18 / 21
3. 倫30歳 真希18歳
3-5
しおりを挟む
「俺、彼女と別れたから」やけにスッキリした顔で真希が笑う。「笑とる場合なん?」「泣かれちゃったけどね。俺からフッたんだよ」「生意気なこと言いよって…」「だからこれからは勉強するだけ」「…なんでもええわ。しっかりやりや」受験シーズンまで残り5か月、風邪なんかひかさんようにせな。この子が笑ってここを出ていけるようにすることが倫の役目だ。
「私立は受けない。今年もし国公立に受からなかったら働くよ」「受験料のことなら気にせんでええんよ」「受かったって行かないんだから無駄だろ」それ以上強くは言えずに「ほな、まずはセンターやな」「今は共通テストって言うんだけどなぁ」「ホンマにお前は生意気になったわ」「俺だってね、いつまでも子どもじゃないんだよ」真剣な顔をした真希にまっすぐ見つめられて「…せやったな」とだけ答えて倫はドアを閉めた。
「マサ、起きろや。時間やぞ」入試が始まった。真希の高校も試験会場だ。慣れた場所で良かった。弁当に“がんばれ”とだけ書いた菓子をしのばせ下まで降りて真希を見送る。「行ってきます」硬い笑顔に「大丈夫や。いつもどおりやったらええねん」と笑ってやる。次の日は“信じとるよ”と書いた。緊張の2日間を終え帰宅した真希は柔らかな笑顔を見せてくれた。
「私立は受けない。今年もし国公立に受からなかったら働くよ」「受験料のことなら気にせんでええんよ」「受かったって行かないんだから無駄だろ」それ以上強くは言えずに「ほな、まずはセンターやな」「今は共通テストって言うんだけどなぁ」「ホンマにお前は生意気になったわ」「俺だってね、いつまでも子どもじゃないんだよ」真剣な顔をした真希にまっすぐ見つめられて「…せやったな」とだけ答えて倫はドアを閉めた。
「マサ、起きろや。時間やぞ」入試が始まった。真希の高校も試験会場だ。慣れた場所で良かった。弁当に“がんばれ”とだけ書いた菓子をしのばせ下まで降りて真希を見送る。「行ってきます」硬い笑顔に「大丈夫や。いつもどおりやったらええねん」と笑ってやる。次の日は“信じとるよ”と書いた。緊張の2日間を終え帰宅した真希は柔らかな笑顔を見せてくれた。
21
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
理香は俺のカノジョじゃねえ
中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。
運命の相手 〜 確率は100 if story 〜
春夏
BL
【完結しました】
『確率は100』の if story です。本編完結済です。本編は現代日本で知り合った2人が異世界でイチャラブする話ですが、こちらは2人が異世界に行かなかったら…の話です。Rには※つけます。5章以降。「確率」とは違う2人の関係をお楽しみいただけたら嬉しいです。
確率は100
春夏
BL
【完結しました】【続編公開中】
現代日本で知り合った2人が異世界で再会してイチャラブしながら冒険を楽しむお話。再会は6章。1話は短めです。Rは3章の後半から、6章からは固定カプ。※つけてます。5話くらいずつアップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる