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ー第17話ー
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<まさか本当に1日何も食べずにそのまま寝ちゃうなんてね・・・>
「あはは、まぁ癖みたいなもんでさ。空腹を我慢するのは慣れてるし、空腹を忘れるには寝るのが一番だったから。俺の中じゃ空腹ってのは一番優先順位が低いんだよ」
そんな話をしながら露店の並ぶ道を歩くカイン。周りの人間からしてみればジルの声が聞こえないので、さもおかしな光景に見えたことだろう。
―――――――――――――――――――――
鍵師の力を継承した昨日、そのあと空間接続術で荷物を移動させていたのだが、作業が終わるころにはもう暗くなってしまっていた。
レベル上昇の恩恵でえられた身体パラメータ向上により、荷物の持ち運び程度なら一切の疲れを感じないカインではあったが、これまで蓄積された体へのダメージと、何より精神的疲労。そしてそれらから開放されたことへの安心感からくる睡魔に勝つことができず、新しい家の一室にあったベッドに横になった瞬間意識を失うように寝てしまった。
今までの人生で一番寝心地のよいベッドということもあり、なんと目を覚ましたときには翌日の夕方だったのだ。
今の拠点は周りに木しかない。生活する上ではやはり元住んでいた街にたびたび戻る必要がある。
<元の家の扉を空間接続できるように?いいよ、これも能力を使う練習だね>
一方通行では不便に感じたカインは、自分の能力を使って元家の玄関にいつでも繋がる鍵を作ることにした。
<空間接続術式には空の鍵を使う。作り方はまた今度教えるよ。僕がカインの右手に術式を展開させるから、空の鍵を玄関の扉に刺して回して。それで契約は完了さ>
ジルはスキルを行使する時に手助けをしてくれる。術式の展開や、欲しい鍵をインヘリット・ルームから現実世界に取り出したり引っ込めたり、時には欲しい鍵を思っただけでもう出してくれている時だってある。
<一つ注意して欲しいのは、空間接続術式にあたって契約に必要な絶対条件は『扉の所有者の許諾』が必要だってこと。今回はカインの家の扉だから、所有権はカインにあり全く問題ない。でも他の人の家の扉だったりする場合、勝手に契約して行き来出来ないんだ。もし契約するなら何らかの形で許可を貰わないと契約は成立しない。覚えておいてね>
こうして一通りスキルの練習を兼ねた作業が終わった後、さすがに空腹に耐えかねたカインは街へと繰り出した。幸い拠点には金銭も残されており、何年かぶりに満腹になるまで食事ができる、とカインは胸いっぱいになりながら大通りへと向かう。
―――――――――――――――――――――
「これだけ買えればいっぱい作れるなぁ!いやぁ楽しみだ」
買い物からの帰り道。もっていったお金でカインが購入したのは、なんとできた料理ではなく食材だった。カインの中ではまだ貧乏癖が抜けないようで、たとえお金があっても店で食事をしたり屋台で食べ物を買うことに抵抗があるようだ。
<この空腹状態でこれから料理をするとは恐れ入ったよ。カインは料理が得意なのかい?>
「んー、得意・・・なのかわかんないけどじいさんはうまいうまいって喜んでたぜ。いかに食費を安く、うまく作るかっていったら結局行き着く先は自炊と研究だしな。味には自信がある」
<ふぅん、そりゃ楽しみだね!>
「・・・イン・・・てきたらどうだ!!」
「!」
ジルと話をしていたそのとき、誰かが大声で何かを言っているのが聞こえる。かろうじて断片的に聞こえたその言葉から、カインは自分が呼ばれているのだとなんとなく感づいた。
「ん?誰か呼んだか?」
曲がり角の向こう、声の主へ近づくカイン。
そしてそこにはつい昨日見たばかりの少年たちが、飽きもせず群れを成してたむろっている。
まるで昨日の再現だった。
「あはは、まぁ癖みたいなもんでさ。空腹を我慢するのは慣れてるし、空腹を忘れるには寝るのが一番だったから。俺の中じゃ空腹ってのは一番優先順位が低いんだよ」
そんな話をしながら露店の並ぶ道を歩くカイン。周りの人間からしてみればジルの声が聞こえないので、さもおかしな光景に見えたことだろう。
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鍵師の力を継承した昨日、そのあと空間接続術で荷物を移動させていたのだが、作業が終わるころにはもう暗くなってしまっていた。
レベル上昇の恩恵でえられた身体パラメータ向上により、荷物の持ち運び程度なら一切の疲れを感じないカインではあったが、これまで蓄積された体へのダメージと、何より精神的疲労。そしてそれらから開放されたことへの安心感からくる睡魔に勝つことができず、新しい家の一室にあったベッドに横になった瞬間意識を失うように寝てしまった。
今までの人生で一番寝心地のよいベッドということもあり、なんと目を覚ましたときには翌日の夕方だったのだ。
今の拠点は周りに木しかない。生活する上ではやはり元住んでいた街にたびたび戻る必要がある。
<元の家の扉を空間接続できるように?いいよ、これも能力を使う練習だね>
一方通行では不便に感じたカインは、自分の能力を使って元家の玄関にいつでも繋がる鍵を作ることにした。
<空間接続術式には空の鍵を使う。作り方はまた今度教えるよ。僕がカインの右手に術式を展開させるから、空の鍵を玄関の扉に刺して回して。それで契約は完了さ>
ジルはスキルを行使する時に手助けをしてくれる。術式の展開や、欲しい鍵をインヘリット・ルームから現実世界に取り出したり引っ込めたり、時には欲しい鍵を思っただけでもう出してくれている時だってある。
<一つ注意して欲しいのは、空間接続術式にあたって契約に必要な絶対条件は『扉の所有者の許諾』が必要だってこと。今回はカインの家の扉だから、所有権はカインにあり全く問題ない。でも他の人の家の扉だったりする場合、勝手に契約して行き来出来ないんだ。もし契約するなら何らかの形で許可を貰わないと契約は成立しない。覚えておいてね>
こうして一通りスキルの練習を兼ねた作業が終わった後、さすがに空腹に耐えかねたカインは街へと繰り出した。幸い拠点には金銭も残されており、何年かぶりに満腹になるまで食事ができる、とカインは胸いっぱいになりながら大通りへと向かう。
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「これだけ買えればいっぱい作れるなぁ!いやぁ楽しみだ」
買い物からの帰り道。もっていったお金でカインが購入したのは、なんとできた料理ではなく食材だった。カインの中ではまだ貧乏癖が抜けないようで、たとえお金があっても店で食事をしたり屋台で食べ物を買うことに抵抗があるようだ。
<この空腹状態でこれから料理をするとは恐れ入ったよ。カインは料理が得意なのかい?>
「んー、得意・・・なのかわかんないけどじいさんはうまいうまいって喜んでたぜ。いかに食費を安く、うまく作るかっていったら結局行き着く先は自炊と研究だしな。味には自信がある」
<ふぅん、そりゃ楽しみだね!>
「・・・イン・・・てきたらどうだ!!」
「!」
ジルと話をしていたそのとき、誰かが大声で何かを言っているのが聞こえる。かろうじて断片的に聞こえたその言葉から、カインは自分が呼ばれているのだとなんとなく感づいた。
「ん?誰か呼んだか?」
曲がり角の向こう、声の主へ近づくカイン。
そしてそこにはつい昨日見たばかりの少年たちが、飽きもせず群れを成してたむろっている。
まるで昨日の再現だった。
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