだろうし、フィリップと長く話せてずるいとまで思う。
だから、知る由もなかったのだ。
教育という名の躾が、深夜まで及んだということを。
─そして、旅立ちの日を迎えた。
話は済んだとばかりに、部屋を去ろうとしたレイに声がかかる。
「護衛として側にいるのを許すのと、これまでの行いについて反省してもらうこと、話が全く別だよね」
「─ぇ?」
喉から変な声が漏れる。
「今から僕が責任を持って教育してあげるから、感謝しなよ?」
逃げられないことを悟り、レイは爽やかに笑ってみせた。
(まじ、めんどくせーー)
***
私は、珍しく変な時間に目覚めてしまっていた。服も着替えずベッドにダイブしたせいかもしれない。
あのまま寝てもよかったが、侍女のフォーナが翌朝うるさいだろう。笑顔のままネチネチと嫌味を言われるのは精神的にクるものがあるしゴメンだった。
(起きられてよかった…)
安堵の溜め息をつく。
すると、タイミングよくドア越しに声を掛けられドキリとした。
「─ローズ様、今よろしいでしょうか?」
「…ええ」
キビキビとした動きで入室したフォーナは、相変わらず、まだ若いというのに隙のない出で立ちだ。そしていついかなるときも、笑顔を絶やさない。
そんなところを子爵にも気に入られているのかもしれない。が、私にとっては、素顔が見えづらく、あまり本音を話せるような相手ではない。
「どうかしたの?」
「申し訳ございません。いくつかお嬢様に─」
学園に持っていく持ち物について問われ、
この家を出ることがいよいよ現実味を帯びてきたように感じられる。
推しの成長を側で見ることができなくなる…。考えるだけで辛い。
(私もスクリーンでフィルの姿見られるのよね?)
プライバシーゼロ契約を結んでしまったと後悔しかけたが、これはこれで良かったのかもしれない…。
レイのことは既に頭に無い。何かあれば瞬間移動で逃げられるだろうし、フィリップと長く話せてずるいとまで思う。
だから、知る由もなかったのだ。
教育という名の躾が、深夜まで及んだということを。
─そして、旅立ちの日を迎えた。
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