Promised Happiness

12. クリアしたらね

12-6 雪合戦

『火！』マールの魔法が雪を溶かすと、そこに階段が現れた。「こんな仕掛けになってたんだね」

意味ありげに積もる雪塊を守るように立っていたスノマン。キーホルダーにしたいくらい可愛いそいつは、見た目に反して凶暴だった。雪合戦のように連投されるスノースライム、腕代わりの枝から放たれるつららのニードル。「近寄れへん！せや、火矢にしたる！」この位置からは、まだ威力の弱いマールの『火』はスノマンに届かない。矢に火をつけスノマンめがけて放つ。ティエラがスノマンにぶつけた油に引火して、赤いバケツだけがそこに残った。「レムが壁になっとってくれたおかげや」ホーリーに張り付かれるレムをマールが褒めて、レムは“まかせろ”とばかりに胸を叩いた。

ティエラが残されたバケツを鑑定すると［スノマンのバケツ:雪を詰めるといいことがあります］。指先を真っ赤にして雪を詰め込むと、バケツは２双の手袋に変わった。「マルチグローブだって！熱いものも冷たいものも持てるって。ホントだ、冷たくない！」「熱い方も試してみよか」火を熾した炭をマールが掴む。「ホンマや、熱くない。これぶつけたったらよかったのに！矢が無くなってもた」マールが投げた炭が雪原を小さく溶かした。