先生と俺

11.

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side 亮太

結局幸久のヒートは３日続いた。オヤジさんから「病院で薬をもらってきた」とたった一言のメッセージが届いた。３日。辛くて苦しい３日。

２学期が始まった。幸久は初日のホームルームでクラスメイトに自分の記憶がないことを伝えた。「だから皆に迷惑かけるかもしれない」俯く幸久に「オレたちのことは覚えてんだろ？」と声がかかる。「皆は中学が一緒だったから…でも皆ちょっと老けたんじゃね？」「幸久だって！」嬉しそうに笑う幸久。「ならそんなに問題ねぇじゃん」「わからないことは僕に聞きたまえ！」明るく騒ぎ出す生徒達。そう、覚えとらんのは俺のことだけ。

心配された勉強面もどうやら忘れとらんようや。中間テストも無事にクリア。大学志望を変えることもなかった。幸久のヒートに気づくたびにオヤジさんに連絡を入れる。これで４度目、季節はもう冬。俺の世界だけがポッカリ穴が空いたまま。

「さて、今日からは受験生やで。しっかりやりや」新年度の最初のホームルームを終える。教室に１人残った幸久が「先生」と俺の目を見た。