ヤンデレ義弟に殺されるなど真っ平ごめんです

ぴぴみ

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日常編

黒い?

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なんとかフィリップを落ち着かせ、元いた部屋へと戻ったローズは驚いていた。常ならぬ様子の義弟の様子に。

笑顔なのにどこか危うげで。攻撃的。
アリステアに対し「そろそろお帰りの時間では?」と促している瞳は笑っていなかった。

苦笑しつつ帰っていったアリステアには悪いと思うが、彼女が気になるのはフィリップのことだけである。

黒い一面を併せ持つフィルも尊いとしみじみ思いながら、手を繋ぎ父親の元に向かった。

「彼とはよく話せたかい?」

父が私に言う。

「ええ。楽しい時間でした。」

その瞬間フィリップが手を力強く掴む。
大丈夫よとでも言うようにに私は優しく握り返した。

「それはよかった。部屋に甘いものを用意させたからゆっくりしておいで。」

それは会話は終了という合図。
この間フィリップに対しては一言もない。

優しく接してくれはするけれど、どこか淡白。決して子供が優先順位の上位にはこない…。それがローズの父親だった。

それはそれで楽だからいいんだけど、と
他人事のように思いながら同時に怒りも抱く。

─フィルに声をかけないなんてどういうつもり?

その気持ちのまま言葉に出した。

「お父様わたくしフィルが弟になってくれて嬉しく思いますわ。」

「…気に入ったのかい?物好きな子だね。
いや優しいと言うべきか…。」

「それはどういう意味ですの?」

「どういう意味も何もそのままの意味さ。
顔に汚いあざがあってもお前は気にしないんだろう?これが優しさ以外の何だって言うんだい?我が娘は天使だね。」

「フィルは思慮深く聡明ですわ。お父様のように物事を…」

言いかけたローズをフィリップが止める。
もう十分だ…。瞳はそう言っている気がした。

「わたくしもう帰ります。」



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