確率は100

６. 運命の相手

ずっと歌っていられるように

キスをする。そっと唇を掠めるように。それだけでヒカリの体から緊張が伝わってくる。何度も何度も慈しむように繰り返す。「…ぁ…」ヒカリの吐息。やめられへん。唇を舐めて誘えば小さく口を開ける。すかさず舌を差し込めばしがみついてくるからたまらへん。舌を絡ませればおずおずとついてくる。深い深いキス。…あかん、これ以上はまだ無理やろ。
「…はァ…」「ごめんな。やりすぎた」「…キスしたの、初めてなんだよ。でも…嬉しい」…頼む、これ以上煽らんといて！名残を惜しむように抱きしめて「…続きはまたにしよな」と囁けば照れたようにはにかんだ。

テントを片して出発。「とりあえず王都に行こか。すぐ近くや、暗くなる前に着けるやろ」「王都かぁ、ねぇ、お城とかあるの？」「デカいのが見えとったで。俺もまだ行ったことないねん」「え？そうなの？」「王都の近くまで来たらヒカリが居ることに気づいてん。素通りして探しにきたんよ」「そっか、ありがと」手は繋ぎっぱなしや。繋いだ手をブンブン振りながら「…手、繋いだままでいいの？男同士なのに見られちゃだめなんじゃ…」「神様に聞かんかったん？この世界はな、同性同士でも全然平気やねん。俺の父ちゃんと母ちゃんなんて２人とも男や」「え！なんで、子ども？」「せやねん。不思議やろ。せやから俺から離れたらあかんよ。こないに可愛ええんやから誰かに連れてかれてまうかもしれん」「…シキくんが守ってくれるんでしょ。でもやっぱり俺も強くならなきゃ!!」

明るい街道に出て安心したのか、小さな声で歌っとる。あの日、最後に歌っとった優しいラブソング。これからもヒカリが歌えるように、それを守り抜くのが俺の役目や。