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ー第10話ー
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「さっきも言ったけれど、本来すべて継承されるはずの力は今一部しか継承されていない。理由は初代鍵師にまで遡るよ」
「初代が生きた時代はまだ職の依存が始まる前の世界さ。魔物を統括する魔王が現れ、世界に闇が満ちていた。そんな悪鬼に満ちた世界を切り開いたその人物こそ初代鍵師、そして同じく苦楽をともにした初代勇者さ」
「・・・・口出ししていい?」
「だめ、後で」
(話がぶっ飛んでるぞ。初代が勇者パーティにいただって?まぁ人知を超えた力の一部を受け継いだ俺自身だから納得できる話だけど・・・)
「勇者と初代、他数名のパーティは見事魔王を打ち倒した。だけどそのとき初代は魔王の呪いを一身に受けてしまってね。その強力な力を分割され、各地に封印されてしまったのさ。今しがた君が開けたキーボックスがまさにそれだよ」
「!?」
「さすがは初代、ただではくたばらないってね。封印されるとき魔王が掛けた鍵よりもっと難易度の高い鍵を自分で掛けたんだ!遺志を受け継いだ後継者たちが今みたいに成長するためにね。まさか魔王も自分の封印の上からさらに鍵を掛けてくるなんて思ってなかっただろう」
「確かにどうかしてるよな・・・」
「後継者候補の鍵師は、初代の残した遺産であるキーボックスを開けることで正当後継者として認められ、スキルアップとともに初代の能力を使う権利を与えられる。君はその5代目さ。彼らが見つけたキーボックスから得た力はこのインヘリット・ルームに蓄えられる。たとえ殉職しても次の正当後継者にあとを継いでもらうためにね」
「ちょっと待ってくれ!」
先ほど口出しをとめられていたカインもさすがに我慢ができなかったようだ。
「完全に引き継げなかったとはいえ超人的な力を持った鍵師が殉職ってどういうことさ」
「やだなぁ、初代を封印したのは魔王だよ?ただ封印するだけで済ますわけ無いじゃないか!遺跡や過酷な環境にあったり、強力な魔物が番人をしていたり、その旅はたとえ歴代後継者たちであっても困難を極めたんだ」
ゾクッ!!
カインの体は電気が走ったように震える。
これまでのカインであったら恐怖から来る震えであったに違いないが、今は違う。
体に漲るこの力をもってしても届かなかった敵が居るという事実。これまで求めてやまなかった『力』をついに得て、たまりにたまったフラストレーションを全力で存分にぶつける相手がこの世界に存在するという現実から来た武者震いだった。
「本題ってのはそういうこと。僕からの提案だ。別にこの国に収まってこれまでどおりの暮らしをしても構わないが、どうだい?初代の残した遺産を集める冒険に出てみる気はないかい?」
ゾクゾク!
(夢にまで見た。強い魔物と戦って、懐かしむように冒険を語る!凍てつく大地、中に浮かぶ要塞!まだ見ぬ世界に恋焦がれ続けていた!)
「過酷でつらい旅になるだろう。死線を何度も潜るはずだ。夢半ばにしてこの世を去ってしまうかもしれない。それでも・・・」
(いつも哀れみの目を向けられ続けてきた、虐げられてきた!でもこれからは違う!証明してみせる、見せ付けてやる!Eランクでも立派な職業であることを!極めればどんな職人でも輝けることを!見返してやる!!)
「聞くまでもないか。カイン、君のその顔がまさに答えだ」
にっと男の子は笑って見せると、大げさに両手を広げ高らかに宣言した!
「今一度祝福しよう!おめでとう、カイン・ソルロック!君は見事初代の残した遺産をその手で勝ち取り、その類まれなる能力を継承した5代目鍵師になった!これから待つ君の未来に希望の光が差すことを願って、君に代々伝わる初代の言葉を贈ろうじゃないか!!」
「扉を眺め苦悩するな、扉を前に立ち止まるな!我ら鍵師、求めるものはその先に在る!」
「初代が生きた時代はまだ職の依存が始まる前の世界さ。魔物を統括する魔王が現れ、世界に闇が満ちていた。そんな悪鬼に満ちた世界を切り開いたその人物こそ初代鍵師、そして同じく苦楽をともにした初代勇者さ」
「・・・・口出ししていい?」
「だめ、後で」
(話がぶっ飛んでるぞ。初代が勇者パーティにいただって?まぁ人知を超えた力の一部を受け継いだ俺自身だから納得できる話だけど・・・)
「勇者と初代、他数名のパーティは見事魔王を打ち倒した。だけどそのとき初代は魔王の呪いを一身に受けてしまってね。その強力な力を分割され、各地に封印されてしまったのさ。今しがた君が開けたキーボックスがまさにそれだよ」
「!?」
「さすがは初代、ただではくたばらないってね。封印されるとき魔王が掛けた鍵よりもっと難易度の高い鍵を自分で掛けたんだ!遺志を受け継いだ後継者たちが今みたいに成長するためにね。まさか魔王も自分の封印の上からさらに鍵を掛けてくるなんて思ってなかっただろう」
「確かにどうかしてるよな・・・」
「後継者候補の鍵師は、初代の残した遺産であるキーボックスを開けることで正当後継者として認められ、スキルアップとともに初代の能力を使う権利を与えられる。君はその5代目さ。彼らが見つけたキーボックスから得た力はこのインヘリット・ルームに蓄えられる。たとえ殉職しても次の正当後継者にあとを継いでもらうためにね」
「ちょっと待ってくれ!」
先ほど口出しをとめられていたカインもさすがに我慢ができなかったようだ。
「完全に引き継げなかったとはいえ超人的な力を持った鍵師が殉職ってどういうことさ」
「やだなぁ、初代を封印したのは魔王だよ?ただ封印するだけで済ますわけ無いじゃないか!遺跡や過酷な環境にあったり、強力な魔物が番人をしていたり、その旅はたとえ歴代後継者たちであっても困難を極めたんだ」
ゾクッ!!
カインの体は電気が走ったように震える。
これまでのカインであったら恐怖から来る震えであったに違いないが、今は違う。
体に漲るこの力をもってしても届かなかった敵が居るという事実。これまで求めてやまなかった『力』をついに得て、たまりにたまったフラストレーションを全力で存分にぶつける相手がこの世界に存在するという現実から来た武者震いだった。
「本題ってのはそういうこと。僕からの提案だ。別にこの国に収まってこれまでどおりの暮らしをしても構わないが、どうだい?初代の残した遺産を集める冒険に出てみる気はないかい?」
ゾクゾク!
(夢にまで見た。強い魔物と戦って、懐かしむように冒険を語る!凍てつく大地、中に浮かぶ要塞!まだ見ぬ世界に恋焦がれ続けていた!)
「過酷でつらい旅になるだろう。死線を何度も潜るはずだ。夢半ばにしてこの世を去ってしまうかもしれない。それでも・・・」
(いつも哀れみの目を向けられ続けてきた、虐げられてきた!でもこれからは違う!証明してみせる、見せ付けてやる!Eランクでも立派な職業であることを!極めればどんな職人でも輝けることを!見返してやる!!)
「聞くまでもないか。カイン、君のその顔がまさに答えだ」
にっと男の子は笑って見せると、大げさに両手を広げ高らかに宣言した!
「今一度祝福しよう!おめでとう、カイン・ソルロック!君は見事初代の残した遺産をその手で勝ち取り、その類まれなる能力を継承した5代目鍵師になった!これから待つ君の未来に希望の光が差すことを願って、君に代々伝わる初代の言葉を贈ろうじゃないか!!」
「扉を眺め苦悩するな、扉を前に立ち止まるな!我ら鍵師、求めるものはその先に在る!」
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