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2. 倫27歳 真希15歳
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ずるずると1週間経ってしまった。調査表の締切はとっくに過ぎて、結局真希は倫に用紙を見せてはくれなかった。今日こそはちゃんと話さなあかん、倫は覚悟を決める。
「マサ、話があんねん」真希の顔が一瞬翳って…次の瞬間には「俺にはないけど」と反抗期の表情に戻る。「ええから座り」ふてくされた顔のまま、それでもおとなしく椅子に座る。「これからのことや」真希の体が緊張するのが手に取るようにわかる。長い沈黙のあと「…卒業まで置いてくれたら、俺、出ていくから」小さな声で言って俯いた。倫は叫ぶように言う。「俺がここに居ってほしいと言ってもか!」真希は弾かれたように顔を上げた。
「…そんなの…ウソだ…」あの日と同じことを真希が呟いた。「あん時も言うたやろ、ウソやない」「だって!あの時とは違う!もう俺は子どもじゃない」「…せやな。声は低なったし背は高なった。一人でも生きていけるかもしれん。それでも俺がマサと居りたいんよ」「…リンは馬鹿だ。俺なんかといたっていいことなんかないのに」「…マサはここに居たないんか。俺と居るのはもう嫌か」「……リンは…やっぱり馬鹿だ」そう言ってあの日のように倫にしがみついて泣いた。
「マサ、話があんねん」真希の顔が一瞬翳って…次の瞬間には「俺にはないけど」と反抗期の表情に戻る。「ええから座り」ふてくされた顔のまま、それでもおとなしく椅子に座る。「これからのことや」真希の体が緊張するのが手に取るようにわかる。長い沈黙のあと「…卒業まで置いてくれたら、俺、出ていくから」小さな声で言って俯いた。倫は叫ぶように言う。「俺がここに居ってほしいと言ってもか!」真希は弾かれたように顔を上げた。
「…そんなの…ウソだ…」あの日と同じことを真希が呟いた。「あん時も言うたやろ、ウソやない」「だって!あの時とは違う!もう俺は子どもじゃない」「…せやな。声は低なったし背は高なった。一人でも生きていけるかもしれん。それでも俺がマサと居りたいんよ」「…リンは馬鹿だ。俺なんかといたっていいことなんかないのに」「…マサはここに居たないんか。俺と居るのはもう嫌か」「……リンは…やっぱり馬鹿だ」そう言ってあの日のように倫にしがみついて泣いた。
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