【R18】僕の異世界転性記！【挿絵付】

第148話：名も無き墓穴

「シエラ！シエラ・・・いい加減おきなよ！」





ゆっさゆっさとシエラの体を揺する。



「はっ！」


ぱちりと目を見開きがばっと起き上がるシエラに危うく頭突きされそうになるのを緊急回避した。


「ご主人様！手が・・手が迫って・・・あれ？ここは・・」



シエラが辺りを見回す。本人の記憶では街路を歩いている最中だったが、目を覚ましたそこは絢爛豪華な寝室だ。





「シエラ、説明はあとでしてあげるからとりあえずグリ子たちと合流しよう。大丈夫、絶対幽霊は出ないから」





「？」





頭上にはてなを浮かべるシエラだったが、とりあえず起き上がって僕と一緒に洋館を出る。






ぐらっ





「あれ？ご主人様、今ゆれませんでした？」




ちょうど洋館を出たころだろうか。体全体を揺すられるような不快感を感じた二人は一度立ち止まる。




ごごごごごごごごごごごごごごごごごっ！






「まずい、気のせいじゃないぞ！シエラ、おぶるから早く！」




街全体が崩れ始めている！地面はゆれ建物は次第にひびが入り始める。空からは崩れた砂埃が僕らに降り注いでいた。





（おいおい、ここは地下街だぞ！このままじゃ生き埋めになってしまう！）





残り少ないMPで身体強化をかけると一目散に走る！





「あ、あれグリ子さんとマゼンタさんですよ！」




この異変にいち早く気がついた二人はどうやら僕らより先に脱出に向け動いていたようだ。




「ユウさん、シエラさん！！」




向こうも僕らに気がついたようだ。



「急ぐぞ！このままじゃ俺ら4人とも生き埋めだ！」




「それはごめんこうむりたいっすね！死ぬ気で走るっすよ！！」




「まずいです！天井が崩れてきてますよ！！」




「僕らが降りてきた石階段は壁際だからあそこまで行けば落石の心配は少ない、行くよ！」






ドドドドドドドドドドドドドドドドッドドドドドドオ！！！！！！




轟音に告ぐ轟音。いよいよ近くにいる僕ら同士の声でさえ聞こえなくなるほど大きな音でアトフィスは崩れていく。





聖女と聖女の愛したこの街は、みんなの魂とともにこの世界から消えてなくなっていった。