確率は100

９. Ａランクになりたい

試験官つきの探索

「冒険者のＡランク試験はね、試験官が探索に同行してトータルで判断するんだ。Ｂランク者限定の依頼をいくつか受けてもらって、その達成までになされる行動を確認する。講習をいくつか受けただろう？その時に教官が充分な力があると判断すれば受験資格がもらえる」「え?!じゃ俺は?!」「大丈夫。オッケーだよ。だけど魔法を受けておいた方がいい。ただの講習だと思って受けなかったんだろう？」せや。カミナさんのおかげでいろんな魔法が使えるようになっとったから、受けんでもええか、て。「明後日のを申し込んでおくよ。さて、基本的にはパーティを組んでいるならパーティごと試験をするんだけど…」「…ヒカリを連れて？」「普通、Ａランクを受けようとするような冒険者はパーティメンバーもだいたい同じような力をつけているものなんだ。君たちのようにＢとＦなんて組み合わせはめったにない。ソロで受けることもできるけれど…どうする？」…正直、Ｂランクの依頼にヒカリは足手まといになるやろう。せやけどこれから２人で旅をするからには、ヒカリのせいでできひんかった、なんて言い訳はできん。「…連れていきます」キールさんはウインクして「リュー君ならそうすると思ったよ」と言った。

「…これでよし。じゃ確認するよ。明日が調薬。明後日が魔法の講習。そしてその２日後に１泊でＡランク試験。いいね？」「よろしく頼んます」
「このあとはどうする？教会に行くのかい？」「いや、できたら調薬の手慣らししておきたい。作るのは久々やし。場所借りてもええですか？」「そこの空き部屋使っていいよ。材料は足りるかい？明日の分を残しておかないと。売ろうか？」いくつか買い求めて手順の再確認。あの夫婦は元気でおるやろか。子どもにも会いたいわ。アインネートへの道中、立ち寄ってもええんやろか。司祭さんに聞いて了承されたら手紙を出そう。

「部屋、ありがとさんでした。ほな明日」「時間に遅れないようにね」礼を言ってギルドを出る。外はもう薄暗い。司祭さんの話も終わっとるやろ、と屋敷に戻ることにした。