確率は100

12. 初めてのダンジョン

誰にもあげない

お茶の時間に「ベッドが狭くて２人で寝られない」とシキくんが皆に言った。どうしてそういうこと平気で言えるんだろう…。俺は恥ずかしくて顔から火が出そうなのに。「ガハハ、仲がいいな」ほら、おじいちゃんに笑われた。「リューがでかくなったから１人でももう狭かろう。在庫にもあるはずだが家具屋に行ってきたらどうだ。ついでにアインネートの街を案内してやれ」「せやな。俺が生まれ育った街をヒカリに見せたろ。行こか」

シキくんの家はいわゆるメインストーリートにあった。周りにはいろんなお店。さっきはとりあえずまっすぐ家を目指したから、よく見られなくて残念だった俺。「アインネートでヒカリとデートでけるなんて最高や」なんて言ってくれるから俺も嬉しくてはしゃいでしまう。「ここがギルドや。浄化が終わったら２人で依頼受けてみよか」浄化が終わったら…「…俺、できるかな…」ヌーラを目の前にまた不安になってきた。「でけるよ。俺が一緒や」…そうだよね。俺の横にはいつだってシキくんが居てくれるんだもん、心配することなんかないんだ。「うん！」繋いだ手。離さないよ。

シキくんに確率100の相手がいることは街では有名だったらしくて、いろんな人から「見つかったのか！」「良かったねぇ」と声がかかる。「羨ましいやろ。俺のや、やらんぞ！」といつもの言葉を返すシキくん。シキくんは俺のもの。誰にもあげないよ。恥ずかしいから言わないけれど、心で叫んだ。「ん、これにしよ。このベッドなら２人でも余裕やろ。ヒカリが乱れても大丈夫そうやな」…でもやっぱり外でそういうこと言うの、ほんとにやめてほしいんだけど！