Promised Happiness

1. ゲームの準備

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脳に認識させる擬似的な世界。視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の再現。VRMMO と呼ばれるジャンルのゲームが世に認知されるようになって数年、新しいゲームがまたひとつ発売された。

プロミスドハピネス、略してプロハピと名付けられたこのゲームには、購入者の全てに義務付けられたひとつの決まりがある。それは“サービス初日だけは運営ＡＩがマッチングした相手とペアを組む”というものだ。ＡＩによる相性判断の実証実験を兼ねているとかで、２日目からはその相手とそのままゲームを続けるのもよし、リアルの友人やプロハピで知り合った人を加えてパーティを組むのもよし、はたまたその日限りの付き合いで終わるのもよし。マッチングされるのが嫌だという人には２日目からのログインが推奨されている。発売日から３日以内に、用意された質問に答えておくと、サービス開始の前日にＡＩからログイン時刻の確認メールが届く。その時間にゲームができる人の中で最も相性がいい（と思われる）相手とマッチングされるのだ。

後日のアンケートによると、結局のところ半数がその日限りでペアを解消したという。それでもその大多数がＩＤを交換し、時には共にクエストに挑んだりするそうだ。ＡＩによる相性判断は概ね成功といえよう。

理久と海未はそのマッチングで出会った。