モブの声がうるさい

ぴぴみ

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認めざるをえませんわ…

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「あなた、何なんですの?」

傍目はためには、一人で話している変人だ。
しかし、幸いここに、人はいない。
私は声の主に嫌々話しかけた。

『おっと…異界の人類と通信できたぞ。
ハハハハついに力を手に入れた。これで、誰も我を止めることなどできない…』

「聞いてますの?」

私が怒ったように言うと、声は言った。

「すまない。我が名はルイ。今は貴様の中から、この異界を見下ろしている。」

よく分からなかったが、このルイという男が自分の中にいるということは分かった。

「え?いや、ですわ…」

思わず拒否の言葉が漏れた。

『フハハハ案ずるな。』

男は気にするでもなく、明るく言った。

「なぜ、私の中に?」

「くっ…そこからは闇の領域だ。踏み込んではいけない」

私は、会話を諦めた。

『それより、気になっていることがある』

しかし、男が不意に真面目な口調で話し始めたので、聞き返してしまった。

「なにかしら?」

『リアムというのは、貴様の想い人か?』

「………え、え。そう、ですわ」

私は、照れながらも素直に認めた。
すると、男の態度が急変した。

『このリア充がぁぁぁぁーーーー!』

耳を押さえる。

「うるさいですわよ。私の身体に勝手に居座っている分際で…」

「しばし、我を忘れた。すまない。
びと言ってはなんだが、顕現しよう。光栄に思うがいい」

「そんなこと、できるんですの!?」

姿を現すという男に、私は驚く。

『まずは、目をつむれ』

疑問に思いながらも目を閉じる。
しばし待っていると、見知らぬ者の姿が浮かんできた。

黒髪に黒眼。前髪が長く、瞳は見えないが、どうやら整った顔立ちだと窺われた。
年は私よりも下。まだ少年と言っていいだろう。

『どうだ!我が姿は!?』

「まあ、そうですわね、思ったよりは悪くないのでは…」

「………ま、まあな」

なぜか照れられた。解せませんわ。
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