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3. 倫30歳 真希18歳
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真希が通う高校は秋山家から二駅電車に乗ったところにある公立高校だ。月イチの面会の時に母に買ってもらった新品の制服を着た真希は、毎朝自転車で登校している。「電車で行けばええやろ」「運動になるから」定期くらい払ったるのに、と倫は苛々するが真希は断固として拒否した。「俺も花屋でバイトする」月々の小遣いを値上げしようとした倫に真希はそう言った。バイト代としてなら小遣いを受け取るというなら、と倫は許可を与えた。ちょうど藤本さんに孫が生まれて週末は孫に会いたいということで、真希のバイトは倫にとっても大助かりであった。
夏が来て「リン、俺、彼女ができちゃった。今度プール行くんだ」と真希が照れながら言ったとき、倫はなんとも言えない焦燥に駆られた。「たいしたもんや」喉に詰まったような声でなんとか返事を返した。これはあれや、親として子どもの成長に焦っただけや。倫は自分の心の奥の何かを閉じ込めた。
冬のある日、真希が朝帰りをした。倫はそれを咎めはしなかった。ただ、「女の子泣かせるようなことしたらあかんぞ」と親の言うべきことを言った。
夏が来て「リン、俺、彼女ができちゃった。今度プール行くんだ」と真希が照れながら言ったとき、倫はなんとも言えない焦燥に駆られた。「たいしたもんや」喉に詰まったような声でなんとか返事を返した。これはあれや、親として子どもの成長に焦っただけや。倫は自分の心の奥の何かを閉じ込めた。
冬のある日、真希が朝帰りをした。倫はそれを咎めはしなかった。ただ、「女の子泣かせるようなことしたらあかんぞ」と親の言うべきことを言った。
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