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第70話:シエラの反省会
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ずーーーーーーん
そんな音が聞こえてきそうなくらい、目に見えて沈んでいるシエラ。
「し、シエラ…。そんなに落ち込まなくても。あれはシエラのせいじゃないんだし」
「そうよ、むしろ初めての魔術でいきなり成功したばかりかあれだけの威力が出せるなんてすごいことなのよ!魔力も全然余裕そうだったし」
「で、ですけどぉ」
半べそをかきながら返事をするシエラ。昼間の魔術の試し打ちで森を焼いたのを相当反省しているようだ。
「こんなに素敵なおうちなのに、周りの木を真っ黒こげにしてしまって・・・。動物たちも逃げてしまうし、あぁ、なんとお詫び申し上げれば・・・」
「いいのよ、しばらくすればみんな戻ってくるし、木も死んでしまったわけじゃないんだから。これからしっかり威力を調節できるよう練習すればいいじゃない!ね?ほら、ご飯食べて元気出して!」
「うぅぅ~カエラ様ぁ~!なんてお優しい・・・」
ぐすぐすいいながらカエラさんの作ってくれた夕食をほおばるシエラ。
「それにしても困ったわね」
「困った?何がですか?」
カエラさんのぽつりとつぶやいた言葉に僕は聞き返す。
「それがね、今晩ユウくんとどっちが一緒に寝るか決めるのにゲームをしていたのよ」
(知らないうちに景品にされている…なんだそのゲームは)
「もどってくるユウ君を最初に見つけた方が勝ちっていうルールだったけど、結局二人同時だったのよねぇ」
「あー、僕が家から出てきた時ですか。さすがに3人で一つのベットは無理ですね。今晩はあきらめましょう」
(ぜぇったいただ添い寝するだけじゃないもんね。サキュエル戦に続いてっていうと結構きついというか)
バッサリと切る僕につめたーい、と残念そうにするカエラさんをなだめ、僕らはその日の夕食を終えた。
(さて、ちょっと整理をするか)
就寝の支度を終えた僕は部屋で今のステータスやスキル、現状を整理するためベットに腰かけステータスウィンドウを立ち上げる。
(とりあえず目の前の目的だった神殿の調査は終わった。今後は冒険者としての正式登録を待って依頼を受ける感じかな。ただこの世界と転生者についての気になる点も調査したいし・・・)
ステータスを眺めながらこれからの行動について考えを巡らせる。ひとまずはガルシティを拠点にギルドで依頼をこなすのがいいと思う。
ただずっと居座る気はない。せっかく異世界に来たのだから様々な土地を訪れこの世界のことを知りたいという想いは依然として変わらないから。
それにはやはり戦闘技術の向上が不可欠だ。シエラは僕の予想をはるかに上回るアタッカーへと成長してくれた。あとは僕が性的戦闘以外の、本当の戦闘技術を身に着ける必要がある。
(とはいえ今の所身体強化とマーシャルアーツ頼みなところがある。大体いまだ『無職』なんだよなぁ・・・。武器とか装備したことは一度も無いけれど、試しに使ってみようかな)
試したいこと、やりたいことがどんどん膨らんでわくわくが止まらない。これだから異世界転生というのはいいものだね。
コンコン
ノックの音で僕は自分の世界から引き戻される。
「ユウくーん?ちょっといいかな?」
僕の返事を待つことなく扉は開かれた。
そんな音が聞こえてきそうなくらい、目に見えて沈んでいるシエラ。
「し、シエラ…。そんなに落ち込まなくても。あれはシエラのせいじゃないんだし」
「そうよ、むしろ初めての魔術でいきなり成功したばかりかあれだけの威力が出せるなんてすごいことなのよ!魔力も全然余裕そうだったし」
「で、ですけどぉ」
半べそをかきながら返事をするシエラ。昼間の魔術の試し打ちで森を焼いたのを相当反省しているようだ。
「こんなに素敵なおうちなのに、周りの木を真っ黒こげにしてしまって・・・。動物たちも逃げてしまうし、あぁ、なんとお詫び申し上げれば・・・」
「いいのよ、しばらくすればみんな戻ってくるし、木も死んでしまったわけじゃないんだから。これからしっかり威力を調節できるよう練習すればいいじゃない!ね?ほら、ご飯食べて元気出して!」
「うぅぅ~カエラ様ぁ~!なんてお優しい・・・」
ぐすぐすいいながらカエラさんの作ってくれた夕食をほおばるシエラ。
「それにしても困ったわね」
「困った?何がですか?」
カエラさんのぽつりとつぶやいた言葉に僕は聞き返す。
「それがね、今晩ユウくんとどっちが一緒に寝るか決めるのにゲームをしていたのよ」
(知らないうちに景品にされている…なんだそのゲームは)
「もどってくるユウ君を最初に見つけた方が勝ちっていうルールだったけど、結局二人同時だったのよねぇ」
「あー、僕が家から出てきた時ですか。さすがに3人で一つのベットは無理ですね。今晩はあきらめましょう」
(ぜぇったいただ添い寝するだけじゃないもんね。サキュエル戦に続いてっていうと結構きついというか)
バッサリと切る僕につめたーい、と残念そうにするカエラさんをなだめ、僕らはその日の夕食を終えた。
(さて、ちょっと整理をするか)
就寝の支度を終えた僕は部屋で今のステータスやスキル、現状を整理するためベットに腰かけステータスウィンドウを立ち上げる。
(とりあえず目の前の目的だった神殿の調査は終わった。今後は冒険者としての正式登録を待って依頼を受ける感じかな。ただこの世界と転生者についての気になる点も調査したいし・・・)
ステータスを眺めながらこれからの行動について考えを巡らせる。ひとまずはガルシティを拠点にギルドで依頼をこなすのがいいと思う。
ただずっと居座る気はない。せっかく異世界に来たのだから様々な土地を訪れこの世界のことを知りたいという想いは依然として変わらないから。
それにはやはり戦闘技術の向上が不可欠だ。シエラは僕の予想をはるかに上回るアタッカーへと成長してくれた。あとは僕が性的戦闘以外の、本当の戦闘技術を身に着ける必要がある。
(とはいえ今の所身体強化とマーシャルアーツ頼みなところがある。大体いまだ『無職』なんだよなぁ・・・。武器とか装備したことは一度も無いけれど、試しに使ってみようかな)
試したいこと、やりたいことがどんどん膨らんでわくわくが止まらない。これだから異世界転生というのはいいものだね。
コンコン
ノックの音で僕は自分の世界から引き戻される。
「ユウくーん?ちょっといいかな?」
僕の返事を待つことなく扉は開かれた。
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