確率は100

12. 初めてのダンジョン

お祖父様からの依頼

「クランさんからおやつもらった！クッキー！」「さっき朝飯食ったばっかやん。夜はお祖父様のとこやで。また腹パンパンになっても知らんぞ」「大丈夫、俺、成長期！」リスみたいに詰め込んどるわ。俺にも１枚差し出してくる。「こっからもらおか」と舌を差し込んでヒカリの甘い口内から甘いクッキーをいただく。「ごちそうさん」…シキくんてホントにバカ…とお褒めの言葉が返された。

「リュー！ヒカリ！よく来てくれた」「お久しぶりです。なんとか無事到着しました」「うむ」お祖父様と夕食の席に着く。お祖母様には挨拶したが、領主の仕事も忙しいんやろな、この時間までお祖父様には会えへんかった。今日は伯父上の奥さんも一緒や。ヒカリを紹介する。「お会いできて嬉しいわ」ヒカリがポーッと赤くなった。なかなかこんな美人にはお会いでけへんもんな。旅の話をしながら和やかな食事。ヒカリはまだマナーを気にしとるようやけど、お祖父様たちがヒカリを見る目はあたたかい。あたたかい、っちゅうかデレデレ。俺が失い虫のせいでヒカリを忘れた話をしたら皆から説教をくらった。

「ヌーラの浄化を正式に依頼する。ヒカリ、頼むぞ」「頑張ります！」「ああ、だが無理はするな。ヒカリの方が大事じゃ。やはり他の人に頼むべきであったか…」「俺、俺にやらせてください！シキくんの大事な人が、俺の大事な人が困ってるの嫌だ。俺にできることやらせてもらえませんか」お祖父様は驚いたように目を瞠り、そして大きく頷いた。「よろしく頼む。リュー！必ず守れよ」俺も大きく頷きかえした。

「何年か前のことだ。ヌーラの近くに突然ダンジョンが生まれた。冒険者たちで賑わっておったそうだ。ところが」ダンジョン内部が変化しだしたのだ、とお祖父様が説明する。ダンジョンて突然生まれるもんやねんな、異世界らしいわ。内部が少しずつ暗くなり、今ではその周囲も夜の暗さになって、もう冒険者ですら近づかない。夜を好むファンドの仕業であろう。「そういった経緯でな、教会に癒やしを頼んだのだ」お祖父様が話を締めくくった。