確率は100

春夏

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13. 旅はつづく

神様からのご褒美

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大騒ぎは「今日はもう遅いわ。明日、朝からいろいろ決めましょう」というお祖母様のひとことで解散になった。やっとヒカリと2人きり。

「ヒカリ…」「違うの、あのね、俺そんなつもりで言ったんじゃなくて…」言い募るヒカリの唇を塞ぐ。「ん…」大人しくされるがままのヒカリ。ヒカリを椅子に座らせ跪く。「ヒカリ、俺と結婚してください」ヒカリの左手の薬指に軽く歯をたてる。「指輪がなくてすまんな」ヒカリの頬をひとすじの涙がつたう。「一緒に暮らしとるし、王都の屋敷で簡単なもんしてもろたけど…」頬の涙を吸い取る。「ちゃんとプロポーズさせてくれ。結婚しよう。俺とずっと一緒にいてください」震えるヒカリの指が俺の左手を掴む。同じように薬指に歯をたてて「…嬉しい…」「ずっと一緒や」ヒカリをベッドに横たえ「結婚式の夜は何するか教えたやろ」「初夜…また初夜するの…?」「何回したってええやろ」母ちゃんたちに怒られないように優しくヒカリを抱いた。

「もっと盛大にやりたいが仕方がない、身内だけであげるとしよう」お祖父様が折れた。急遽呼び出された父ちゃんが言う。「では場所はここで。5日後でいいですね?」「服を急ぎで仕立てさせるわ。何色がいいかしら。さあ2人とも、大きさを測ってもらいなさい」いつの間にか仕立て屋まで呼ばれとる。「お身内だけの式ならばヒカリ様に思う存分召し上がっていただけますね。料理人一同、張り切らせていただきます!」「花の手配をしなければ!」使用人たちも浮き足だっとるな。

「…俺が結婚でける日がくるなんてなぁ…」「神様のおかげだね…でも…」「ん?」「向こうにいても、きっと俺、シキくんのこと、ずっと想ってたよ。名前も知らないあの人のこと、きっとずっと忘れなかったと思う」「…俺かてきっとそうやったわ。ファンクラブ入って遠征しとったかもしれんよ」「いつも見ててくれたかな?」「あたりまえや」「…こっちで良かった。いつも隣で俺のこと見ててくれるもん」「ヒカリの隣は俺だけのもんや」俺は目を閉じて神様に話しかける。ホンマに感謝しとる。ヒカリがお祖父様に俺をもらったのなら、俺にヒカリをくれたのは間違いなく神様や。神様からのご褒美、大事にさせてもらうで。
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