先生と俺

春夏

文字の大きさ
48 / 48
12.

12-4

しおりを挟む
side 亮太

「先生!」職員室の扉が開いて、そこにいたのは顔を上気させた幸久。ここに居るのは先生ばかりやけれど、呼ばれとるのは俺やろ、と廊下に出る。

「どしたん、そんなに」息をきらして、と続けようとした俺を幸久が遮った。「思い出した、思い出したよ。俺、全部思い出したよ。ごめん、ごめんなさい、ごめんなさい」頭が真っ白になって、ただ立ち竦む。折よく通りがかった校長が、俺達を引きずるように校長室に放り込んだ。

「鍵をかけておくから。2人でゆっくり話しなさい」と校長が出ていく。幸久はずっと泣いている。ごめん、ごめん、と繰り返して、もう俺のこと好きじゃない?もう俺のこと要らない?と泣いている。心が晴れる。思い出した…幸久が俺のことを思い出した…!

緊張に震える指を幸久の頬に伸ばす。「泣かんといて。幸久…俺のとこに帰ってきてくれてありがとう」止まらない涙を吸い取って、夢にまでみた唇を重ねた。

[全部思い出したよ。心配かけてごめん]幸久のメッセージにオヤジさんは[そうか。本当に良かった。今夜は父さんを1人でのんびりさせてくれ]と粋な返事をくれよった。「…俺、ヒートじゃないけど…亮太の家で待ってていい?」幸久が俺の名前を呼ぶ。「あたりまえやろ。もう、もうどこにも行かんといて」今度は幸久が俺の涙を吸い取った。「あのさ、今夜…こっちも噛んで」他人には見えない噛み痕が残る右のうなじ。俺にだけ見える所有の証。幸久が左のうなじを指さして、俺の唇に甘く噛みついた。




ーーーーーーーー
お読みいただきありがとうございました。
アルファとオメガを自分の書きたいように書いてしまいました。
次の話もよろしくお願いします。
明日から投稿します。
ーーーーーーーー
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

お使いはタバコとアイスとお兄さん

秋臣
BL
風景が動いた気がした。 居酒屋でバイトをしている俺はよく客からお使いを頼まれる。 お使い途中の陸橋で見かけるその人はいつも寂しそうな顔をしていて、俺はそれが気になっていた。ある夜、降り出した雨の中佇むその人を放っておけず傘を差し出した俺。 ただの風景だったはずのその人が熱を持った人間だと初めて感じた…

うちの前に落ちてたかわいい男の子を拾ってみました。 【完結】

まつも☆きらら
BL
ある日、弟の海斗とマンションの前にダンボールに入れられ放置されていた傷だらけの美少年『瑞希』を拾った優斗。『1ヵ月だけ置いて』と言われ一緒に暮らし始めるが、どこか危うい雰囲気を漂わせた瑞希に翻弄される海斗と優斗。自分のことは何も聞かないでと言われるが、瑞希のことが気になって仕方ない2人は休みの日に瑞希の後を尾けることに。そこで見たのは、中年の男から金を受け取る瑞希の姿だった・・・・。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

契約満了につき

makase
BL
仮初めの恋人として契約を結んだ二人の、最後の夜。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

すれ違いがちなヒカルくんは愛され過ぎてる

蓮恭
BL
 幼い頃から自然が好きな男子高校生、宗岡光(ヒカル)は高校入学後に仲間と自然を満喫したいという思いから山岳部へ入部する。  運動音痴なヒカルは思いのほか厳しい活動内容についていけず、ある日ランニング中に倒れてしまう。  気を失ったヒカルが見たのは異世界の記憶。買い物中に出会った親切な男が、異世界ではヒカルことシャルロッテが心から愛した夫、カイルだったのだと思い出す。  失神から目が覚めたヒカルの前には、記憶の中のカイルと同じ男がいた。彼は佐々木賢太郎、ヒカルの同級生で山岳部の部員だと言う。早速ヒカルは記憶が戻った事を賢太郎に話した。  過去に仲睦まじい夫婦であったという記憶を取り戻したからなのか、ヒカルは賢太郎の事を強く意識するようになる。  だが現代での二人はただの同級生で男同士、これから二人の関係をどうするのか、賢太郎の言葉だけでははっきりと分からないままその日は別れた。  溢れた想いを堪えきれずについDMで好きだと伝えたヒカルだったが、賢太郎からの返信は無く、酷く後悔することに。  主人公ヒカルをはじめとした、登場人物たちの勘違いによって巻き起こる、すれ違いストーリーの結末は……?

処理中です...