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ー第18話ー
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「ソリッズ・・・お前らまで何してんだ?昨日も今日も揃いも揃って、俺になんか用か?」
シチュエーションこそ昨日と変わらないが、両者の間には昨日には無かったとても大きな違いがある。
ソリッズたちは目をこれでもかと言うほど大きく見開き口をパクパクさせている。辛うじて脳みその回転が始まったソリッズは、目の前の少年におかしな質問を投げかける。
「お・・・お前、カインか?本当にカインなのか!?」
「はぁ?何言ってんだソリッズ。当たり前だろう。大体お前が俺のことを呼んだんだろうが」
<カイン・・・思い出してみなよ。今の君は髪も服も綺麗さっぱり。僕から見ても別人だよ?>
「あそっか」
(何だ、どうなっているんだ!声は確かにカインだ。背格好も顔も・・・だがまるで違う!声に力がある、態度に自信がある、何よりその目に恐怖が無い!この1日で一体こいつに何が・・・)
彼らが知るカインとは、いつも伏せ目がちで絶対に目を合わせず、歯切れが悪い。
弱く小さくプルプルと震える子犬のようだった。
(もはや別人・・・こんなに流暢に喋るやつだったか?明るいやつだったのか!?)
「何だよ押し黙って。用が無いなら俺は行くぜ。ほら、道を開けろよ」
そういって一向のど真ん中を割って進もうとするカインに対し、その中の一人がカインの肩をつかんで拳を握った!
「てっめぇ、何だその態度!カインの癖に調子に・・・!?」
(遅い・・・すごく遅いな。何で俺は今までこんなやつのパンチが避けられなかったんだろう)
ひどくゆっくりはっきり見えるその拳をすっと躱すと、勢いに乗った少年の体をぐっと押しつつ足払いをする。
「ぐぉ・・・がっ!!」
バランスを崩したその少年は一回転でもしそうな勢いで顔面から地面に激突した。
(あ、やっちゃった。怪我させる気無かったんだけどな・・・)
<さすがに今のは仕方ないと思うよ?というか僕としてはここでボコボコにしてもいいと思うんだ。カインとは記憶も一部共有しているから、こいつらが今まで君にしてきたことは知っている。当事者じゃない僕でさえ殺してやりたいほど腹が立っているよ>
(いや、でもなぁ・・・)
「おいてめぇ、やりやがったなカイン!」
そう吼えるのは他でもない、この集まりの発端でもあるマルスである。
今日のギルドでの出来事といい、あのカインが見せた態度といい、カインの変わりようを差し引いてもマルスのイライラはピークへ達していた。
「いい度胸じゃねぇかこの野郎。ちょっと小奇麗になったからって調子に乗ってんじゃねぇか?俺に今までやられてきたことを忘れちまったんじゃねぇだろうな。だったら思い出させてやるぜ!うぉら!!!」
腐っても戦士、ジルが言うように職業とスキルランクは本人にある程度恩恵を与えているようで、マルスの拳は先ほどの少年と比べるとその鋭さは増している。
だが所詮その程度、せいぜいDかEほどのスキルランクでは、SSランクのカインの前では毛ほども役に立たない。それがたとえ戦闘が本職である戦士だとしてもだ。
(駄目だ、マルスみたいな単細胞はちょっと痛い目にあわせないと逆恨みして何度でも同じことを繰り返す。気が進まないけどちょっとだけお灸を添えてやろう)
ぱしんっ!
カインはマルスのパンチを手の平で受ける。いや、正しくは受けるというより触れていなしている。通常であれば力の方向が狂った結果バランスを崩し倒れるものだが、戦士の持つ戦闘センスは一般人の比ではない。
マルスの拳は勢いを殺さず、その腕を振り子にぐるんと体を回転させ回し蹴りへと発展させる。
(いった!クリーンヒットだ!)
マルスの足は確実にカインの顔面を捕捉していた。
シチュエーションこそ昨日と変わらないが、両者の間には昨日には無かったとても大きな違いがある。
ソリッズたちは目をこれでもかと言うほど大きく見開き口をパクパクさせている。辛うじて脳みその回転が始まったソリッズは、目の前の少年におかしな質問を投げかける。
「お・・・お前、カインか?本当にカインなのか!?」
「はぁ?何言ってんだソリッズ。当たり前だろう。大体お前が俺のことを呼んだんだろうが」
<カイン・・・思い出してみなよ。今の君は髪も服も綺麗さっぱり。僕から見ても別人だよ?>
「あそっか」
(何だ、どうなっているんだ!声は確かにカインだ。背格好も顔も・・・だがまるで違う!声に力がある、態度に自信がある、何よりその目に恐怖が無い!この1日で一体こいつに何が・・・)
彼らが知るカインとは、いつも伏せ目がちで絶対に目を合わせず、歯切れが悪い。
弱く小さくプルプルと震える子犬のようだった。
(もはや別人・・・こんなに流暢に喋るやつだったか?明るいやつだったのか!?)
「何だよ押し黙って。用が無いなら俺は行くぜ。ほら、道を開けろよ」
そういって一向のど真ん中を割って進もうとするカインに対し、その中の一人がカインの肩をつかんで拳を握った!
「てっめぇ、何だその態度!カインの癖に調子に・・・!?」
(遅い・・・すごく遅いな。何で俺は今までこんなやつのパンチが避けられなかったんだろう)
ひどくゆっくりはっきり見えるその拳をすっと躱すと、勢いに乗った少年の体をぐっと押しつつ足払いをする。
「ぐぉ・・・がっ!!」
バランスを崩したその少年は一回転でもしそうな勢いで顔面から地面に激突した。
(あ、やっちゃった。怪我させる気無かったんだけどな・・・)
<さすがに今のは仕方ないと思うよ?というか僕としてはここでボコボコにしてもいいと思うんだ。カインとは記憶も一部共有しているから、こいつらが今まで君にしてきたことは知っている。当事者じゃない僕でさえ殺してやりたいほど腹が立っているよ>
(いや、でもなぁ・・・)
「おいてめぇ、やりやがったなカイン!」
そう吼えるのは他でもない、この集まりの発端でもあるマルスである。
今日のギルドでの出来事といい、あのカインが見せた態度といい、カインの変わりようを差し引いてもマルスのイライラはピークへ達していた。
「いい度胸じゃねぇかこの野郎。ちょっと小奇麗になったからって調子に乗ってんじゃねぇか?俺に今までやられてきたことを忘れちまったんじゃねぇだろうな。だったら思い出させてやるぜ!うぉら!!!」
腐っても戦士、ジルが言うように職業とスキルランクは本人にある程度恩恵を与えているようで、マルスの拳は先ほどの少年と比べるとその鋭さは増している。
だが所詮その程度、せいぜいDかEほどのスキルランクでは、SSランクのカインの前では毛ほども役に立たない。それがたとえ戦闘が本職である戦士だとしてもだ。
(駄目だ、マルスみたいな単細胞はちょっと痛い目にあわせないと逆恨みして何度でも同じことを繰り返す。気が進まないけどちょっとだけお灸を添えてやろう)
ぱしんっ!
カインはマルスのパンチを手の平で受ける。いや、正しくは受けるというより触れていなしている。通常であれば力の方向が狂った結果バランスを崩し倒れるものだが、戦士の持つ戦闘センスは一般人の比ではない。
マルスの拳は勢いを殺さず、その腕を振り子にぐるんと体を回転させ回し蹴りへと発展させる。
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マルスの足は確実にカインの顔面を捕捉していた。
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