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ー第26話ー

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「何を言ってるんだ?ここは俺の家だ。覗こうが何しようが勝手だろう」





(こいつ、中にいるやつらとグルか?)



カインは背後に現れた大男の質問にやや挑発気味で答えながらも、揉め事の予感を前に思考をめぐらせていた。



「俺の家・・・そうか、お前がカイン・ソルロックだな」



「あぁ、だからなんだよ」





<やっぱりカインが狙いだったみたいだね>




「くくっ!聞いていた通りクソ生意気な餓鬼だぜ。お前みたいなのはいたぶりがいがあって好きだ」




気づけば家の中にいた男たちも外へ出てきて、カインは4人に囲まれていた。




「お前に恨みはないんだがな。金のために半殺しにされてくれ」





「・・・誰の差し金だ」





「今から記憶がなくなるまでリンチされるお前に言う必要があるか?」






(ソリッズの差し金だと思うけど、あいつにこんな飼い犬がいるのか?普通のチンピラには見えないぞ。ということはまさか・・・)







「なるほど、反職組織アンチジョブか。どこの組か知らないがソリッズの野郎、とんでもない非合法に身体ごと浸かってるな」





男たちはカインの言葉に一瞬ハッとなったが、すぐににぃっと顔をゆがめてこぶしを鳴らした。




「勘がいいというのは悪いことでもあるぜ少年。お前はここで死ななくてはいけなくなった」




その次の瞬間、巨躯の男から放たれたとは思えないすばやいジャブをカインが避ける。だが敵は正面ばかりではない。背後の一人に腕をつかまれると、そのまま放り投げられる。




がしゃぁぁぁ!




窓ガラスを割って自分の家へ突っ込んだカイン。ごろごろ転がった後すばやく立ち上がる。その身体に傷はなく、顔からも一切のダメージを感じさせない。




男たちは追うようにして扉から家の中へ入ってくる。その手には短刀が握られていた。






「あ~あ、やってくれたな。少ない金で住み続けた俺の家に派手に穴を開けてくれちゃって」





カインは埃を払うように服をはたくと、男たちに向け指を立てかかってこいと挑発した。






「逃げてもよかったがさすがに許せなくなってきた。来いよチンピラ、捻りつぶしてやる」





常に弱者を相手に力を誇示して支配してきたならず者の男たちにとって、明らかな格下、それもこれほど年の差のある少年から放たれた挑発に対し、我慢などという概念は存在していない。




「ゴォルアテメェ!!どの口が言ってんだオイ!!」





口々に怒声を放ち向かってくる男たち。通常であればそれだけで足がすくみ、体が負けを認めてしまうことだろう。だがカインはこの場の誰よりも、戦闘力の差というものを正確に見切っていた。





(今だ!)




すべては計算。わざとらしい挑発でさえ作戦のうちだった。使男たちを一塊にせず少しバラした。




4人のうちちょうど3人が固まったその瞬間を、カインは見逃さなかった!



空間指定ルーム!」





青く輝く結晶が薄くパネル状になってできた箱は地面をつきぬけ、3人の男たちを取り囲む。




施錠ロック!」




すかさずカインは空間に鍵をかける。3人の男たちは突如現れた見えない壁に激突しその場に転倒した!







「おい、どうなってる!みえねぇ壁があるぞ!」




ジルの話では、空間施錠したこの箱を視認できるのは同じスキルランクの鍵師だけらしい。強制的にタイマンに持ち込んだカインは、閉じ込めなかった一人の前まで一気に間合いをつめ、思い切り鳩尾めがけて蹴り込んだ!






「ぐぉぉおおおおお!!」




男は悶絶する。予想すらしていなかった強烈な衝撃が、自分より一回り二回りも小さな少年から放たれたのだ。その巨躯は地面から足が離れ吹っ飛ぶ。そしてルームの壁面に背中を思い切り殴打し肺の空気はすべて奪われた。




(いくら強度がないとはいえ、ルームの結界はこれくらいじゃ破れないはず!)




男には見えないが、ルームで壁際まで追い込まれた男はカインのラッシュをただ受ける以外に何もできなかった!





ドドドドドドドドドドドッ!!!




もはや声も上げられず失神する男。




「うぉら!!」




とどめの一撃を放つと同時にカインは施錠を解除した!




ガシャァァア!






ボウリングのピンのように後方へ吹き飛び、今度は男たちのほうが窓ガラスを破壊して外へと放り出される。





「おいおい、2回も穴を開けちゃって。困るなぁおじさん達」





<ふふっ、今のは君があけたようなものだろう!まさかいきなり実践で使うとは思わなかったけどやるじゃないか。カインは本番に強いタイプみたいだね>
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