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第100話:用心棒のマゼンタ

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「・・・・・・」




グリ子はきっと僕らのゲッという表情を期待していたのかもしれないが、想像もしていなかった沈黙にあれ?と首をかしげる。



『廃都アトフィス』と言われても、転生者の僕やガルシティから先に行ったことがないシエラには何のことがさっぱりだ。




「もしかして、アトフィスをご存じない?」



無言で頷く二人。





「なるほど、そうでしたか。私が説明してもいいですが・・・いえ、話は移動しながらにしましょう。お二人は荷台に乗ってもらうんで中でマゼンタに聞いてください」




そういうとグリ子は荷台の扉を開ける。中から出てきたのは羽飾りのついた帽子をかぶった男。



「紹介するっす。アトフィスに行くのに雇った用心棒で、マゼンタ・ハットというっす。こっちの二人はユウさんとシエラさん、一緒に行くことになったんでよろしくっすね」




男は帽子を取り軽く会釈をする。


銀の長髪に整った顔立ち。背も高く見た目からしてとても強そうだ。歳は30前後といったところだろうか。



「マゼンタ・ハットだ。宜しくたのむ」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:マゼンタ・ハット
Lv:112(超越者)
性別:男
種族:人間
職業:双剣使い

不明
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




(ふ、不明?)


盗み見るようで気が引けるが、鑑定眼でマゼンタの情報を確認するも、詳細は不明という今までにないケースだ。しかも人でありながらレベル100を超えた超越者。この人はただモノではない!




「俺の顔に何かついているか?」



「あ、ごめんなさい。つい・・・」




鑑定眼のせいで変な視線を向けてしまっていたかもしれない、気を付けなければ。




「はい!紹介も終わったんでさっさと行きましょう!ほら皆さん、荷台に乗って!出番の時は呼びかけるんでよろしく頼みます!」






僕ら3人は荷台に乗り込む。どるんっ!という音と共に小刻みに振動する車体。乗っている感じは車そのものだ。その後すぐにガクンと荷台が揺れる。どうやら発進したみたいだ。




「はぁー、砂漠をぐるぐるするだけだったけどようやく前進できたみたいだ」



ここの所歩き詰めだったせいか、こうして座っていられることに安心感を覚える。しかも休んでいる間にも目的地へ向かっているんだ。やはり車というものはいい。






「ユウ、それにシエラといったか。お前たちはなぜこんな厄介な砂漠を歩いていたんだ?」



グリ子と全く同じことを聞かれてしまった。やっぱりこの砂漠はここら辺では有名な魔境のようだ。僕とシエラは無知を恥じながらいきさつを話す。






「くはははっ!そうかそうか、まぁ知らなければ仕方がない。俺たちが通りがかってよかったな。だが気をつけろよ?最近は魔物もやけに活発化してるしな」





マゼンタに笑われてしまった。恥ずかしい気持ちもあるがちょっと安心した。僕の第一印象は無口な人だったが、こうして会話の中で笑顔を見せてくれるところを見るに人付き合いの悪い人ではなさそうだ。





「マゼンタさんは、用心棒なんですよね。傭兵さんでしょうか?」



シエラの質問にマゼンタはかしこまるなと手を振る。










「さんはつけなくていいぞ、マゼンタでいい。そうだな、傭兵という認識で間違いない。よし、二人の話を聞いたことだし、今度は俺の話をしようか」




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