確率は100

11. いざアインネートへ

結界します

「あんなのもう嫌だからね」「すまん」「ちゃんと結界してよね」「すまん」「もう、俺、自分で結界かけられるようになりたい」「無理やろ。適性がないやんか」「だから！シキくんが！」「はい、ちゃんとやります」朝の食堂で冒険者たちと顔を合わせたヒカリ。あの声この人かな、とか想像してもうたんやろな、ご機嫌ななめや。ギルドに向かう道々怒られとる。ここで「でもいつも以上に我慢汁垂れてたで」なんて言おうもんなら激怒するやろ。ちょいと残念やけどヤる時は必ず結界を張ると約束する。

のんびり朝飯を食い、オッチャンと話しとるうちにリルさんはギルドに出勤。働き者やな。あの宿の朝はホンマに忙しいねん。ねぼすけのヒカリにはとてもできひん。「リルさん、この防具やねんけど」今日の俺たちの服装は普通の町人や。この辺りにはさほど強い獣はおらんけど、防具なしっちゅうわけにはいかんやろ。グリズリーを倒してからツヴァラスまで騙し騙し着用してきたけどもうあかん。「あら、ずいぶんやられたのね。爪痕…グリズリー？」「せやねん。２頭出てきて１頭倒したところでやられた」「これはもう使えないわね。修理するより新調した方がいいわ。傷は？平気なの？」「エヘヘ、俺が治した！」「まあ、治癒師なのね」「俺がシキくん守るの」「フフフ、がんばってね。そうそう、リュー君にアインネートから連絡がきているわ。少し待ってね」なんやろ。「お待たせ。アインネートの侯爵様からお手紙です」へ？お祖父様？