確率は100

春夏

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1. 心残りはありませんか

時間は有限です

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気がつけば自分の部屋に戻っとった。夢、じゃないわな。感傷に浸っとる場合やない。時間は有限や。まずは退職…、いや、実家に顔出すのに無職はあかんな。心配させてまうわ。有休とらな。よし、なんや今日は疲れた、早よ寝よ。

翌日、急に困るよ、やらなんやら言われながらも目一杯の休みを確保。今まで有休を使わなかった俺グッジョブ。休みが終わったら死ぬまでちゃんと働くとするか。やりがいのある仕事、ずっと続けるつもりやったからな、これも心残りってやつやろ。
実家に連絡を入れ新幹線を予約。両親より先に死ぬなんて俺は親不孝者や…泣かんでいられるやろか。根性の見せ所や。ついでに地元の友人にも連絡。別れの挨拶や。

実家に居る間に家族とちょっとお高めの飯屋に行ったり近場の温泉地に1泊したり。墓参りも済ませた。久々の友人と飲んで騒いで。新幹線のホームまで見送りに来てくれた両親に「ほな行くわ。元気でな」なんとか笑ってみせて。

アパートの片付け。若い男の1人暮らしや、見られたないものがたくさん。俺はゲイやから、こんなん親が見たら泣くやろ。パソコンやスマホの履歴やらデータやら全削除。本体も廃棄。

いつもどおりに仕事をして、同僚と飲んで。こっちの友人とも騒いで、ゲイ仲間とも最後の触れ合い。ついに明日や。やるべきことはやった。

ただ1つの心残り、名前も知らないアイツの歌が聴けへんかった…
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