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第86話:始まる倍返し
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「はぁ、はぁ・・・着いた!…カエラさんっ!!」
全速力で走りぬいた僕が森の次に目にしたもの。地面がひび割れ木々は黒く焦げている。木の枝があちこちから飛び出ていて、巨大な岩石が転がっていた。
そして血だまりの中辛そうに立っているカエラさんと
そこへ剣を振りかざすキーラの姿。
コンマ1秒で爆発した僕の怒りは無意識のうちに体を突き動かす!足元の石を握るとキーラの剣目掛け力いっぱいぶん投げた!
自壊しながら真っすぐ飛んでいく石ころは剣にクリーンヒットしキーラの手を離れ回転しながら飛んでいく。
僕の姿をとらえたカエラさんは安堵の表情を浮かべ、その頬には涙が伝った。
(カエラさんを…泣かせたなっ!!)
「なんだ、今度はお坊ちゃんか。次から次へと…。ちょうどいい、魔女にとどめを刺したらお前も…!?」
キーラが何をしゃべっているかなんて僕にはどうでもよかった。本気で地面をけり上げると、景色は一瞬で後方へと飛んでいく。気が付けばもう目の前にはキーラの姿。
「うぉおおお!」
キーラの腕をつかみぐんっと放り投げる!
「なっ!?」
重装備のキーラの体はいとも簡単に宙に浮き、茂みの彼方まで吹き飛んでいった。
キーラの姿が見えなくなるのを確認し、僕は急いでカエラさんに駆け寄る。
「大丈夫ですか、カエラさん!ごめんなさい、僕が遅くなったばっかりに・・・」
カエラさんは辛いのを悟られないよう無理してにっこりと笑った。その笑顔が僕の心に突き刺さる。
「ありがとう、本当に頼もしくなったわね、ユウ君・・・。私よりも、シエラちゃんがひどい状態なの。全身やけどをしてしまって・・・」
「シエラが!?」
バッと家の扉に視線を送る。少し空いた扉から見えるシエラの手は遠くからでも真っ赤になってしまっているのがわかる。
(そんな、シエラまで…僕のせいだっ!僕が遅くなったせいでみんなが!)
「ユウ君、私を家まで運んでくれるかしら…。回復薬と魔術で今ならまだ元の状態まで回復させてあげられる・・・」
「!?はい、わかりました!カエラさんもこれを」
僕はロアンさんから別れ際受け取った回復薬を渡す。
急いで家の中へ連れ込み、カエラさんにシエラを託すと僕は再び外に出る。まだあんなものではくたばらないはずだ。キーラをこのままにしてはいけない。
ガサガサッ
キーラは茂みをかき分け姿を現した。ついでに飛んでいった剣も拾ってきたようだ。
「・・・まさかお前が一番のバケモンだったとはな。その小柄な体のどこにあれほどの力がある?」
「・・・何故二人をあれほどまで痛めつけた・・・」
キーラの問いには答えず、僕は怒りを込めた質問で返す。
「何故?理由は一つだろう。魔女だからだよ!」
何度も邪魔をされ、キーラもイラついているようだ。声を荒げ僕に対し威嚇をする。
「シエラも!お前も!魔女も魔女にかかわる奴もみな一掃してやる!人を脅かす存在を私は許しはしない!」
ギリリッと歯がこすれるほど僕は怒りを食いしばる。暴走しないよう冷静を装いながら。
「じゃあ二人が何か人に害を与えたっていうのか?お前はそれを見たのか?お前自身、人以外の種族を脅かす存在になってはいないか?」
「はっ!お前もあの二人みたいなことを言うんだな。被害が出てからじゃ遅いんだよ。現に今ガルシティは魔物であふれ住民は恐怖に脅かされている。危険の芽は摘み取らなきゃならない」
怒りを通り越して呆れてくる。はぁ、と僕はため息をついて見せると、キーラを睨みつける。
「何を言っても無駄みたいだね。もういい。謝罪させようかと思ったけど諦めたよ」
(スキル:身体強化)
「キーラ、君をいくら痛めつけようがきっとこの怒りは収まらないし、騎士である君は痛みに耐性があるだろう。だから僕は本気で君の心を壊す」
「は?何を言って・・・!」
技術や魔術ではない。ただ本気の速度でキーラの背後を取ったのだが、キーラからしてみれば瞬間移動したように見えたことだろう。視界から僕が消えた瞬間、キーラは目の前が真っ暗になりそのまま意識は深い闇へと落ちた。
全速力で走りぬいた僕が森の次に目にしたもの。地面がひび割れ木々は黒く焦げている。木の枝があちこちから飛び出ていて、巨大な岩石が転がっていた。
そして血だまりの中辛そうに立っているカエラさんと
そこへ剣を振りかざすキーラの姿。
コンマ1秒で爆発した僕の怒りは無意識のうちに体を突き動かす!足元の石を握るとキーラの剣目掛け力いっぱいぶん投げた!
自壊しながら真っすぐ飛んでいく石ころは剣にクリーンヒットしキーラの手を離れ回転しながら飛んでいく。
僕の姿をとらえたカエラさんは安堵の表情を浮かべ、その頬には涙が伝った。
(カエラさんを…泣かせたなっ!!)
「なんだ、今度はお坊ちゃんか。次から次へと…。ちょうどいい、魔女にとどめを刺したらお前も…!?」
キーラが何をしゃべっているかなんて僕にはどうでもよかった。本気で地面をけり上げると、景色は一瞬で後方へと飛んでいく。気が付けばもう目の前にはキーラの姿。
「うぉおおお!」
キーラの腕をつかみぐんっと放り投げる!
「なっ!?」
重装備のキーラの体はいとも簡単に宙に浮き、茂みの彼方まで吹き飛んでいった。
キーラの姿が見えなくなるのを確認し、僕は急いでカエラさんに駆け寄る。
「大丈夫ですか、カエラさん!ごめんなさい、僕が遅くなったばっかりに・・・」
カエラさんは辛いのを悟られないよう無理してにっこりと笑った。その笑顔が僕の心に突き刺さる。
「ありがとう、本当に頼もしくなったわね、ユウ君・・・。私よりも、シエラちゃんがひどい状態なの。全身やけどをしてしまって・・・」
「シエラが!?」
バッと家の扉に視線を送る。少し空いた扉から見えるシエラの手は遠くからでも真っ赤になってしまっているのがわかる。
(そんな、シエラまで…僕のせいだっ!僕が遅くなったせいでみんなが!)
「ユウ君、私を家まで運んでくれるかしら…。回復薬と魔術で今ならまだ元の状態まで回復させてあげられる・・・」
「!?はい、わかりました!カエラさんもこれを」
僕はロアンさんから別れ際受け取った回復薬を渡す。
急いで家の中へ連れ込み、カエラさんにシエラを託すと僕は再び外に出る。まだあんなものではくたばらないはずだ。キーラをこのままにしてはいけない。
ガサガサッ
キーラは茂みをかき分け姿を現した。ついでに飛んでいった剣も拾ってきたようだ。
「・・・まさかお前が一番のバケモンだったとはな。その小柄な体のどこにあれほどの力がある?」
「・・・何故二人をあれほどまで痛めつけた・・・」
キーラの問いには答えず、僕は怒りを込めた質問で返す。
「何故?理由は一つだろう。魔女だからだよ!」
何度も邪魔をされ、キーラもイラついているようだ。声を荒げ僕に対し威嚇をする。
「シエラも!お前も!魔女も魔女にかかわる奴もみな一掃してやる!人を脅かす存在を私は許しはしない!」
ギリリッと歯がこすれるほど僕は怒りを食いしばる。暴走しないよう冷静を装いながら。
「じゃあ二人が何か人に害を与えたっていうのか?お前はそれを見たのか?お前自身、人以外の種族を脅かす存在になってはいないか?」
「はっ!お前もあの二人みたいなことを言うんだな。被害が出てからじゃ遅いんだよ。現に今ガルシティは魔物であふれ住民は恐怖に脅かされている。危険の芽は摘み取らなきゃならない」
怒りを通り越して呆れてくる。はぁ、と僕はため息をついて見せると、キーラを睨みつける。
「何を言っても無駄みたいだね。もういい。謝罪させようかと思ったけど諦めたよ」
(スキル:身体強化)
「キーラ、君をいくら痛めつけようがきっとこの怒りは収まらないし、騎士である君は痛みに耐性があるだろう。だから僕は本気で君の心を壊す」
「は?何を言って・・・!」
技術や魔術ではない。ただ本気の速度でキーラの背後を取ったのだが、キーラからしてみれば瞬間移動したように見えたことだろう。視界から僕が消えた瞬間、キーラは目の前が真っ暗になりそのまま意識は深い闇へと落ちた。
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