確率は100

９. Ａランクになりたい

家族がやってきた

朝、というよりは昼に近いころ、ようやくヒカリが目を覚ました。「よう寝とったな。起きられるか？」「…シキくんのバカ」「しゃあないやろ。ヒカリが『もっともっと』言うからやし」「言ってないもん！」「言うとったで…おはよ」「ん」お目覚めのキス。教会とギルドには昼から行く、と伝言を頼んでおいたからゆっくりブランチ。

「ほな教会から行こか。司祭さんに報告せな。そのあとギルドに依頼達成のお知らせせな」「うん！」手を繋ぐ。こんなふうに誰に見咎められることなく歩けるなんて、元の世界では考えられへんことや。ホンマに神様のおかげ。

「ほう、教会で歌っているような歌で浄化できたと」「はい。子守唄でできました。光がね、天に還っていったんです。ね、シキくん」「せやな。それに索敵でけへんはずのファンドに気付きおった」「なるほど…。私では力の弱いファンドはなかなか見つけられない。強い魂はわかるが…。ヒカリ君、やはり君は感受性が強い。耐えられるか？」「はい、俺やりたい。彷徨ったままになんかさせない！」「…ありがとう。頼りにしている。もう少ししたら行き先を決めよう」よろしく、と挨拶しあってギルドへ。

「ヒカリ君、すごいじゃないか！できたんだね！」「うん！俺がんばった！」キールさんは小声で「ヒカリ君の歌で天に還れるなんて羨ましいよ」と言った。今はまだヒカリに癒しの力があることを他人には隠しとる。旅に出るまではその方がいい、という大人たちの判断や。「ウリルも倒した！」「アハハ、ロールの教えは役に立ったかい？」「もちろん！」薬草も見つけたよ、なんて楽しそうに報告するヒカリ。旅から戻るたびにこんなふうに報告できますように。俺は祈った。
「試験用の材料も採ってきてんけど…」「確認するよ…ん？毒草？」「ちょいと考えとることがあんねん」「へぇ。まぁ、保管に注意すること。試験は明後日か、がんばりな」はい、と返事をして報告終了。

「やっぱりここで待っていて正解だった。リュー！」そこにいたのは父ちゃんと母ちゃん？へ？なんで？