先生と俺

春夏

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side 亮太

「中等部の子らが見学に来るの、今日やったっけ?」「そうだよ。オレ、見学の引率あたってんだよなぁ。めんどくせぇ」「はいはい、ご苦労さん」同期の教員と言葉を交わし授業に向かう。

あれから海には行けんかった。あの子に会いたい、でももし会ってもうたら自分が何をしてしまうのか、怖くてたまらんかってん。あの子は俺の運命の番。せやけどあの子はまだ子どもや。今のあの子から全てを奪ってしまうなんて、そんなんただの暴力や。大人としての理性が大事な宝を手放せと警告する。それにおとなしく従っとる俺は…ただの根性無しや。あの子は俺をどう思っとんのやろ。名前も知らない男に抱きしめられてキスまでされて…。

1時間目の授業を終え教員室に戻る。ふと外に目をやれば中学生が校門に集まっとった。あの子らが来年入ってくんねんな…。あの子は高校生やろか。それともまだ中学生か。転性したあの子にはいつか発情期がやってくる。俺の知らないところで、俺じゃない誰かにあの体を…灼けつくような焦燥に気づかないふりをした。

「やっと終わったー」「おう、お疲れ。どやった?」「中坊はうるせぇわ」「ハハハ、可愛ええやんか」「そういえばえらく可愛いのがいたぜ」「…手ェ出すなや。クビになんで」「わかってるよ。目の保養ってやつじゃん」…コイツの言う“えらく可愛いの”があの子のことやと知ったのは、新年度を前に新担任に渡された写真付きの名簿を見た時だった。
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