モブの声がうるさい

ぴぴみ

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何語ですの?

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「ソフィア!!!」

初めてリアム様の焦った声を聞いた。
そんなことを思いつつ、私の意識は抵抗する間もなく、闇へと沈んでいった。


**

「…ぅ…う」

「起きたのかい?ソフィア!!」

お父様が私を見つめている。
…私はどうしてここに?
確か、先程までリアム様と乗馬を楽しんでいたはず、なのに。

「ッ!リアム様は!?」

「お前が心配することは何もないよ。
後日、改めて見舞いに来てくださるそうだ。」

「そ、うですの…」

小さい頃からずっとお慕いしているリアム様。今日は久方ぶりの逢瀬おうせでしたのに。残念ですわ。

私が、そんな風に考えていると突如、知らない声が聞こえてきた。

『我を召喚したのは貴様か?当然、供物は用意してあるんだろうな?』

「お父様、何かおっしゃって?」

「?何も言っていないが…」

私は、謎の声を、疲れから聞こえる幻聴と片付けた。

「変なことを言ってしまってごめんなさい。それで、リアム様は─」

『ふっ。やれやれ。我の声は矮小な人間には、届かないか…』

「……リアム様は、いつ、いらっしゃるの?」

「ああ、3日後だそうだ」

「私の不注意で、馬から落ちてしまっただけですのに、なんだか申し訳ないですわ」

『What?貴様にはダメージが蓄積されているんだな。俺の治療魔法を受けてくれ!
出でよ、神の─』

「………私、疲れているのかもしれませんの」

「それは、大変だ!!今日はもう、ゆっくりおやすみ」

「…ありがとう存じます」

お父様が去った後、室内で私一人きりになる。

「…ふぅ。どうかしているわ」

『─神の手ゴッドブレ…』

「うるさぁぁぁぁーい!」

遮ったというのに、諦めずにもう一回言い直すんですの?

ついに認めてしまった私は、ドッと疲れを感じながらも、声と対峙することにした。



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