二人暮らし

春夏

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3. 倫30歳 真希18歳

3-7

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「リン、お墓参り付き合って」店を閉め夕飯も終えた夜9時。「今からか?明日でええやろ」「今日じゃなきゃだめなんだよ」倫は首を捻りながらもコートを手に取った。

いくつかの小さな電灯が照らす墓に真希が花を挿す。「…あの日、ここでリンに会った」「せやったな」「今日なんだよ。6年前の今日」「…」「リンが花をくれて俺の父さんのお墓にお供えして」倫は独り言のような真希の呟きを黙って聞いていた。「あれから毎日リンの父さんのお墓にお願いしたんだ」倫は驚いた。てっきり真希の父の墓に願ったのだと思っていたからだ。「…俺の父ちゃんに…」

「お兄さんと…リンとずっと一緒にいさせてください、って」「…ウソやろ…」「子どもの俺のお願いはお墓に叶えてもらえた。…だから大人になった俺のお願いを今度はリンが叶えてよ!ずっと、ってお願いしたんだよ!リンが好きなんだ。リンじゃなきゃ嫌なんだ。告白された時、断ったんだよ。好きな人がいるから、って。それでもいいって言われて…あの子のこと好きになれると思ったんだ。でもやっぱり違った。リンじゃなきゃ!」溢れる涙を拭くこともせずに喚く真希を倫は呆然と見つめていた。
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